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近年の好調・朝ドラを支える個性的な脇役キャラクターたち
『あさが来た』五代の死後も視聴率が大きく低下しなかった勝因
人気ナンバー1のキャラクター・五代の死後も、視聴率が大きく低下しなかった勝因は、入れ替わりで登場した新しいキャストたちの好演。それにより、ファンの期待を裏切ることなく、むしろファンの心をがっちりとつかみ続けた点が大きい。女学生に成長し、あさと対立する千代役の小芝風花、あさとともに女子大創立を目指す、成澤泉役の瀬戸康史ら個性的な面々が、あさに女子大設立という新しい夢を与え、ヒロインの新たな魅力を引き出した。今後も、千代の結婚相手となる東柳啓介役の工藤阿須加や、平塚らいてう役の大島優子といった新メンバーの活躍がますます楽しみなところだ。
もともと、あさの姉・はつを演じた宮崎あおいを筆頭に、オールスターキャストが話題の同作。しかし振り返ってみると、同作に限らず、近年の朝ドラはオールスターキャストで物語を盛り上げる傾向が強い。とくに『あまちゃん』(2013年)以降、アクの強いサブキャラたちがフレッシュなヒロインをもり立て、また朝ドラでの個性的な役どころを契機にして注目を集める若手俳優陣も目立っている。
キャストの個性が活きていた近年の脇役キャラクター
『花子とアン』(2014年)では、ヒロインはな(吉高由里子)の幼なじみの朝市青年をぼくとつと演じて、スピンオフドラマで主演を務める人気キャラクターに育て上げた窪田正孝。花子の親友・蓮子(仲間由紀恵)の元夫・伝助役で、オッサンの純情をリリカルに体現した、シェークスピア俳優・吉田鋼太郎。『マッサン』(2014年)では、ヒロイン・エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の夫・マッサン(玉山鉄二)以上にひょうきんなキャラクターで人気を集めた鴨居欣次郎役の堤真一。泉ピン子をしのぐ、ヒロインへのいけずっぷりで新境地を拓いた優子役の相武紗季。
『まれ』(2015年)では、ヒロイン・まれ(土屋太鳳)と並行してそれぞれの人生を歩んでいく、幼なじみの一子とみのりをみずみずしく演じた清水富美加と門脇麦。そして『あさが来た』では、あさ以上にドラマチックな成長で、男ぶりを上げていく八代目・白岡榮三郎役の関ジャニWESTの桐山照史。ざっと名前を挙げただけで、それぞれの名場面が鮮やかに思い出される。
脚本家陣の“あてがき”のうまさも奏功
加えて『あまちゃん』以降、朝ドラを手がける脚本家陣の“あてがき”のうまさも奏功している。ただクセのあるキャラクターたちを次々と登場させるのではなく、演じ手の持ち味を最大限に活かすことで、ヒロインの魅力を引き出し、ひいては物語全体に無理のない味わいを生むのだ。前述したファンの声を反映して登場シーンを増やしたり、再登場させるなどの柔軟な姿勢も、ベテランならではの成せる技と言えよう。
そういう意味では『とと姉ちゃん』の脚本を担当する西田征史も、『怪物くん』(日本テレビ系/2010年)や『妖怪人間ベム』(フジテレビ系/2011年)など、オールスターキャスト形式のファミリー層向け人気ドラマを手がけたヒットメーカーだけに、物語のなかのキャストの活かし方に期待が募る。