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ぺえが縛られた「オネエ」という役割、葛藤乗り越えたどり着いた先「傷や痛手もすべて財産」
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「もっとオネエっぽく振る舞って」、心を失っていたバラエディー時代
初のエッセイ『退屈の愛し方』(KADOKAWA)
「自分を偽らず、無理せず、心地よくいられる環境を求めたら、今いる場所に至ったという感じです。メディアに出させていただくようになってから3年くらいの私は、心がなかったですから。あの頃の自分の姿は、痛々しすぎて見てられないですね(笑)」
7年前に山形から上京し、原宿のショップ店員に。店に集まる女の子たちの悩み相談に耳を傾けるうちに、やがて「原宿の母」と呼ばれるカリスマ的存在となった。
「バラエティー的にはちょうどりゅうちぇるなどが“ジェンダーレス男子”として注目されていた頃で、私もその枠でお呼びがかかったんです。そうしたら『あれ、この子もしかして?』ということで今度は“オネエ枠”に。だけど、テレビが求める“オネエの型”は、私にはハマらなかったんですよね」
恋愛の対象は男性だが、女性になりたいわけではない。性別で括れないファッションも、好きでしているだけ。そんなぺえを学生時代から家族や友人も「なんとなく」認めてくれていたという。
「だから、普段からオネエ口調を使うことがなかったんです。それとどこか俯瞰して物事を見る性格で、みなさんがこの“枠”に期待する突き抜けた明るさもない(笑)。それでも『もっとオネエっぽく振る舞ってください』って言われて、自分なりに頑張ってたんです。私も芸能界の栄光のようなものに目が眩んでいたし、求められる型に寄り添わなかったら切り捨てられる世界だってわかっていたので。あの頃は知らず知らずのうちに傷ついたり、疲れ切っていることにも気づかずに突っ走っていました」
コンプラ時代の“オネエ”、腫れ物のように扱うことで「さらに傷つけてませんか?」
「“オネエ”が難しい言葉になっちゃいましたよね。私は特にこだわりがあるわけではなく、今のところほかに言葉がないから自己紹介に使っているだけなんです。もちろんその言葉に傷ついてきた人はいっぱいいるし、悪意を持って使うべきではないと思うけれど、メディアで発信しているLGBTの人はある程度、傷つくことも覚悟して矢面に立っている。それを腫れ物のように扱うことで、『さらに傷つけてませんか?』と思うことはありますね」
ぺえが違和感を抱いているのは、“オネエ”という言葉そのものではない。
「私自身は、男とか女とかいう括り自体どうでもいいんです。だから、“男だから”“女だから”という括りと役割に縛られない自分の状態がけっこう好きですね。自由でいいなって」
ところが、メディアに出た途端、「オネエだから」という括りと役割に縛られることになった。
「オネエはズバズバと物を言うとか、お酒が強くて毎晩のように新宿二丁目に繰り出すとか、感情表現が豊かだとか、私はどれにも当てはまらないので困ったもんだなと(苦笑)」
最新のエッセイ本『退屈の愛し方』(KADOKAWA)の帯には、不機嫌な顔でウェディングドレスを着るぺえがいる。
「ウェディングドレスは幸せの象徴だって、誰も疑わないじゃないですか。でも本人が幸せじゃなかったら、笑わなくてもいいはず。“男”も“女”も“オネエ”もその状態や言葉だけでカテゴリー分けしないで、もっとニュートラルにその人がその人のままでいられたらいいのにな、という願いをこの写真では表現してみたかったんです」