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『ハケン占い師アタル』遊川和彦氏、斬新なヒロインは「地に足の着いた」発想から生まれる

 女優の杉咲花が主演を務めるテレビ朝日系『ハケン占い師アタル』(毎週木曜 後9:00)の脚本を手掛けるのは、2011年に『家政婦のミタ』(日本テレビ)で社会現象を巻き起こした遊川和彦氏。第1話でフィーチャーされた志田未来演じる「神田和実」が、かつて遊川氏が脚本を担当した『女王の教室』(05年)で志田が演じた「神田和美」と一文字違いであることや、第4話に登場した家政婦が「承知しました」と返事する自前の小ネタで、ドラマファンを沸かせた。本作では、脚本だけでなく、初めて連続ドラマの演出も手がけている遊川氏が、「仕事を続けてきたごほうび」と感慨もひとしおな本作の制作秘話を明かした。

 女優の杉咲花が演じる主人公・的場中(まとば・あたる)=アタルは、21歳。「働くことが生まれて初めて」だといい、派遣社員としてイベント会社「シンシアイベンツ」の制作Dチームで働き始めた。通勤時はニット帽にサングラス、コートを着用。職場ではさまざまな初体験を喜び、いつもニコニコしながら、楽しそうに働くアタルだが、実は“ある秘密”が…。彼女は悩みや原風景をはじめ、他人のあらゆることが見えてしまう特殊能力を持っていた。その力で、Dチームのみんなをそれぞれの悩みから救ってきた。

――今回の主人公はどういう発想から生まれたのですか?

【遊川】普段は派遣社員として働いていて、占いもできる方が実際にいると聞いて、コレだとひらめきました。でなければ、「ハケン占い師アタル」なんて発想が浮かばないですよ(笑)。実在していなければ、この企画は通らなかったと思いますし、地に足がついてない設定のドラマは漫画みたいになっちゃうでしょう。ドラマで漫画をやる必要はない。漫画原作の映像作品が多いことを、暗に批判しているんですが(笑)。やはり、ドラマは人間を描くものだと思うので、自分の中で実在感があるかどうかは、大事にしているところですね。派遣社員というのも、普段は一番弱い立場の人間が、一番偉そうに相手を占う、というギャップがドラマ的に面白いかな、と思いました。

――“お仕事ドラマ”を作ろうと思った理由は?

【遊川】最近はずっと家族、夫婦、家庭を描いてきて、職業や仕事を題材にしたドラマをいままでやっていないことに気づき、“働く”ことを掘り下げてみようと思いました。労働って、人間生活と切り離せないもの。同僚が朝起きてから電車に乗ってどうやって会社に来ているのか、そんなの知ったこっちゃないけど、もしそれを知ったとしたら、その同僚のことが少し理解できるようになるかもしれないでしょう。いろんな思いで働いている人たちをドラマで描くことで、「これって、私!?」「こういう人、いる!」と思ってもらうだけでも面白いし、もしかしたら隣の席の○○さんも人知れず悩んでいるのかもしれないな、とか感じてくれたら、ドラマの作り手してはうれしいことだし、いろいろ突き詰めていけば、いままでにないドラマになるんじゃないかと思いました。

――アタルを取り巻くDチームの正社員たちの名前を山手線の駅名にしたのは?

【遊川】匿名性を出すためですね。このドラマは、あなたの、あなたたちの物語ですよ、ということを示したかった。第1話では「神田さん」にしときますが、これはあなたの話かもしれませんね、という。本当は名前もつけたくなかったくらいなんですが(笑)。山手線の駅名にしたのは、山手線が環状線で輪になっているところがいいな、と思って。Dチームのつながっているチーム感も出るし。

――「品川」だった人も何周かしているうちに「上野」になるかもしれないですしね。アタルは、その輪には入れないんですね。

【遊川】アタルは、ある種の「スーパーマン」。(アメコミの)スーパーマンは、普段はクラーク・ケントという名で新聞記者をしていて、冴えない感じなんだけど、いざという時はスーツを脱いでスーパーマンに変身し、ヒーローとして活躍する。自分がスーパーマンであることはみんなに隠しているんですよね、それが彼の苦悩でもある。

 もう一つ、アタルは人間になりたいと願った「人魚姫」でもある。特殊な能力を持ったアタルは、普通の会社に入って普通の人間になりたいと願っていた。だから、Dチームで働き始めて、人間になれた喜びでいっぱい。だからニコニコして、携帯電話で写真を撮りまくっているんです。夢がかなってうれしいとか、新しい職場で頑張ろうとか、そういう気持ちがあったけど、日常に埋没して忘れちゃっている人がほとんどだと思うんですね。それを素直に喜ぶアタルみたいな人がいたらどう? 何か思い出さない? という狙いもあったんですけどね。

――映画『恋愛家宮本』(2017年)で監督デビュー(脚本も担当)されてますが、連ドラの演出は初めてとのことですが、これはどういう経緯で?

【遊川】自分で撮らせないと書かない、と言ったという噂が業界内で広がっていますが(笑)、プロデューサーからの提案です。もともとテレビ制作会社のアシスタントディレクターからはじまったので、連続ドラマのチーフディレクターは夢でした。30年以上かかりましたが、実現できて感慨深いものがありまね。映画も撮らせてもらって、あとは主演だけかな(笑)。

――第1話でフィーチャーされた志田未来さんが演じる「神田和実」の役名も話題なりましたね。

【遊川】志田さんは、『女王の教室』の時にオーディションで起用したんです。当時、無名だった子役が、みんなに認められる女優になって、結婚までして、初めて僕が連ドラの演出をする第1回のメインを演じるとなったら、やはり特別な感慨を持つわけですよ。父親のような、祖父かもしれないですけど(笑)。「神田和実」に気がついて面白がってくれる人がいてくれてもいいし、知らない人は知らなくていいし。僕のドラマで家政婦を出すんだったら、「承知しました」と言わせるしかない(笑)(第5話)。そういうことができるのも、長年、仕事を続けてきたから。一種のごほうびとも言えるし、使命というか、責務というか。視聴者に楽しんでもらえたら、それが一番なんです。

■3月14日放送の最終回あらすじ
 占いはやめて、Dチームで働き続ける道を選択したアタル(杉咲花)。実はその頃、Dチームの仲間たちはそれぞれ新たな悩みに直面していたのだが、アタルに占ってもらうこともできなければ、誰にも相談できず、行き詰まり…!? やがて、アタルが発案したイベントの開催日が到来。紆余曲折を経て、アタルの心に制御不能の大きなうねりが生まれる! アタル、そしてDチームの仲間が最後に選ぶ道とは!?



関連写真

  • テレビ朝日系木曜ドラマ『ハケン占い師アタル』脚本と演出を担当した遊川和彦氏 (C)ORICON NewS inc.
  • アタル役の杉咲花(C)テレビ朝日
  • 最終回、(左から)品川(志尊淳)、上野(小澤征悦)、アタル(杉咲花)(C)テレビ朝日

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