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映画人・斎藤工としての立ち位置 適材で関わることが大切「仕上がり至上主義でいたい」

アナログとデジタルの共存がこれからのひとつのあり方

――斎藤さんのような動きは、なかなか日本の芸能界では難しいのでは?
斎藤工轍がないところに突き進むのはリスクが伴います。とくに映画監督は、世界的に見ても日本はかなり劣悪な環境にあると思っています。優秀な監督が、学校の講師をしている理由もわかります。若い人たちが憧れる職業ではなくなっている。もちろん、徐々にいろいろなことが変わってきていると思うし、すそ野は広がっていると信じている部分もあります。

――作品を届けるという意味では、「cinema bird」のような取り組みの意義は大きいですね。
斎藤工演じていても、製作していても、作品が届く場所を意識するべきだと思います。国や地域、文化が異なると、観客の楽しみ方が変わりますから。そして、とにかく観る人に届くことが大切。移動映画館をやるたびに、生まれて初めて映画を観る人がいるんです。目を輝かせ、忘れられない体験をして帰っていく。この活動は、ライフワークとして自分の人間としての基準にしたいと思っています。

――作品と出会う場のひとつとして、動画配信サービスもあります。
斎藤工僕はポジティブに捉えています。『麻雀放浪記2020』も白石監督はスマホで全編撮っているのですが、デバイスの進化に映画界も順応していく必要がある。音楽でもCDは売れなくなったと言われますが、フェスには人が集まる。動画配信サービスが市場を拡大しても、映画館がなくなることはない。例えば、佐々部清監督は、自分の映画の権利を持って、旅公演のように全国を回っています。アナログとデジタルの共存が、これからのひとつのあり方だと思います。
(文/磯部正和)

『麻雀放浪記2020』

 第三次世界大戦が勃発し、東京オリンピックが中止となった2020年の「戦後」の東京に、1945年の「戦後」から、男が時空を超えてやってくる。近未来の日本と対峙した男の眼には、不透明な国政、相次ぐ政治家の不祥事、人口減少、労働の搾取、少子高齢化、過剰な管理社会といった世の中の歪みや、時代の不寛容さが映る。さまざまな問題を抱える日本の有り様が浮き彫りになっていく、日本社会に警鐘を鳴らす衝撃のエンタテインメント。
監督:白石和彌
出演:斎藤工、もも(チャラン・ポ・ランタン)、ベッキー、的場浩司、小松政夫、岡崎体育/竹中直人 ほか
4月5日(金)公開
【公式サイト】(外部サイト)
(C)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会

提供元: コンフィデンス

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