企業が伝えたいメッセージを物語に乗せて表現するブランデッドムービー。国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア (SSFF & ASIA)」でも、2016年からブランデッドムービーに特化した部門「Branded Shorts」が設立されるなど、年々注目度が高くなってきている。
そんなブランデッドムービーに初期の段階から力を入れ、無料で楽しめるWeb映画館「ネスレシアター 」を運営しているネスレ日本が、オリジナルブランデッドムービー『上田家の食卓』を公開。本作に出演している女優のMEGUMI、メガホンをとった平林勇監督、ネスレ日本の出牛誠氏が作品の魅力を語った。
『上田家の食卓』では、ネスレが消費者一人ひとりに応じた健康習慣を提案する「ネスレ ウェルネス アンバサダー」をテーマに、上田家の家族たちがワイワイと会話を繰り広げるなかから、たどり着く日常のちょっと大切なことを描いたショートストーリーだ。
――ブランデッドムービーという作品にはどんな印象をお持ちでしたか?
平林監督:CMディレクターを長くやっていたのですが、CMというのは商品の告知という役割が前提だったんです。でも僕はCMも、企業が出す商品という認識でいるべきだとずっと思っていました。ブランデッドムービーという概念が出てきて、やっとそれができると嬉しく感じました。一方で商品なのでクオリティも、よりシビアになっていくという側面もあると思います。お話をいただいたときは身が引き締まる思いでした。
――女優としてブランデッドムービーに参加するさい、意識したことはありましたか?
MEGUMI:海外のブランデッドムービーは以前から結構観ていたんです。「この映像作品はなんなのだろう」という感覚で観ていると、最後に企業のロゴが入っていたりして「あーPRのための作品なんだ」と気づいたり……。タイの作品とか、5分ぐらいの物語なのに、結構印象に残っていますし、泣いてしまう作品もありました。演じるうえでは、普通の映画やドラマと違いはないと思っていますが、普段よりは“伝える”という部分で、丁寧に演じようという意識はあったかもしれません。
――ブランデッドムービーの監督を務めるとき、技術的な部分で意識したことは?
平林監督:いまはスマートフォンで動画を観る方が多数いるので、あまり引きで映像を撮ると、よくわからなくなってしまう危険性があります。基本的にはパソコンやスマートフォンで見たときの想定でアングルは決めています。画格が小さいと、どうしても大きな演技をしてもらいがちですが、この作品ではより自然な演技をお願いしました。
MEGUMI:冒頭で植物を食べるシーンがあるのですが、その部分の演出はすごくこだわりを感じました。
平林監督:つかみの部分ですよね。普通に植物を食べるより、手を使わないで食べてもらった方がインパクトは大きいかなと思ったんです。つかみに関しては、ネスレさん側の要望でもありました。
出牛:ショートムービーの特性として、つかみの10〜15秒で、視聴者が「続けて観たい」と思ってもらえるようなインパクトが必要なんです。そこだけは意識していただいて、それ以外の物語の構成やストーリーは平林監督にお任せしました。
――ネスレさんは、初期のころからブランデッドムービーに力を入れていましたが、時代の変化と共に消費者の変化も感じていますか?
出牛:スマートフォンが普及する前と後では、消費者が得る情報量が違いますよね。以前はテレビコマーシャルを中心に情報を発信していましたが、いまもその部分はありつつ、情報過多のなかでは、自ら能動的に見にいって“共感”を覚えたものが、印象に残ると思うんです。その意味で、ブランデッドムービーというのは、作品としてのクリエイティビティを持ちながら、いろいろな形で消費者に興味を持っていただける形なのかなという思いで取り組んでいます。
MEGUMI:近年、SNSが自分の生活のなかに入ってきて、情報過多になってくると「こういうことを伝えたいんだろうな」という意識が働き、疲れてしまうんですよね。そんななか、ブランデッドムービーって、最初は「情報を得る」という意識がないまま「なにが始まるんだろう」と観ることができる。そのなかで面白いなと思えれば、その情報が、自然と体のなかに残っていく感覚はありますよね。
――『上田家の食卓』というショートムービーを配信しますが、今後のブランデッドムービーの可能性は、どのように感じていますか?
平林監督:今回5分程度の尺を目安に作ったのですが、SNSで流れてくるものって10秒ぐらいでも、めちゃくちゃ面白い動画もあるんですよね。そことの競合だと考えると、結構大変ですし、工夫が必要だと思います。ただそのぶん、可能性も秘めているので、いろいろな角度から模索しながらやっていければいいなと感じています。
――『上田家の食卓』はどのような点を意識されたのですか?
平林監督:見ている人に、5分間持たせられるものってなんだろうと考えたとき「すべらない話」だと思ったんです。あの番組って、人の顔を映して、喋りだけで5分間持たせてしまいますよね。今回の設定も「そういえばこの間、こんな話があってさー」という形からスタートする。人は「こんなことがあってね……」と話を始めると、最後まで聞きたくなってしまうもんですよね。
――キャストも、MEGUMIさんをはじめ、堀部圭亮さん、筒井真理子さんと実力派がそろっていますね。
平林監督:今回のキャストに関しては、ほぼ完璧に僕の要望が叶ったんです。すごくよかった。MEGUMIさんの突っ込みも最高でした。
MEGUMI:私の突っ込みは病気ですから(笑)。
平林監督:すごく安心感がありました。テレてしまって中途半端だと面白くない。その意味でMEGUMIさんは完璧でした。
MEGUMI:ちゃんとお芝居するつもりで現場に入っているのですが、どうしても相手がボケるような感じになると病気が出てしまうんです(笑)。バラエティ感が出ないようには意識したんですけれどね。
――メッセージ性がありつつ、ポップさも感じられますが、テンポの良さも重要な要素なのでしょうか?
平林監督:やっぱりテンポが悪いと、すぐに画面を閉じられてしまいますよね。セリフも被りながら物語が進んでいくような疾走感は大切だと思います。
MEGUMI:食卓のシーンなどは、食事をしながら会話もして、自分のパートではアドリブも入れつつ、相手の芝居を受けるなど、とても難易度の高い演技が要求されているなという実感はありました。撮影では、緊張感とチャレンジする気持ちが常に入り混じっていました。
出牛:『上田家の食卓』は、全5話で構成されていますが、それぞれ独立した話で、順番に観なくても大丈夫なので、ぜひ楽しんでほしいです。
(取材・文・撮影:磯部正和)
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そんなブランデッドムービーに初期の段階から力を入れ、無料で楽しめるWeb映画館「ネスレシアター 」を運営しているネスレ日本が、オリジナルブランデッドムービー『上田家の食卓』を公開。本作に出演している女優のMEGUMI、メガホンをとった平林勇監督、ネスレ日本の出牛誠氏が作品の魅力を語った。
『上田家の食卓』では、ネスレが消費者一人ひとりに応じた健康習慣を提案する「ネスレ ウェルネス アンバサダー」をテーマに、上田家の家族たちがワイワイと会話を繰り広げるなかから、たどり着く日常のちょっと大切なことを描いたショートストーリーだ。
――ブランデッドムービーという作品にはどんな印象をお持ちでしたか?
平林監督:CMディレクターを長くやっていたのですが、CMというのは商品の告知という役割が前提だったんです。でも僕はCMも、企業が出す商品という認識でいるべきだとずっと思っていました。ブランデッドムービーという概念が出てきて、やっとそれができると嬉しく感じました。一方で商品なのでクオリティも、よりシビアになっていくという側面もあると思います。お話をいただいたときは身が引き締まる思いでした。
――女優としてブランデッドムービーに参加するさい、意識したことはありましたか?
MEGUMI:海外のブランデッドムービーは以前から結構観ていたんです。「この映像作品はなんなのだろう」という感覚で観ていると、最後に企業のロゴが入っていたりして「あーPRのための作品なんだ」と気づいたり……。タイの作品とか、5分ぐらいの物語なのに、結構印象に残っていますし、泣いてしまう作品もありました。演じるうえでは、普通の映画やドラマと違いはないと思っていますが、普段よりは“伝える”という部分で、丁寧に演じようという意識はあったかもしれません。
――ブランデッドムービーの監督を務めるとき、技術的な部分で意識したことは?
平林監督:いまはスマートフォンで動画を観る方が多数いるので、あまり引きで映像を撮ると、よくわからなくなってしまう危険性があります。基本的にはパソコンやスマートフォンで見たときの想定でアングルは決めています。画格が小さいと、どうしても大きな演技をしてもらいがちですが、この作品ではより自然な演技をお願いしました。
MEGUMI:冒頭で植物を食べるシーンがあるのですが、その部分の演出はすごくこだわりを感じました。
平林監督:つかみの部分ですよね。普通に植物を食べるより、手を使わないで食べてもらった方がインパクトは大きいかなと思ったんです。つかみに関しては、ネスレさん側の要望でもありました。
出牛:ショートムービーの特性として、つかみの10〜15秒で、視聴者が「続けて観たい」と思ってもらえるようなインパクトが必要なんです。そこだけは意識していただいて、それ以外の物語の構成やストーリーは平林監督にお任せしました。
――ネスレさんは、初期のころからブランデッドムービーに力を入れていましたが、時代の変化と共に消費者の変化も感じていますか?
出牛:スマートフォンが普及する前と後では、消費者が得る情報量が違いますよね。以前はテレビコマーシャルを中心に情報を発信していましたが、いまもその部分はありつつ、情報過多のなかでは、自ら能動的に見にいって“共感”を覚えたものが、印象に残ると思うんです。その意味で、ブランデッドムービーというのは、作品としてのクリエイティビティを持ちながら、いろいろな形で消費者に興味を持っていただける形なのかなという思いで取り組んでいます。
MEGUMI:近年、SNSが自分の生活のなかに入ってきて、情報過多になってくると「こういうことを伝えたいんだろうな」という意識が働き、疲れてしまうんですよね。そんななか、ブランデッドムービーって、最初は「情報を得る」という意識がないまま「なにが始まるんだろう」と観ることができる。そのなかで面白いなと思えれば、その情報が、自然と体のなかに残っていく感覚はありますよね。
――『上田家の食卓』というショートムービーを配信しますが、今後のブランデッドムービーの可能性は、どのように感じていますか?
平林監督:今回5分程度の尺を目安に作ったのですが、SNSで流れてくるものって10秒ぐらいでも、めちゃくちゃ面白い動画もあるんですよね。そことの競合だと考えると、結構大変ですし、工夫が必要だと思います。ただそのぶん、可能性も秘めているので、いろいろな角度から模索しながらやっていければいいなと感じています。
――『上田家の食卓』はどのような点を意識されたのですか?
平林監督:見ている人に、5分間持たせられるものってなんだろうと考えたとき「すべらない話」だと思ったんです。あの番組って、人の顔を映して、喋りだけで5分間持たせてしまいますよね。今回の設定も「そういえばこの間、こんな話があってさー」という形からスタートする。人は「こんなことがあってね……」と話を始めると、最後まで聞きたくなってしまうもんですよね。
――キャストも、MEGUMIさんをはじめ、堀部圭亮さん、筒井真理子さんと実力派がそろっていますね。
平林監督:今回のキャストに関しては、ほぼ完璧に僕の要望が叶ったんです。すごくよかった。MEGUMIさんの突っ込みも最高でした。
MEGUMI:私の突っ込みは病気ですから(笑)。
平林監督:すごく安心感がありました。テレてしまって中途半端だと面白くない。その意味でMEGUMIさんは完璧でした。
MEGUMI:ちゃんとお芝居するつもりで現場に入っているのですが、どうしても相手がボケるような感じになると病気が出てしまうんです(笑)。バラエティ感が出ないようには意識したんですけれどね。
――メッセージ性がありつつ、ポップさも感じられますが、テンポの良さも重要な要素なのでしょうか?
平林監督:やっぱりテンポが悪いと、すぐに画面を閉じられてしまいますよね。セリフも被りながら物語が進んでいくような疾走感は大切だと思います。
MEGUMI:食卓のシーンなどは、食事をしながら会話もして、自分のパートではアドリブも入れつつ、相手の芝居を受けるなど、とても難易度の高い演技が要求されているなという実感はありました。撮影では、緊張感とチャレンジする気持ちが常に入り混じっていました。
出牛:『上田家の食卓』は、全5話で構成されていますが、それぞれ独立した話で、順番に観なくても大丈夫なので、ぜひ楽しんでほしいです。
(取材・文・撮影:磯部正和)
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2019/06/28