• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
(更新: ORICON NEWS

【連載11】SMAPベストアルバム 5人を信じ愛し続けるファンからのメッセージ

森の脱退、稲垣の復帰、5人旅 忘れられない節目の「BEST FRIEND」

 少し大げさな話になってしまうけれど、ランキングの結果を見ながら、人間にとって“音楽”って何なんだろうと考えた。芸術にしてもエンタテインメントにしても、音楽や絵画、文学との出会いが人の心を豊かにしてくれることはあっても、それがないと生きられないものではない。人は音楽がなくても、死なない。でも、音楽がない人生を想像すると、世界から一気に、彩りや煌めきが失われていく。私だって、SMAPの曲に支えられながら、でもSMAPの曲だけを聴いてきたわけじゃない。歌謡曲にも、J-POPにも、洋楽にも、クラシックにも、心を揺さぶられた曲はたくさんある。でも、SMAPのいない人生を想像したとき、とてつもない寂寥感のようなものが胸に押し寄せてくる。

 好きなミュージシャンの曲には、ファンなら誰でも思い入れはあるだろう。でも、SMAPは、アイドルとして、“音楽”以外のところでも自分をさらけ出してきた。傷も痛みも、挫折も失敗も、全部さらけ出して、その葛藤の数々を提供された曲を媒介にして、主にライブで表現してきた。しかも、25年間、少しも休むことなく、走り続けてきた。ランキング3位に選ばれた「BEST FRIEND」は、森且行がオートレーサーになるためにグループを脱退する前、最後の『スマスマ』でメンバーがボロボロ泣きながら歌った曲で、稲垣吾郎が活動自粛から復帰した2002年のツアーでも披露された。2013年の『スマスマ』の“5人旅”で、有馬温泉の旅館で5人でカラオケをしたときに、中居が泣きながら歌っていたことを覚えている人も多いだろう。

アルバムの最後の曲は……まだ“華麗なる逆襲”を諦めない

 SMAPの曲には、ドラマがありすぎる。「世界に一つだけの花」にしても、「夜空ノムコウ」にしても、「がんばりましょう」にしても、ある意味、人々の日常に寄り添いすぎる。歌なんか上手くなくても、振り付けがなかなか揃わなくても、草なぎ剛のギターがなかなか上達しなくても、それでも、SMAPの音楽のない日常なんて想像できない。勇気をくれる曲だった、グループの絆を感じさせてくれる曲だった「STAY」が、悲しい曲になってしまうことなんて、想像したくないのだ。

 SMAPのストーリーは、「Can’t Stop!! -LOVING-」、つまり“愛を止めない”という誓いから始まっている。今回のベストアルバムのランキングを見ていると、SMAPのファンもまた、彼らのプロデューサーとしての役割を果たしているのかもしれないと思う。というのも、3枚組のCDは年代別に並べられ、「Can’t Stop!! -LOVING-」から始まるアルバムは、椎名林檎作詞作曲の「華麗なる逆襲」で終わるからだ。SMAPのファンは、5人の“華麗なる逆襲”を、まだ諦めてはいない。
(文/菊地陽子)
【連載12】“スマスマ”やライブで伝わる、SMAPの本当の歌ごころ に続く

【連載1】SMAP解散がもたらした喪失感 終わらないことは“残酷”なのか?
【連載2】SMAPにとっては“異色”だった国民的ソング「世界に一つだけの花」
【連載3】SMAPきょう25周年 記者が見た5人の真実 PART1
【連載番外編】記者が見たSMAPの真実 PART2 〜中居正広と木村拓哉の素顔〜
【連載番外編】記者が見たSMAPの真実 PART3 〜稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾の素顔〜
【連載4】逆境に強いSMAP ライブで見せた成長と結束の物語
【連載5】SMAPのベスト盤 木村の歌を中居がプッシュしたあの日
【連載6】SMAP 中居正広 自分たちのことでタブーは作らない、“自虐”という神センス
【連載7】SMAP 木村拓哉 バッシングされるスーパースター、逃げない男の真実
【連載8】SMAP 稲垣吾郎 個性派集団の中のバランサー
【連載9】SMAP 草なぎ剛 嘘のない“5番目の男”がSMAPを予測不可能な未来へ
【連載10】SMAP香取慎吾 末っ子が生きてきたSMAPという人生

あなたにおすすめの記事

 を検索