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「おとぎ話…?」奈良公園の子鹿写真に反響、移住カメラマン語る鹿への10年愛

 歴史ある奈良公園の可愛らしい鹿たち。先日、大木の洞の中に座る子鹿の写真がTwitterに投稿されると「おとぎ話みたい!」「絵本の世界」などのコメントとともに3.2万RT、16.2万いいねの大きな反響をよんだ。まるで時が止まったかのような神秘的な写真を撮るのは、フリーランスで映像系のお仕事をする傍ら10年以上鹿を追い続け、2018年には大阪から奈良へ移住したしかCさん(@igufoto)。観光客も減少した奈良のまちで、いま鹿たちはどのように過ごしているのだろうか。SNSや写真集制作などで独自の世界観を発信するしかCさんに、鹿の魅力についてお話を聞いた。

鹿と人間は「鹿せんべいだけの関係」でしかなく、そんなドライな感覚も好き

――先日投稿された「木の空洞で休む子鹿」には多くのRTやいいね、リプライがあり、話題となりました。
しかCさん 素直にとっても嬉しい反面、RTやいいねが多くなるとなんとなく怖くなってくるので少しびくびくしていました。「見つけてほしいと見つけないでの間の気分」みたいな感じです。

――なぜ鹿の撮影をするようになったのでしょうか?
しかCさん 本当は人間を撮るのが一番面白いと思うのですが、実は人とのコミュニケーションが苦手で…それでも撮れるような被写体を求めた結果、奈良の鹿に行き着きました。いくら撮っても文句は言われないし、肖像権も気にしなくていいし、奈良公園にさえ来ればいつでも会える。こんな最高な被写体は他に無いと気づいたのがきっかけです。

――魅力的な被写体ですね。
しかCさん そうなんです。あとは、本来なら人間にとって害獣になり得る鹿が、奈良公園では文化遺産や観光客と同居しているという点が奇妙で面白いですね。人に近寄ってくる鹿は、あくまで鹿せんべいを求めているだけで、鹿せんべいを持ってないないと分かると途端に興味を失って去っていきます。どこまでいっても「鹿せんべいだけの関係」でしかなく、そんなドライな感覚も好きです。

――特定の鹿を定点的に撮影している投稿もありましたね。
しかCさん わかりやすい特徴を持った鹿は覚えやすくて。耳が垂れてている・アゴが出ている・頬が膨れている等の鹿は一度確認できれば次に会った時も識別できます。

――すごい!
しかCさん 奈良公園の鹿は、各々「泊まり場」と「採食場」が決まっていて、そのエリアをだいたい決まった時間に行き来しているので、それを特定できれば定点観測が楽になります。顔やからだの特徴と、生活エリア特定の組み合わが上手くいけばかなりの精度で識別できるようになるんですよ。ただ、夏毛の時の斑点「鹿の子模様」は“人間の指紋のように1頭1頭違い、模様は一生変わらない”らしいのですが、これで識別できた事は一度もありません。難易度が高いです(笑)。

5〜6月は鹿の出産シーズン、絶対に子鹿には触らないようにしている

――どの写真も鹿たちの表情やしぐさ、感情が伝わる写真ばかりですが、撮影の際はどんなことに気をつけているのでしょうか?
しかCさん 技術的なことで言うと、人工的なもの、人間や中途半端な位置で他の鹿などがフレーム内に入らないよう避けています。そして、ほぼ全ての写真は望遠レンズで撮影しており、遠くから背景込みで望遠圧縮することで「絵」のような構図にするのが自分の好きな撮り方です。グラフィックデザインの感覚で構図を作ったり撮影後に色を調整したりしていますが、あくまで調整であり、合成などは絶対にやりません。また、出来る限り自然な姿を撮りたいので、エサなどで鹿を誘導して撮影することはなるべくやらないようにしています。

――なるほど。奈良の鹿たちは人間に慣れているとはいえ野生動物ですもんね。
しかCさん はい。例えば、5〜6月は出産シーズンで子鹿がたくさん生まれ、自分も子鹿の写真を撮りますが、その際にはなるべく近づきすぎないようにし、絶対に子鹿には触らないようにしています。

――なぜですか?
しかCさん 人間の臭いが付くと、親鹿が自分の子鹿を認識できなくなってしまうんです。また、秋になると鹿が発情期に入り、オス鹿に不用意に近づくと攻撃されてしまう恐れがあり危険なので、十分に距離を取るようにしています。実際、去年の秋、興奮しているオス鹿に近づきすぎて突進されてしまった事があり、幸い怪我などは無かったのですが、この時ばかりは角切りをしてくれている鹿愛護会に心の底から感謝しました。
――SNSに投稿する際の心がけなどはありますか?
しかCさん コメントについては、写真や動画について直感で思ったことを、少しでも面白い表現になるように言葉を選んでいるつもりなのですが…いかんせん文章のセンスがそこまで良くなく(笑) 。また、写真としてはイマイチでも、いろいろ書くと面白くなりそうなものは頑張って文章を添えて投稿したりもします。なんにせよ鹿がかわいく撮れている写真は皆さんの反応が良いです。美しいよりもかわいい。かわいいは正義なんですね、やっぱり。

――コメントを拝見すると、地元の方々との交流も見受けられますが、SNSでの交流の楽しみや、交流があってよかったことはありますか?
しかCさん 自分よりも遥かに鹿愛が強い方がたくさんいらっしゃって、みんなそれぞれ鹿愛を表現していて。そうした方々の多方面からの鹿への考え方に触れられるというのは、とても為になります。

コロナ禍で観光客減も、奈良公園内は以前と変わりなく鹿は暮らしている

――昨今、新型コロナウイルスの影響で、奈良の街が静かになり、鹿たちの様子にも変化が…といったニュースもありました。しかCさんから見た今の鹿たちはどんな様子ですか?
しかCさん コロナウイルスによるインバウンドの観光客が激減した件と、鹿の行動の変化にどういった関係性があるのか、自分自身もはっきりわからないのですが。確かに春以降、以前はあまり見かけなかった場所(ならまち等)に鹿の姿を見る事が多くなったと思います。ですが、奈良公園内は以前と変わりなく鹿は暮らしていますし、鹿せんべいの波動を感じるとものすごい勢いで「ちょうだいちょうだい!」と迫ってきます。凶暴化したというような話題もありましたが、特にそのような印象はありません。

――最後に、これから観光で奈良を訪れる人に向けて鹿たちとの上手な付き合い方を教えてください。
しかCさん 鹿せんべいを与える時は、鹿がお辞儀をするといって面白がって焦らしていると服を噛まれたりするので、なるべく素早く与え、手のひらを見せて「もう持ってないよ」のサインをすると、諦めてくれたりします。また、小さなお子さんは注意が必要です。鹿は「自分よりも小さいぞ」と思ったら、強気に出て子どもに攻撃することがたまにあるんです。お子さんが鹿に接する時は、お父さんやお母さんが側についてあげることが、鹿にとっても人間にとっても安全ですね。

――鹿にも思いやりをもって接することが大事ですね。
しかCさん 実は、去年、鹿がお菓子の袋やビニール袋を誤って食べてしまって死亡するというケースが話題になったんです。そこから奈良公園になるべくビニール袋を持ち込まないようにしようという取り組みができました。こういった、鹿と人間の共生を考えた取り組みが積み重なることで、観光客を含め、奈良公園に関わるみんなの意識が少しずつ変わっていけば素敵だなぁと思います。
【しかCさん】
Twitter:@igufoto
Instagram:@igu_foto

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