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◆都合のいい話で完結させるのが、我々映画人の仕事ではない
――監督生活35年の節目に世に出す同作は完全オリジナル脚本。その思いは?
――主役に抜擢したジャルジャルの2人については?
――『ガキ帝国』で島田紳助・松本竜介を、『岸和田少年愚連隊』でナインティナインを起用し、スターダムに押し上げた実績がありますが、今作は?
◆暴力しかないヤクザモノは大嫌い。喧嘩なんか、しないほうがいい
――その深刻さゆえか、R- 15指定にされたことについては?
――井筒監督の青春時代とは?
――監督の青春は今も続いている?
――今後、監督生活40周年、50周年をどう迎えたいか。
井筒和幸監督インタビュー |
人気お笑いコンビ・ジャルジャルの後藤淳平と福徳秀介の初主演で注目を集める映画『ヒーローショー』(5月29日公開)。『ガキ帝国』(1981年)の島田紳助・松本竜介、『岸和田少年愚連隊』のナインティナイン、『パッチギ!』の沢尻エリカなど、フレッシュなキャストを見出し、一気にブレークさせた井筒和幸監督の3年ぶり最新作は「ニューシネマをやりたいと思って、今回は今までに出来なかった事ばかりした」と大真面目。今年、監督生活35周年を迎える井筒監督は、ORICON STYLEの取材に「今後も僕は青春映画しか作らない」とキッパリ宣言した。
◆都合のいい話で完結させるのが、我々映画人の仕事ではない
[拡大写真] ジャルジャルに演技指導する井筒和幸監督 | |
【井筒監督】 今回の企画はここ何年間か蓄積してきた思いを集約したというか、一気に噴き出した。ほぼ毎日のようにテレビや新聞、インターネット上で報じられる若者たちの短絡的というか、ゲーム感覚というか、不条理な事件もいっぱい見てきて、超リアルな作品として世に出したいと思ったわけ。
なぜなら、嘘、偽りが多いから。「そんな若者、何処にいるのよ?」と言いたくなるような作品が、いかに多いか。都合のいい話で完結させるのが、我々映画人の仕事ではないからね。友情ですべてが片付くとか、都合よく死んでしまうとか、そういう予定調和な嘘を排してやろうと思った。
シナリオ作りには2年かかったかな。物語の中で何が起こるかが重要だけど、一にも、二にも、アップデイトな若者たちを描くことに心血を注いだ。着ている服、しぐさ、言い回し、受け答えの仕方などのディテールもすべて。そうして若者のイライラ感、焦燥感、あるいは孤独感、人生に対する絶望感を偽りなく描きだしたいと思った。そのことに尽きます。
なぜなら、嘘、偽りが多いから。「そんな若者、何処にいるのよ?」と言いたくなるような作品が、いかに多いか。都合のいい話で完結させるのが、我々映画人の仕事ではないからね。友情ですべてが片付くとか、都合よく死んでしまうとか、そういう予定調和な嘘を排してやろうと思った。
シナリオ作りには2年かかったかな。物語の中で何が起こるかが重要だけど、一にも、二にも、アップデイトな若者たちを描くことに心血を注いだ。着ている服、しぐさ、言い回し、受け答えの仕方などのディテールもすべて。そうして若者のイライラ感、焦燥感、あるいは孤独感、人生に対する絶望感を偽りなく描きだしたいと思った。そのことに尽きます。
――主役に抜擢したジャルジャルの2人については?
【井筒監督】 吉本興業の芸人さんとは何度も組んできましたし、だいたいの芸人さんは見てきている。その中で、今はまだ役者としてまっさらで、これからブレークしそうな若い2人を選びたかった。ジャルジャルはコントや舞台で鍛えているのはわかっていたから、安心して主役を任せられました。
ジャルジャルの演技は、リアルでハードボイルド(非情)で、うまかったよね。その辺の並み居る役者と比べても圧倒的に凄かったですよ。
ジャルジャルの演技は、リアルでハードボイルド(非情)で、うまかったよね。その辺の並み居る役者と比べても圧倒的に凄かったですよ。
[拡大写真] 井筒監督作品では常連の女優・ちすん | |
【井筒監督】 『ガキ帝国』を撮った時は、ギャグが空回りして失敗したなと思うところがあった。当時は僕も20代で若かったということだな。『岸和田少年愚連隊』でも、すべっているなぁと後から気になることが出てきて、なんとかもう1回、すべらない作品をやりたいと思っていた。そうしたら、今回はギャグを入れる余地がなくなってしまって(笑)。映画だし真剣に、というか深刻にやってみても面白いんじゃないかなと思ってね。
◆暴力しかないヤクザモノは大嫌い。喧嘩なんか、しないほうがいい
――その深刻さゆえか、R- 15指定にされたことについては?
【井筒監督】 15歳以上でいいんじゃないかな。多感な若者に観てもらいたいというのはあるけど、中学1、2年では多感過ぎて、悪影響が出る危険性もありますから(笑)。そんなに難しい映画じゃないんだけどね。僕のフィルムの流れからいえば、今までなんでR指定がなかったのか、そっちのほうが不思議だけど。
――井筒監督の青春時代とは?
【井筒監督】 僕らは確実にアメリカン・ニューシネマに感化された世代。時代から生まれてくる映画作家の作品を観るのに忙しかったから、見せかけだけのハッピーエンドな青春映画なんて、冗談じゃないと思っていたわけ。フィルム・ノワールといってね、戦後のフランスのギャング映画もそうだけど、1965〜75年代に主にアメリカで制作された、スタジオから出て作られた映画のような、不条理で行き場のない閉塞感や焦燥感に満ちた映画にこそ共感できたし、それが僕は娯楽映画としては一番面白いと思うわけ。
僕も「不良」と呼ばれるような若者たちを主人公にしたフィルムを撮ってきましたが、僕は喧嘩する男がカッコいいとか、悪さをするのが青春だとか、そんな薄っぺらな哲学は大嫌いです。暴力しかないヤクザモノも大嫌い。喧嘩なんか、しないほうがいい。『ヒーローショー』では、若者が暴走する狂気、出口が見出せない恐怖を思い知るでしょう。
僕も「不良」と呼ばれるような若者たちを主人公にしたフィルムを撮ってきましたが、僕は喧嘩する男がカッコいいとか、悪さをするのが青春だとか、そんな薄っぺらな哲学は大嫌いです。暴力しかないヤクザモノも大嫌い。喧嘩なんか、しないほうがいい。『ヒーローショー』では、若者が暴走する狂気、出口が見出せない恐怖を思い知るでしょう。
[拡大写真] 若者たちの狂気が暴走する衝撃的なワンシーン | |
【井筒監督】 それはさすがにないね(笑)。大人たちに敢然と闘いを挑んで突っ走るなんて、邪魔くさい。ただ、青春は終わったなぁと思っても、人生は終わらない。まだわかっていないことがたくさんあるから、生きていくのが愉しいのよ。
――今後、監督生活40周年、50周年をどう迎えたいか。
今後も青春映画しか作りません。終わってる大人たちの恋だ愛だしがらみだというドラマはほかの人に任せて、青春真っ只中の若者たちをしっかり見つめていきたいと思います。
| 井筒和幸監督 1952年奈良県出身。県立奈良高等学校在学中から映画制作を開始。75年、高校時代の仲間と映画制作グループ『新映倶楽部』を設立し、35ミリのピンク映画『行く行くマイトガイ・性春の悶々』で監督デビュー。主な監督作品に『ガキ帝国』(1981年)、『みゆき』(1983年)、『晴れ、ときどき殺人』(1984年)、『二代目はクリスチャン』(1985年)、『犬死にせしもの』(1986年)、『岸和田少年愚連隊』(1996年)、『ゲロッパ!』(2003年)、『パッチギ!』(2004年)、『パッチギ!LOVE&PEACE』(2007年)など。映画制作のほか、歯に衣着せぬコメントやキャラクターがテレビやラジオの番組にも受けて、人気を集める。この5月には、自著『ガキ以上 愚連隊未満』(ダイヤモンド社)を上梓する。 |
『ヒーローショー』
【STORY】 都会で夢にもバイトにも真剣になれないユウキ(福徳秀介)と、田舎で恋人と店を開くため調理師免許を取ろうとしている元自衛官で配管工の勇気(後藤淳平)。対照的でありながら、今どきのごく普通の若者像を体現している2人の主人公が、思いも寄らない事件に巻き込まれ、ついには決定的な犯罪が起きてしまう。同じ“ゆうき”という名前の2人にはいつしか奇妙な友情が生まれるが…。 監督:井筒和幸 出演:後藤淳平(ジャルジャル) 福徳秀介(ジャルジャル) ちすん 5月29日(土)より全国ロードショー 配給:角川映画 公式サイト|予告編動画 |
2010/05/07