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脚本家・古沢良太氏、日本のドラマシーンに持論「これからすごく面白いことになっていく」

 脚本家・古沢良太氏が、約3年ぶりに手がけた連続ドラマ『コンフィデンスマンJP』(ともにフジテレビ系)で、18年4月期の主要ドラマを対象とした『第12回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』脚本賞を受賞した。本作は信用詐欺師、二転三転する物語のジャンルを示す“コンゲーム”を題材にした物語もさることながら、中国、韓国でも自国版が制作されるという挑戦的な企画。約1年かけて1話完結のオリジナル作品を手がけた古沢氏に、執筆の過程を振り返ってもらうとともに、ここ最近、社会的なブームも巻き起こしている日本のドラマシーンの今後についても持論を語ってもらった。

“ローカル版の遊び”が作れる工夫も随所に

『コンフィデンスマンJP』キービジュアル (C)フジテレビ

『コンフィデンスマンJP』キービジュアル (C)フジテレビ

――「脚本賞」の受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想をお聞かせください。
古沢 コンゲーム(信用詐欺)というすごく難しい題材で、1年という時間をかけてじっくりと脚本作りをしたので、このような賞がいただけてとても嬉しいです。

――今回の作品は、日中韓で同時制作されるという意欲的な作品になっていますが、古沢さんのシナリオがベースになっているわけですね。
古沢 そうですね。でもまぁ、他国では自由にやってもらっていいということにしているので、韓国と中国では、その国なりの『コンフィデンスマン』になると思いますし、全く違うものになっても面白いなと思っています。ですから、長澤まさみさん演じる主人公のダー子には、忍者の格好をさせたりとか、丁半博打をやらせたりとか、その国ならではのアレンジができるように、ローカル版の遊びを作れるような工夫も入れているんです。

――信用詐欺師の設定は、日中韓の同時制作をかなり意識されてのものですか。
古沢 それは多少ありました。どの国でもわかるようなスケール感というか、そういう雰囲気があるものにしたいなと。また、日本の現状とか日本の社会はこうだから、ということをテーマにしたくなかったというのもあります。自分自身が、そういうものに興味が持てなくなっている時期でもあって、無国籍というか、そういうものにしたかったんです。悪が悪を懲らしめる、みたいな話ですからね。モラルや正義とは、一切関係ない人たちの話を作りたかったんです。

やりたいように生きようと思えるような“開放感”あるドラマを目指した

――1話約1時間のなかで、騙す設定から解決まで持っていくのは相当難しかった?
古沢 そうなんですよね。1話目から話を積み上げていく作品なら、回を重ねていくことでの面白さが出せるんですが、今回は1回1回全部チャラにしているので(笑)。毎回違うドラマをゼロから作っているような感じ。主人公たちが扮する役の設定も毎回変えないといけないし(笑)。1話完結の違うドラマを作っているような感覚でしたね。

―― 一番こだわった点はどこでしょうか。
古沢 騙す手口とかは、毎回鮮やかに作るのは限界があるなと最初から思っていました(笑)。それよりも、ダー子(長澤まさみ)とボクちゃん(東出昌大)とリチャード(小日向文世)、五十嵐(小手伸也)、この人たちが魅力的で、この人たちのやり取りが面白くて、仲間に入りたいと思えたり、(自分も)やりたいように生きようって思ってもらえたり、そういう開放感のあるドラマになったら良いな、ということに一番こだわっていた気がします。
――ダー子のキャラクターは狙い通りでしたか。
古沢 そうですね。狙い通りですけど、長澤まさみさんという人は、とにかくいろいろな魅力がある人なので、彼女の魅力が全方位、全開で発揮されるような役にしようと、より強く思っていました。長澤さんはそれをすごく楽しんで演じてくださいましたし、台本も一字一句、その通りにやってくれたので嬉しかったですね。

女賭博師や画家、忍者、地味なカフェバー店員、中国の国民的大女優など、鮮やかな七変化を披露した長澤まさみ (C)フジテレビ

女賭博師や画家、忍者、地味なカフェバー店員、中国の国民的大女優など、鮮やかな七変化を披露した長澤まさみ (C)フジテレビ

良い意見も悪い意見も、あまり深刻に受け止めない

――古沢さんはドラマのオンエア中、視聴者の皆さんの意見などは見聞きする方でいらっしゃいますか。
古沢 多少は見聞きしますけど、ほかの方と比べたらしていないほうだと思います。気にしていないこともないし、勿論励まされたりもしていますけど、良い意見も悪い意見も、あまり深刻に受け止めないようにしています。
  • 古沢良太氏 (C)oricon ME inc.

    古沢良太氏 (C)oricon ME inc.

――『コンフィデンスマンJP』に関して、視聴者から寄せられた声で印象に残っているものはありますか。
古沢 すぐ忘れちゃうんですよね、申し訳ないですけど(笑)。例えば、その時けなされているとすごく落ち込むんだけど、せいぜい僕3時間くらいなんですよ、落ち込んでいられるのが(笑)。でも、「ダー子の子猫(相手を騙す際の協力者のこと)になりたい」っていうツイートは印象に残っていますし、一番嬉しかったかもしれないですね。

――古沢さんは今の日本のドラマの現状について、どのように感じていますか。
古沢 「日本のドラマは話数が少ない」とよく言われますが、もしかしたら、2クールにわたって描かれるドラマもまた出てくるんじゃないか、という気もしています。『コンフィデンスアワード・ドラマ賞』も1クールごとにやらないほうが良いかもしれないですね(笑)。ドラマは3ヶ月っていうのを、周りが決めてしまっている感じもしますから(笑)。日本のドラマも、危機感みたいなものを多くの人が感じていて、新しい動きもどんどん出てきているので、これからすごく面白いことになっていくと僕は思っていますけど。

もっともっとワクワクすることをやっていきたい

――2クールや1年間描くドラマは、書き手として魅力的なものですか。
古沢 そうかもしれないですね。内容にもよるでしょうけど、個人的に『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)とか良いなぁと思うし(笑)。あれくらい長くやっていると、最初、端役だったキャラクターがどんどんメインになってきたり、メインと関係ない話で何話か作れたり。そういう物語の世界がどんどん広がっていく感じが、やりがいがあるなと思います。

――今後はどんなものをやりたいですか。
古沢 具体的にはあまりないですけど、人がやっていないことができたらいいなと思っています。
――そういう意味ではこの作品は、それへの糸口になるというか。
古沢 そうですね、そうなったら良いですけど。少しずつ既存の枠を壊すというか、はみ出たことをやれるようになってきているので、もっともっとワクワクすること「こんなこともできるんだ!」と思えるようなことをやっていけたらいいですね。

――『コンフィデンスマンJP』は映画化され、劇場公開されるとのことですが、1時間の枠に収めるのが難しかった話も、映画ならたっぷり描けそうですね。
古沢 いやぁ映画でも、そんなにできないんですよね。結局入らないなぁと思ったり(笑)。ただ、映画版もきっと楽しくなると思います。もっとも、映画化が嘘じゃなければですけど(笑)

提供元: コンフィデンス

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