フリーアナウンサーの久米宏（68）が3日、都内で行われた放送批評懇談会創立50周年記念式典に出席した。『ザ・ベストテン』『久米宏のTVスクランブル』『ニュースステーション』など、テレビの歴史を画す番組の司会、キャスターを務め、パーソナリティとしてのラジオへの貢献などが評価され、50周年記念賞を受賞。「最近はほぼ隠居状態。いきなりの賞をもらって、青天の霹靂でした」と喜んだ久米は、記念講演で「ラジオとテレビと格闘した46年。ほぼ50年です」とこれまでを振り返った。

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　久米は、太平洋戦争が始まる1年前の1944年に生まれた生い立ちから、1967年にTBSアナウンサーとして入社してからのキャリアを述懐。最初の3年間は激務と極度の緊張により体調を崩し、結核を患うなど「ほとんど仕事をしていなかった。実質43年です」。状況が好転したのは1970年5月、『永六輔の土曜ワイド』で中継レポーターに起用されたのがきっかけ。この日、会場には永六輔の姿もあり、久米は「まさか永さんがいるとは」と苦笑いした。

　『ぴったしカンカン』の萩本欽一、『ザ・ベストテン』の黒柳徹子、『久米宏のTVスクランブル』の横山やすしら仕事を共にした人たちとの思い出を語りながら「結局、やたらついていた。自分は運が良かった人間にすぎない。時代に恵まれたというと語弊がありますが、うまく時代と付き合った人だったと後で言われると思う」と感謝した。

　1985年から18年6ヶ月にわたってキャスターを務めた『ニュースステーション』では「1000万人の視聴者の目はどんな些細なことも見逃してくれない。服装もメガネも手に持つペンもフリップの出し方さえすべてに気を配った。最も大変だったのは体型の維持だった。キャスターのファッションも情報だから、最新最旬のファッションを着こなせるようにスタイリスト（妻の麗子さん）に命じられていた」と話していた。

　式典では50周年記念賞の贈賞式も行われ、『おかあさんといっしょ』（NHKエデュケーショナル）、『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』など数々の名作を世に送り出した脚本家の山田太一氏、講演会を行った久米、日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント』、日本初の独立系プロダクションとして放送界をリードしてきたテレビマンユニオンが受賞した。

　プレゼンターとして『おかあさんといっしょ』初代歌のおにいさん・田中星児、女優の八千草薫、『ニュースステーション』でスポーツ担当キャスターを務めた長島三奈らが登壇し、式典に華を添えた。