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ハリウッド新作『ゴジラ』、日米“ゴジラ観の違い”を超越するか?

 ゴジラ生誕65周年の今年、ハリウッド版の新作『GODZILLA ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が5月31日に日米同時公開される。米国でも、撮影現場レポートや監督インタビューなどから少しずつ内容が明かされ、メディアやファンサイトの記事が出始めている。期待と懸念、予測が入り混じるコメントの数々。その内容からは、日米の“ゴジラ感の違い”が見えてくるようだ。

『シン・ゴジラ』の米国での評価

 まず、ゴジラ映画としては“前作”にあたる、『シン・ゴジラ』の米国での動きを振り返ってみたい。日本では興収82.5億円の驚異的ヒットを飛ばした同作だが、米国では控えめな存在だ。興収は約2億円、評価においては、「日本の愛国主義の側面が強い」「長い会議や早口の会話が多い」「アクションやユーモアに欠ける」という論調が多く見られた。

 とくに、数多い登場人物の台詞が交差する演出のため、俳優の顔と声が一致しない米観客にとっては、人間関係を把握することはもちろん、今誰が話しているのかを追うことすら難しい場面もあっただろう(筆者も英語字幕・吹替で観たために、俳優になじみがあっても、台詞を追うのに精いっぱいで、映画のムードに入り込むのに時間がかかった)。国家的危機への向き合い方、政府組織や指令体系、文化、慣習、社会性など、さまざまな面で日本的と位置付けられてもいた。

 もちろん、それこそが同作の魅力のひとつであり、日本の観客に響いたポイントでもあるだろう。米同時多発テロを扱った作品が、米国と世界では違う温度差で感じられるのと同じように、震災後の日本の魂を含んだ作品に、同レベルのユニバーサル・アピールを求めるのはナンセンスだ。ただ、米国の観客にとって、距離感が遠く感じられたことは確かだろう。

ハリウッド新作『ゴジラ』への期待値は?

 こうしたこともあり、新作『GODZILLA ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は米国で、2014年の『GODZILLA ゴジラ』以来、5年ぶりのゴジラ映画として心待ちにされている。限られた情報を手がかりとするメディアやファンの前評判には、「ハリウッド映画としては初めて、ゴジラとモスラ、ロダン、ギドラが結集」「モンスターバース(米製作・配給元のワーナー&レジェンダリーが展開するゴジラやキングコングなどの怪獣フランチャイズ)を新たな高みに押し上げる1本になりそう」「映画史が誇る怪獣たちの争覇戦」といった期待の言葉が並んでいる。

 さらに、「昔のゴジラ作品と言えば、人間の存在感が欠かせないのに、最近のゴジラ映画には印象に残る人間キャストが(渡辺謙のほかに)いない。だからこそ、ミリー・ボビー・ブラウン、ヴェラ・ファミーガ、カイル・チャンドラー、そして再登場の渡辺に期待」といった声も複数ある。

『シン・ゴジラ』が日本列島の絆を斬新に描いた一方で、米国ではやはり、「巨獣の迫力アクション」と「家族の絆」を押し出したハリウッド・スタイルが期待されているのかもしれない。そのカギを握るミリーは、自身が主演するNetflixの大人気シリーズ『ストレンジャー・シングス』のシーズン3配信が控えている大注目女優であるため、かなりの看板になるはずだ。

提供元: コンフィデンス

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