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“#秒で漢字暗記”でブレイク 芸歴21年オジンオズボーン・篠宮が達した“芸の境地”とは?

 昨秋ごろから、話題となっている“#秒で漢字暗記”。「鬱」や「薔薇」といった書くのが難しい漢字を独自の区切り方でパーツに分け、それをパーツごとの読み方でリズムよく口に出すことで漢字を簡単に覚えられるネタだ。SNSでは「特許レベル」「学生の頃に知りたかった」など大きな話題になった。同ネタを考案したのは、お笑いコンビ・オジンオズボーンの篠宮暁。昨年の『R-1ぐらんぷり』では準決勝進出し、5月には2作目の漢字本を出すなど、芸歴21年目にして最大風速の追い風が吹いている篠宮だが、16歳でお笑いの世界に飛び込んでから、紆余曲折があった。デビュー後から「暗黒期」と語る時代の話、漢字ネタの誕生秘話、さらに昨今の「誰も傷つけない笑い」という風潮への感想などを篠宮に聞いてみた。

きっかけは「クイズ番組に出たいから」受験した漢検!? “#秒で漢字暗記”誕生秘話

──話題の「#秒で漢字暗記」、考案のきっかけは「クイズ番組に出たかったから」と言われていますが、本当にそんな"不純"な動機からだったんですか?
篠宮暁半分は本当なんですけど、経緯はもうちょっと複雑で。3、4年前に今のマネージャーさんから僕と相方・高松にある宿題が出たんです。高松にはMCの勉強のために新聞を読み、漢字を覚えること。僕には純粋にギャグを作れというもの。その成果をライブで発表しますということで、相方が漢検3級にチャレンジすることをお客さんに告知してたんですが、そのライブで「僕も実は受験してました」「いや、なんでお前も受けてんねん」という展開を作りたくて、相方にも内緒で勉強してたんです。

──そして結果は高松さん不合格、篠宮さんだけが合格と(笑)。
篠宮はい(笑)。「#秒で漢字暗記」と同じ発想で、漢字をパーツで分けて覚えるやり方は、小中学生の頃からやってたんです。僕は16歳で養成所に入って、そこからはお笑い1本でほとんど勉強もしなかったので、改めて漢字を勉強してみたら面白くて。でも、「クイズ番組に出たかった」というのも本音です。芸歴的に『M-1グランプリ』も出れなくなったし、これから芸人をやっていく上でスキルを身につけると言いますか。漢検1級とか取ったらクイズ番組に呼んでもらえるんちゃうかなって。安易な発想ではありますけど。

──ちなみに相方の高松さんは「漢字芸人」としての篠宮さんの活躍をどう見ているのでしょうか?
篠宮純粋に「よかった」って言ってくれてますね。「自分にはできないネタだし、ええんちゃう?」みたいな感じで。いや、一度はこれをコンビでやってみようと、「簡単な漢字でネタ作ってみたら?」と誘ったこともあるんですよ。けどやらないんで、『じゃあいいわ』ってことで当分はピンのネタとしてやっていこうと思ってます。そもそも高松は漢字に興味がないんですよ。漢検3級に落ちたときから薄々気づいてたんですけど(笑)。
──今年1月8日放送の「東大王3時間スペシャル」(TBS系)に初登場。2月には初の漢字ドリル、そして5月には2作目となる『書けたらカッコイイ 漢字が秒で覚えられる!』を刊行と「漢字芸人」としての足場を着々と固めています。
篠宮いや、でもまさかこんなことになるとは。「嘘やろ?」みたいな、妙に冷静な気持ちですね。小学生の親御さんから「漢字に興味を持つようになりました」「(漢字をきっかけに)勉強が嫌いだった子が机に向かうようになりました」とか感謝されたり、こんな反応は芸人を21年やってて初めて。ちなみに3歳と5歳のうちの子は、ひらがなもろくに書けないんですけど、耳で覚えたみたいで、最近はおぼつかないながらも漢字を書いたりするようになったんですよ。
──最初にYouTubeで発表したのが「鬱」という漢字の覚え方。音ネタ、リズムネタを得意としてきた篠宮さんですが、これも最後の「ヒミー」の絶叫が爆笑を呼んでいます。
篠宮動画にあげるからには覚えやすいだけでなく、ちゃんとギャグにしたかったので、「木缶木ワ凶ゝゝゝゝヒミ」とパーツに分けて、「キカンキワ キョウ ワチョ ワチョ ワチョ ワチョ ヒミー!」。4つの点を「ワチョ」と連呼するのは、『北斗の拳』の秘孔を突くイメージですね(笑)。書き順はめちゃくちゃなんですけど、少し前に対談させて頂いた国語の大学教授の方から「書き順より書ける事の方が大事」とお墨付きを頂いております(笑)。

自身の考えが間違っていたことを再確認した大竹まことの一言

──篠宮さんは1999年にオジンオズボーンとしてデビューされ、早くから頭角を現されました。特に『爆笑オンエアバトル』(1999〜2010年・NHK総合)ではゴールドバトラーに認定されるなど好戦績を残していますが、当時はどのようにネタ作りしていたのですか?
篠宮『オンバト』には、結成してまもない頃から、10年目の手前まで出させてもらっていて、最初の頃はネタ番組も少なかったのでありがたかった。ただこの番組って観覧のお客さんの投票で上位5組に残らないと全国オンエアはされないシステムで、また観覧者も老若男女だったので、だんだんと「トンがったネタよりも、わかりやすいもののほうがウケるんじゃないか?」という発想になっていきました。今思うと、浅かったですね。トンがったネタでちゃんと笑いを取ってた芸人さんもいましたから。

──『オンバト』だけでなく、2001年からは『M-1グランプリ』(2001年〜10年、15年〜・テレビ朝日系)もスタートし、ネタ番組も増えました。2000年代中盤以降は、お笑い芸人にとっていい流れがくる一方で、篠宮さんにとっては21年の芸歴の中で最も苦しんだ時期だったと伺いましたが…。
篠宮『オンバト』に出ていた途中から、『M-1』が始まってお笑いブームが来て、同じくらいの芸歴のキングコングやピース、南海キャンディーズの山里亮太さんなどがどんどんブレイクしていきました。一方で僕らはあまり実績をで残せないまま、芸歴だけを重ねて、やがて『M-1』の出場資格(当時は結成10年以内)もなくなり…。その時期は本当にしんどかったですね。でも仕事がなくなったことで、逆に開き直れました。お客さんに合わせるみたいなことを考えずに、純粋に自分が面白いと思うネタを追求していこうと。
──その開き直りが、『THE MANZAI』(2011年〜・フジテレビ系)で12年、13年と2年連続で認定漫才師に選ばれるなど、全国区の知名度へとつながっていきます。紆余曲折の芸人人生の中で、自身にとって支えになった言葉、影響を受けた言葉などはございますか?
篠宮14年頃、大竹まことさんの「ゴールデンラジオ!」(文化放送)にレギュラーで出せてもらっていて、収録後にしょっちゅうお茶をご一緒させてもらってたんです。あるとき「芸能界で生き残ろうとしたやつから消えていった。だからお前らも残ろうとするんじゃねえぞ」と大竹さんがおっしゃって。そのとき僕は『オンバト』の頃のことをパッと思い出したんですよね。ああ、やっぱりあのやり方はダメだったんだなと再確認した一言でした。

傷つけないお笑いは結果論…トレンドに振り回されず目標は“芸歴100年”

──昨今、「誰も傷つけないお笑い」が良いといった風潮があります。「#秒で漢字暗記」もある意味で「誰も傷つけない」ところがありますが、そこは意識しているんでしょうか?
篠宮いや、それはあくまで結果論だと思うんですよ。たぶんぺこぱもミルクボーイも人を傷つけまいとしてあのネタに至ったんじゃなくて、”自分たちの中のおもしろ”を純粋に追求していった結果、世間がそういう評価をしてくれたんだと思う。もし最初から「傷つけまい」と思ってネタ作りをしたら、あのネタも生まれなかったかもしれない。僕も別に傷つけないつもりで「#秒で漢字暗記」を始めたわけではないです。でももし『オンバト』の頃にこのトレンドが起きてたら、「誰も傷つけないお笑い」に寄せていこうとしてたかもしれない…。そう考える怖いですね、トレンドはいつかは終わりが来ますから。

──では「#秒で漢字暗記」で到来したこのビッグウェーブを、21年目以降の芸人人生にどのように生かして行きたいですか?
篠宮それこそトレンドとかに振り回されずに、自分の中で今、何が一番面白いかを追求し続けることに尽きるんじゃないかと思いますね。16歳でこの世界に入って、周りにはものすごく売れた人もたくさんいますが、それ以上にやめていった人は数知れないほどいます。だけど僕はずっと芸人を続けたい。できれば116歳まで生きて「芸歴100年です」って言いたいんですよ(笑)。
◆最新リリース
『書けたらカッコイイ 漢字が秒で覚えられる!』
篠宮暁 著
5月26日発売
(高橋書店)
※デザインは変更になる場合あり

出版社「高橋書店」の”篠宮流”覚え方

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