NHK『サラリーマンNEO』の「セクスィー部長」やバラエティーなどでも幅広く活躍する俳優・
沢村一樹が、映画『十三人の刺客』(三池崇史監督、9月25日公開)ではエリート軍師・三橋軍次郎役でシリアスな一面を見せている。そんな沢村は、ORICON STYLEの単独取材に対し「僕の中では、いろいろな役をやればやるほど、振り幅が狭くなっているような気がするんですよ」と意外な反応をみせた。
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[拡大写真] 「どういう基準でこの13人を選んだのかわからないんですけど、本当にみんな魅力的でした。男ばっかりで、楽しかったですね。このメンバーで飲みに行ったりして、非常にぜいたくな時間を過ごさせていただきました」(沢村談)(C)ORICON DD inc.
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個性の強いキャタクターを演じるがゆえ、沢村は「もちろん演じるのは好きだし、いろいろな役をやってみたいんですけど、ちゃんと演じ分けができているのかな?と考えてしまう。フッとした時に、あれ? セクスィー部長と一緒になっていない!/と、焦ることもあるんですよね」。
自分の仕事ぶりに何かが足りないと常に感じている。それが、沢村の原動力になのかもしれない。「セクスィー部長やったりするのも好きなんですけど、居心地のいい場所を作っちゃいけないのかなって思うんですよ。いろいろな役をやってみたい」と語る。
この『十三人〜』は、江戸時代後期を舞台に、大義のため、暴君の明石藩主・松平斉韶の暗殺を謀る13人の侍の死闘を、『妖怪大戦争』『クローズZERO』シリーズの三池監督が、激烈なバイオレンス描写で描く。たとえ暴君であっても、主君に仕える明石藩の軍勢300人超に、たった13人で立ち向かう。この数的不利をどう克服するのか。軍師・三橋の腕の見せどころである。
「三橋はエリートではあるがゆえに、王道の作戦には長けているが、裏を返せば頭が固くて、奇抜な作戦は思いつかない。一方、役所広司さん演じる新左衛門は、普通の策士では思いつかないような、ずば抜けたセンスを持っている。三橋を通して、新左衛門のすごさが際立って観客に伝わるのかなぁと思うと、その役割は果たせたと思います」。
[拡大写真] 「スクリーンで観ていた役所さんも素敵でしたが、お芝居をしているときの俳優・役所広司はすごく魅力的でした。それを目の前で観て、こちらも緊張してしまいました。役所さん自身が、本当にリラックスして演じていたかどうかはわかりませんが、力が抜けているのに強い芝居をされる。じっくり勉強させていただきました」(沢村談)
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[拡大写真] 「個人的には伊勢谷さんが演じた山の民・木賀小弥太役が好きですね。落合宿の庄屋・三州屋徳兵衛役の岸部一徳さんとの“絡む”のシーンは、どんな気分だったのかな(笑)」(沢村談)
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最終決戦の舞台となる落合宿では、さまざまな奇策が仕掛けられる。動く防塞(バリケード)、空中の回廊、火のついたたいまつを背負って暴走する牛…など。壮絶な死闘が繰り広げられるラスト50分は、実に見ものだ。
撮影は山形県鶴岡市の庄内映画村にオープンセットを築いて行われた。現場は男ばかりで楽しかったそうだが、「僕はけっこう緊張していました。殺陣は慣れていないので大変でしたし、何といっても、このキャストですからね」と沢村は、ポスターにずらりと並んだ俳優たちの名前を読むように見つめた。主演の役所ほか、山田孝之、伊勢谷友介、伊原剛志、松方弘樹、さらには稲垣吾郎(SMAP)、市村正親といった豪華な出演陣も同作の話題だ。
さらに、沢村を緊張させたのが三池監督の奇才ぶりだった。「現場で『カメラはどこにあるの? えっ!こんなところから撮るの?』と驚いたことが何度もありました。監督の頭の中は、どうなっているんだろうと考えても、きっと僕らの想像では及ばないでしょう。出来上がった作品を観ても、撮影中に想像していたものとは、いい意味でぜんぜん違っていて、よりスケールの大きな作品になっていました」。
同作は、本年度の第67回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品された。審査員長は日本のアクション映画への造詣も深い『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督。「この作品は侍、男たちのドラマ、アクションエンターテインメントではあるのですが、肝(きも)は女性が握っているんです」と沢村。いかにもタランティーノ好みだが、金獅子賞の行方はいかに…。同映画祭での上映は9日(日本時間10日)。最終日11日(日本時間12日)にコンペ部門の主要賞が決まる。