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「凄すぎて言葉にならない」写真に39万いいね “富士の病”に侵されたカメラマンに聞く富士山の魅力
日本一の山で、日本一のバズりを体感「作品として使える写真は年間数枚」
【橋向 真】撮影したのは2月1日の16時頃です。ライブカメラを見たら、富士山の上に“笠雲”が発生していたので、これはおもしろい展開になりそうだと予感し、慌てて家を飛び出しました。かなり反響があり、2月1日のツイートでは、日本一のバズりだったとコメントが届きました。
――あれほど迫力のある撮影をするのは大変だったのではないですか?
【橋向 真】今回は慌てて家を出たこともあり準備不足で、タイムラプス用のカメラのバッテリーが無くて焦りました。しかしこの状況は何としてもタイムラプスにしないと勿体ないと思い、iPhoneを無理やり固定してタイムラプス撮影をしています。
――自然を撮影するのは難しいと思うのですが、ひとつの作品を撮るまでにどれくらいの時間がかかるものでしょうか? そのほか、富士山の写真を撮ることの大変さを教えてください。
【橋向 真】1枚の作品にかかる時間はまちまちです。何時間かけて撮影しても、本当に作品として使えるようなものは一年を通しても数枚しかありません。ただ撮ればいいというものでは無いのが難しいところですね。
富士山景写真に欠かせないのは“雲”「人生を変えてしまうほどの魅力を秘めた山」
【橋向 真】やはり、富士山に欠かせない絶対的な要素は雲ですね。今回の写真に写っている笠雲もそうですが、他にも雲海、吊るし雲など…。あとは夕焼けや朝焼けなど、光の色も重要です。写真にどれだけ驚きや感動、美しさが閉じ込められるのかが僕の写真のキーポイントになります。
――富士山の魅力に取りつかれた方のことを“富士の病”と呼ぶこともあるようですが、橋向さんの思う、富士山の魅力を教えてください。
【橋向 真】一言では言い表せないのですが、富士山を追いかける事で自然の素晴らしさを肌で感じ、感激し、時には震え、時には辛い思いをする。そんな中で同じ富士山を追いかける仲間達と出会い、互いに切磋琢磨してスキルを上げていく。姿かたちだけでなく、富士山が僕自身に与えてくれるものすべてが富士山の魅力です。人生を、変えてしまうほどの魅力を秘めた霊峰なのです。
――橋向さんは普段の生活の中で、富士山とどんな形で向き合っているのでしょうか。
【橋向 真】静岡県静岡市出身で、現在も住んでいます。普段はパン工場に勤務していて、2012年頃から富士山撮影を開始しました。休日や仕事終わりなどに撮影に出掛けるスタイルを8年以上続け、SNSを使って世界に富士山の魅力を発信しています。撮影は趣味にとどまらず、『感動の富士景100選』などの著書を出版させていただいたり、『新・富士山景』カレンダーを撮影したりもしています。
――カレンダーのお写真も、とてもキレイでした。
【橋向 真】出版元のインプレスさんとは雑誌の『デジタルカメラマガジン』でお世話になっていまして、担当の編集者さんが僕の撮る富士山を気に入ってくれて、カレンダー担当部署に僕を紹介して頂きました。今年も発売が決定していますが、今回で3年目になります。
――かなり忙しそうですね。そこまで富士山の魅力にハマったきっかけがあれば教えてください。
【橋向 真】もともと、そこまで富士山が好きで撮影を始めたわけではなかったんですけど、静岡出身というともあり、追いかけているうちに富士山の美しさや富士山を取り巻く自然の魅力にどんどんのめり込んでいきました。
SNSにこだわる理由は「富士山に興味がない人の目にも触れる可能性があること」
【橋向 真】やはりなんと言っても今回のように、富士山に興味が無い人達にも知って頂けるということですね。SNSであれば海外の方にも伝わる可能性がありますし、現に今回のツイートは、海外のニュースメディアでも取り上げていただきました。富士山の凄さを知って貰える素晴らしいツールです。
――コロナ禍により、これまで通りのレジャーが楽しめず、自然に目を向けている方も増えているように感じます。今後、どんな方に富士山の魅力を知っていただきたいですか?
【橋向 真】富士山が見えない他県の方々に、もっと富士山の魅力を伝えていきたいし、知って欲しいですね。また、僕が富士山を撮り始めた頃は若い世代のカメラマンはまったくと言っていいほどいなかったのですが、今はかなり状況も変わって来ました。もっともっと若い人達に富士山の魅力を知って欲しいですね!
――橋向さん自身の、今後も目標などあれば教えてください。
【橋向 真】“とにかく凄い富士山”の写真集を出版する事です!
information
『新・富士山景CALENDAR 2021』
『癒しの富士カレンダー』 卓上タイプ (2021年版)
〇著書
思い描いた世界観を表現する仕上げの技法 超絶レタッチ術 (こんな写真が撮れるのか! シリーズ)
色と構図で風景をアートに変える 四季の風景写真術 (こんな写真が撮れるのか!シリーズ)