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“狂気”を演じられる若手俳優・望月歩 リスクも伴う狂気役は役者を選ぶ?

  • 『アンナチュラル』(TBS系)での演技が絶賛された若手俳優・望月歩 (C)ORICON NewS inc.

    『アンナチュラル』(TBS系)での演技が絶賛された若手俳優・望月歩 (C)ORICON NewS inc.

 日本に170名ほどしか登録がない「法医解剖医」という職種の主人公を設定、死因の奥に浮かび上がる人間模様と未来への希望を描き、刑事ドラマのみならず、従来の医療ミステリーや法医学ミステリーとも異なる余韻が高い評価を集めている、石原さとみ主演の金曜ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)。回を追うごとに評価が高まる一方だが、第7話「殺人遊戯」において、ストーリー全体の狂言回し的な高校生役を演じた望月歩への反響もまた少なくない。望月の演技の魅力はどこにあるのだろうか?

『ソロモンの偽証』俳優デビュー 14歳にして闇を抱えた人物が孕む“狂気”を演じる

 ストーリーへの共感、メインキャストへの賛辞とともに、「演技うますぎ」「引き込まれた」「圧倒され号泣した」「迫真の演技」「若いのにすごすぎる」といった彼の演技を絶賛するコメントが寄せられた(番組公式ホームページBBSより抜粋)。

 望月歩という名前を目にして映画『ソロモンの偽証』を思い浮かべる方も多いだろう。2014年に公開された同作で物語のキーパーソンとなる中学生・柏木卓也役を演じ本格的な俳優デビューを飾った彼は、ここでの鬼気迫る演技で一躍注目を集め、若手の実力派という評価を高めることとなった。当時望月は若干14歳だった。

 奇しくも、前述した『アンナチュラル』第7話も『ソロモンの偽証』も“いじめ”がストーリーの根底にある構成となっており、望月が演じる役柄はその“いじめ”の渦中で、葛藤とそこから派生する闇を抱えてしまう人物として描かれる。“いじめ”という社会問題を正面から受け止め、その演技によってストーリーに深みをもたらせ、人物に二重三重の輪郭を与えることを完遂した。

 2015年には連続ドラマ『マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜』(TBS系)で、ひきこもりの不登校児童も演じている。こうした、数々の作品で彼が見せる、闇を抱えた人物が孕む“狂気”には思わず息を呑み、目をみはるものがある。

バッシングにつながりかねない狂気 成功者は“狂気”を醸し出せる選ばれし役者のみ

 “狂気”を演じること。それは役者にとって自分の引出しを増やすうえで大きなチャレンジとなるが、“狂気”だけを演じてしまえばそのハマり具合から本人へのバッシングに結びついてしまいかねないし、演技が過剰すぎれば浮いた存在になってしまうなど、そこには大きなリスクも伴う。その点では、役者を“選ぶ”役柄なのかもしれない。

 だからこそ、この分野で成果を上げた俳優には錚々たる顔ぶれが並ぶ。古くは、黒澤明の名作『天国と地獄』(1963年)での山崎努、同じく黒澤映画『影武者』(1980年)での萩原健一、『蘇える金狼』(1979年)の松田優作、『太陽を盗んだ男』(1979年)の沢田研二などが挙げられるし、映画ではないが、1983年放送の実録ドラマ『昭和四十六年大久保清の犯罪』(TBS系)に主演したビートたけしは、その圧倒的な演技力で役者として大きなステップを踏み、そこから監督業へと自身を高めていくこととなった。

 近年に目を転じても、『怒り』(2016年)の森山未來をはじめ、妻夫木聡、松山ケンイチ、松坂桃李など、引く手あまたの実力派俳優には、“狂気”を宿した人物を演じているケースが少なくない。言い換えるなら、大成する役者の“登竜門”的役柄とも考えられる。そして、そんな“狂気”を奥底に漂わせる人物像を、望月歩は十代にして(望月は2000年生まれ)相次いで成功させてきた。演技力は並大抵のものではないと言えるだろう。

 事実、彼は、昨年放送の『母になる』(日テレ系)において、“狂気”とは無縁な、他人を思いやる心優しい“ナウ先輩”を演じ、ここでも視聴者の心を揺さぶっている。今期は『モブサイコ100』(テレ東系)にレギュラー出演し、ここでも異彩を放つなど、その実力に知名度が徐々に追いついてきた。“才気”がもたらす“狂気”のオールラウンダー、望月歩が今後どのような役を演じていくのか楽しみである。

(文/田井裕規)

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