(更新:)
ORICON NEWS
ドラマの多様化で活躍の場が広がる長身女優たち
ひと昔前なら長身女優がヒロイン役はNGだった
かつては、女優は背が高いと、恋愛モノで相手役の男性とバランスが取れないと言われ、ヒロインとして敬遠される向きもあった。だが、1990年代半ばから山口智子(170cm)の『29歳のクリスマス』(フジテレビ系)、松嶋菜々子(172cm)の『ひまわり』(NHK)、江角マキコ(170cm)の『ショムニ』(フジテレビ系)などが相次ぎヒット。モデル出身など同性受けのいい女優が注目されるようになった。
その流れで、2000年代にはモデルから女優への転身が増えた。モデルはもともと長身が多いなか、小雪(170cm)、伊東美咲(171cm)、宝塚出身だが天海祐希(171cm)が人気女優に。NHK朝ドラのヒロインから『瞳』の榮倉奈々(170cm)、『ゲゲゲの女房』の松下奈緒(174cm)、『ごちそうさん』の杏(174cm)もブレイクしている。
『ショムニ』での江角はハミ出しOL役で脚立を抱えた立ち姿がカッコ良く、『女王の教室』(日本テレビ系)の天海は鬼教師役で子どもたちを見下ろす怖さを醸し出し、長身が活きていた。だが多くの場合、恋愛ドラマなどの劇中でこうした女優たちが長身であることに、役柄的な意味はあまりなかった。平均身長の女優でも設定的には成立する役どころ。それよりも女性視聴者からの人気が買われていた。
長身を活かしたキャスティングが増えている
『トランジットガールズ』の佐久間は『ViVi』モデルで、連ドラは初出演。義理の妹との“ガールズラブ”が描かれ、長身でボーイッシュなショートカットの彼女は同じ女性がリアルに恋してしまいそうに見えた。人気アニメを実写化した『あの花』で松井が演じた安城鳴子は、ギャルデビューしたが引っ込み思案な役。松井は「完璧なビジュアルなのに自信なさげなのが合う」とキャスティングされたとのことで、スタイル抜群の長身がギャップとして活きた。
ラブストーリーが必ずしもドラマの王道でなくなり、アクションやサスペンスからキワモノ系まで作品が多様化している。そこでキーとなる役に、長身女優が長身ゆえにキャスティングされることは今後も増えそう。菜々緒が悪女でインパクトを残したように、見栄えのいい若手長身女優が独自のポジションを築いていくことが期待される。
(文:斉藤貴志)