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ピザにパインは本当に邪道なのか? 食わず嫌い多数の“温めたパイン”メニューが絶えない理由
食べたことある人の過半数が「好き」と回答、「嫌い」のほとんどは食べたことがない?
「好き」という人の理由として、「酸味が良いアクセントになっている」(男性/10代)、「酸味と繊維感がざくざくしていておいしい」(女性/20代)、「新鮮な味わい」(男性/30代)、「プチ贅沢感」(男性/40代)、「味の変化が楽しめる」(男性/40代)、「さっぱりした味がところどころ入ることで、飽きないで食べられる」(女性/50代)などの声が挙がった。
パインが乗ったピザに限らず、そもそもの「甘じょっぱい味」の好みについては、「好き」が42.3%、「嫌い」が31.2%という結果に。「好き」な理由としては、「甘さが引き立つから」(女性/30代)、「ミスマッチ的な味のハーモニー」(女性/40代)。「ポテトチップスにチョコレートがかけてあるものが好き。スイカに塩をかけるのと同じ」(女性/40代)などの回答。塩気と甘みの融合は一種の中毒性があり、一辺倒な味ではないことから、飽きの来ない深みのあるフレーバーという認識があるようだ。
日本上陸から20年以上、いまだ市民権を得たとは言えない… その理由は国民性?
発売当初、『ハワイアン』を注文するのはアメリカ人や東南アジア系など、外国人がほとんど。徐々に日本人にも浸透してグランドメニューとなったが、市民権を得たと言うにはほど遠いというのが現状だ。つまり、洋食文化がかなり浸透した令和においても、パインが乗ったピザは一部の人たちの嗜好であり、「ピザにパインは不要」とする人たちとの論争はいまだ終焉を迎えていない。
パイン新メニューには社長も部長も揃って難色… それでも“食わず嫌い”に挑む理由とは
前述の調査においても、パインが乗ったピザを食べたことがあるユーザーの意見として、「想像したより美味しかった」(男性/30代)、「始めは抵抗があったが、食べてみたらとても美味しかった。チーズに合う」(女性/30代)、「以前はありえないと思っていたが、あの酸味が塩味とあわさり、絶妙だと気づいた」(女性/40代)など、その意外性を挙げる声が多数だった。食べたきっかけについても、「米軍のイベントのお土産で頂いたピザがベーコンとパイン。初体験で驚いたけど、食べてみたら美味しかった」(女性/40代)、「すすめられて食べたらとても美味しかった。しょっぱさと甘さが癖になる」(女性/30代)など、“食わず嫌い”が意見を180度反転するパターンも多く見られた。
食材100種から選抜された“パイン”は、潜在顧客層の獲得秘めた戦略メニュー
「トッピングメニューの候補は、約100種類の中から絞ったのですが、やはりパインを加えることへの躊躇はありました。そもそも、社長含め、ピザ好きの社員たちですら大半が苦手なのですから(笑)。ですが、女性社員に意見を聞いたところ、パインが合うのではないかと。そこで独自に弊社で調査したところ、パインを組み合わせることに対して一定数の好意的な結果が出たのです。肉料理であるプルコギは若い男性のイメージが強いですが、実は老若男女から愛されるトッピング。キムチやハラペーニョなど、濃い味が集まっていく中で、“異色”かつ“さっぱり”で、表情を変えることが出来るパインが選ばれた経緯もあります」
他にも、バナナやリンゴという案もあった。だが、硬すぎず柔らかすぎない食感や、甘すぎず酸っぱすぎない味わい、さらにみずみずしさなどを踏まえ、やはりピザや肉料理との相性はパインが抜群なのだという。プルコギとのバランスを考えてパインの量や形も細かく調整し、試作数は約200回に及んだ。
ピザのパイン論争に一石を投じるかもしれないプルコギ&パインの組み合わせ。多様化の時代、日本では食わず嫌いが多数派であるパインピザが市民権を得られるかどうか? 今後の成否を占う、試金石となるはずだ。
(文=衣輪晋一)