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アパホテル社長、風評被害への思い語る 新型コロナ患者受け入れは「簡単な道ではなかった」
“ピンチをチャンスに” 会社最大の危機も振り返れば「あれでさらにいい会社になれた」
元谷社長13年前に耐震不足の問題でアパが取り上げられて大変辛い思いをしたことがありました。私たちはデータ改ざんや悪いことは一切しておりませんが、ちゃんと建築確認許可をいただいて建てたものに対して、オープンして6年半も経ってから、実は耐震強度が不足していた連絡がきて、私としては青天の霹靂でした。でも、今思えばあれでさらにいい会社になれたなという思いは持っておりますね。銀行からも借金の返済を迫られ、約300億を半年で返したのですが、その後にリーマンショックが起きて地価が下がりまして。ちょうどそのときに借金がなくなって、売ったもののお金が手元にあったものですから、皇居の周りに70箇所近く一気に現金で買いまして、それが今のアパの都心に70以上あるホテルの元になっているので、今思えば大変だった時がチャンスになったのかなと思います。
――常に現場に赴き、人のため、国のために動かれている印象ですが、元谷社長が考える“おもてなし”とはなんでしょうか?
元谷社長“お客様は神様”というよりは、“対等な関係”でいたいと私は考えています。ホテルの起源というのは、昔貴族の方が旅をなさったときに、お友達の貴族のお城に泊めてもらい、もてなしを受けて、逆にお友達の貴族が来たときにはもてなしたことが起源だったと勉強しました。ですから、ホテルのスタッフは昔の召使のようにおもてなしをするものだと思われてきました。しかし、お客様を大切に思うことはもちろん、私たちも自分の仕事に誇りをもってお客様をお迎えする。その姿勢をアパ哲学として大切にしております。
――日本のサービスは時に“過剰”だったり?
元谷社長そうですね。必要なサービスはもちろんありますが、過剰なサービスも伝統的にたくさんあると私は思っております。アパには1千室を超えるホテルといえどもドアマンはおりませんし、お荷物をお持ちしてお部屋の案内をいたしておりません。私が必要ではないサービスだと判断したところはシンプルにさせていただき、その分サービス料をカットしたり設備や朝食をグレードアップさせたりしてご満足いただければと考えております。
元谷社長当然です!社長っていうのは自分の手柄はいらないんです。部下が頑張ってくれた結果が、全て社長の評価であり会社の評価でありますので。会社っていうのはどうしても堅い組織になりがちですけれども、私が目指しているのは家族経営ですね。石垣のように、いろんな大きな石も小さな石も崩れずに、いろんな石が積まれてそして大きなお城を支えているわけですね。だから、土台は個性的で力の違った色々な方がいて、それを私は母親のような気持ちで見守り、のびのびと仕事をしていただく、そういう家族的な経営を創業以来ずっと目指してまいりました。
――元谷社長就任後に社内結婚が増えたんだとか?
元谷社長やっぱりピンと張り詰めたギスギスした空気だとなかなか働いている人が素敵に見えないじゃないですか。今は社内結婚がずいぶん増えてまいりましたね。会社が明るく活き活きとして業績も伸びていて、働いている社員が輝いてハンサム・美人に見えるのはいいことですよね。そうすると余裕も生まれるし、会社の定着率も上がりますし、風通しも良くなります。噂で恋愛話を聞いたら、男の人には「責任を持ってあげてね」ってちょっと先手を打つんですけどね(笑)。
落ち込むことは「全くありません!」いかなるピンチもチャンスに変えるパワーの源とは
元谷社長家族ですかね。頭のいい男らしい類稀なる経営素質をお持ちの旦那様に教育していただいて、幸せなホテル社長の人生を送れることとか、賢い息子、優しい孫たち、綺麗なお嫁さんの存在。それから何にも置いて私を信頼してくれている6000人もの部下たちが私のパワーになっています。そしてお客様ですよね。ありがたいことだと思います。
――社長が落ち込むことはないのでしょうか?
元谷社長全くありません!こんなに幸せで、会社のみんなやお客様のおかげで表舞台に立たせていただいて、健康で働けますことを何よりも幸せだと思っていて、感謝の気持ちしかありません。命ある限りは何があっても大丈夫、と思っています。
――最後に、元谷社長の目標を教えてください。
元谷社長90歳ぐらいまではミニスカートで、現役で社長をやらせていただけたら本当にありがたいですね。健康管理に気をつけて頑張ってまいります!
(文=田崎理紗)