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ハリウッド新作『ゴジラ』、日米“ゴジラ観の違い”を超越するか?

ゴジラ感の違いを超越する、世界的なヒット作品となれるのか?

 このように、『シン・ゴジラ』の動きとハリウッド版新作の前評判からは、日米の映画の楽しみ方や、高評価作品のタイプ、観客の趣向などの違いが浮かび上がってくるが、なにより“ゴジラ感”の違いも大きいだろう。

 日本人の私たちにとってゴジラとは、他の怪獣とは一線を画す特別な思い入れやノスタルジア、どこかスピリチュアルな感覚を持つ存在だ。原爆と震災を経験した日本が立ち向かう未曽有の危機(同時に国民を一体化させる神秘)に値する怪獣やモンスターなど、ゴジラ以外に考えられない。同じゴジラ感を、米国の一般観客と共有することは難しいかもしれない(コアファンやクリエイターたちはもちろん別だ)。

 とはいえ、3月末に開催されたコミック&ポップカルチャーのコンベンション『ワンダーコン』に登壇したマイケル・ドハティ監督は同作について、「ゴジラを単なる巨獣として描くのではなく、“神”のような存在感を再び入れ込んでいる」と語っており、その深みにも期待がもてそうだ。

 ハリウッド版の『ゴジラ』作品としては、同作に続いて来年、『ゴジラ VS コング(原題)』の公開が控えている。米国のファンの間では、「この2本が興行、評価の両面で成功すれば、日本の東宝がレジェンダリーとの契約を延長して、さらなるハリウッド版が生まれるかもしれない」という期待から、「(興行、評価の両面で厳しかった)1998年版の『GODZILLA』のように不発に終われば、東宝は今後、ハリウッドにゴジラを貸してはくれないだろう」という懸念、「この2本のあとは、東宝が新たな方向性で展開していくのではないか」という予言まで、さまざまな想いが飛び交っている。

 来年以降、ゴジラがハリウッド滞在を延長してくれるのか、それとも、日本に帰国してしまうのか。その行方は、『GODZILLA ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と『ゴジラ VS コング』の動向にかかっている。果たして、各国のゴジラ感の違いを超越する、世界的なヒット作品となれるのか?まずは、公開までの盛り上がりを引き続きウォッチしていきたい。
(文/町田雪)

提供元: コンフィデンス

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