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“企画成立屋” 勝俣州和の矜持 とんねるず、ウンナン、ダウンタウンら大物芸人との秘話も
スタッフとの“熱量の差”を感じることも?「今のバラエティは“インスタント料理”が多い」
勝俣州和いやぁ、僕なんて大した存在でもないと思うんですけどねぇ。ただ、良い番組、気骨のある番組のスタッフは僕の使い方を良く熟知してくれているというのはありますね。僕がポジション一番活きるポジションだったり、タイミングを分かってくれているというか。逆に何となく呼んでくれたような番組スタッフは飛車とか角をもらっても使い方がわからなくて、歩に取られちゃうみたいなね(笑)。
――“番組成立させ屋”の異名を得るに至った勝俣さんの出発点はやはり萩本欽一さんになりますよね?
勝俣州和そうですね。欽ちゃんの番組から僕のバラエティキャリアはスタートしました。それこそ、演者全員集まるのはもちろん、プロデューサー、ディレクター、カメラマンから美術さんに至るまで、ほぼすべてのスタッフが集合してミーティングや稽古を何日もかけてやって、その上で週一回の放送本番を迎えるんですね。
――今では考えられないようなスケジュールですね。
勝俣州和当時はそれが当たり前だったんですね。チームワークと情熱が一体となって1つに番組が成立する…その考え方が原点にあるので、どんな番組も全力で携わっていくというのは植え付けられましたね。
――それだけの熱量を帯びた形で番組に関わっていると、その“熱量の差”みたいなものを目の当たりにしてがっかりする機会もあるのでは?
勝俣州和「あぁ、もったいないなぁ〜」と思うことはあります。せっかく1時間の枠を頂いて、千載一遇のチャンスなのに、なんでこんな薄っぺらなモノになっちゃったんだろう? もう少し丁寧に時間を費やせば良い味が出るのに。インスタント料理なんですよね。もっと時間をかけたらダシが効いて良い味になるのになぁ〜って思うことはありますね。
――最近は自転車操業的な番組が多くなっていると。
勝俣州和そういった番組が増えてきているのを実感したときは、ちょっと悲しくなりましたね。予算の関係もあるので致し方ない面もあるんですけど、お金をかけなくても足を使ってしっかりリサーチしたり、演者からさらに面白いネタを引き出すような環境を作るだけでも美味しい料理に様変わりすることはできるんですけどね。
『ウリナリ!!』だって最初は全然お金がなかった…いかに汗かいて時間を費やすかに全力を
勝俣州和でも、あの時は良かったってただ昔を羨むことだけするのは嫌なんですよ。確かに80年代には(ビート)たけしさんたちが、90年代にはとんねるずなどが大きな予算をかけて面白い番組を幾つも提供していたけど、あの時代にも予算がなくてヒーヒー言ってる番組が一杯ありましたから。その中で日テレの土屋敏男さんが『電波少年』(※92年スタートの伝説的なバラエティ。ヒッチハイク企画が大ヒットし、有吉弘行らを輩出)を作ったりね。だって『ウリナリ!!』(※96年スタートのウッチャンナンチャン司会のバラエティ。社交ダンス部など数多くのヒット企画が生まれた。勝俣もレギュラー出演)も最初の頃は全然お金なかったですからね。いかに汗かいて時間を費やして作るかという番組でしたから。
――潤沢な予算が有る無しでヒット番組が生まれるわけでは決してない。
勝俣州和やっぱり作り手側がどれだけ番組を愛しているか? だと思いますね。その愛情がどれだけの時間と労量を割けるかに繋がってくるので。今そこまで労力を惜しまず作っている番組は限られますけど、『イッテQ!』なんかは本当に凄いし、土屋敏男イズムを受けついでいますよね。
――『イッテQ!』のメインスタッフは若手時代に『電波少年』で徹底的にそのノウハウを叩き込まれましたからね。
勝俣州和そうそう! やっぱり脈々と受け継がれていってるんですよ。