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シソンヌ、王道吉本の中で異質ポジション KOC優勝後も変わらない“コント職人”としての気概

 いま、密かにメディアへの露出を増やし続けている二人だ。それが青森県出身のじろう(41)と静岡県出身の長谷川忍(41)が2006年に結成した、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ・シソンヌ。コント日本一を決める『キングオブコント2014』(以下KOC)では2810組の頂点に立ち、現在では単独ライブのチケットが即日完売。ネタを担当するじろうが生み出す、ひとクセある登場人物が織りなす物語は、他の芸人だけではなく俳優、映画監督など幅広い支持を集めている。

 “キャラ先行型”がもてはやされがちなバラエティにおいて、朴訥で、職人気質を感じられる雰囲気の二人は完全にはフィットしていないように見える。それでも「コント」というホームグラウンドで実力を磨き続け、今年は話題ドラマや映画脚本、そして乃木坂46ともCM共演するなど、本業以外のジャンルで需要が高まっている。二人がいまの現状をどう捉えているのか聞いてきた。

芸人ならではの「がっつき」とは無縁

――今年お二人をテレビで見る機会が多く、ブレイクの兆しを感じていまして。

【じろう】あんまり実感はないんですよね。例年と変わらないような気も。

【長谷川忍】 休みが全然なかったらそういう実感もあったんでしょうけど、いい具合に休ませてもらっているので。この前も3連休ありましたし(笑)。仕事が1日1つだけということも多いんで、すごくバランスのいい一年だったかなと。

【じろう】僕はネタや脚本など、「書く」仕事が多くて、肉体的な稼働がそれほどなかったからそう思えるのかも。マネージャーも僕らのことを理解してきたのか、営業や体を張るような仕事は振ってこなくなりましたね。だから今は自分らに合う仕事ができているというか。

――全国を回る単独コントツアーを毎年行っていますが、今年はじろうさんが大河ドラマ『いだてん』(NHK総合)、長谷川さんは『凪のお暇』(TBS系)で高橋一生さんのお兄さん役を務めるなど、話題作ドラマの出演でより知名度が上がった気がします。

【長谷川忍】 言葉的に当たっているかわからないですけど、“美味しい仕事”が今年は多かったのかなというのは自分たちの中にありましたね。

【じろう】まあでも、「芸人」という自覚がすごい強いんで、うまく立ち回れないですね。これは一生正解が出ない気がしますね……はい(苦笑)。

――シソンヌはバラエティでも前へ出て目立っていく、“がっつき”がないのが印象的で、なんだかよしもと芸人っぽくないな、とも思ったんです。2014年にKOCに優勝した後受けたインタビューでも「売れなくてもそんなにつらくない」「細々と食っていければ」と冷静に分析していたのが印象的で。

【長谷川忍】冷めてますね(笑)。まあ、売れたい気持ちがないわけではないんですけど、ずっと売れ方が選べるなら選びたいという気持ちではいます。自分たちがやってることの延長線上で売れればいいなと。僕ら、今でも声かけられるほどの芸人じゃないんですよ。「あっ」て気づかれて終わり。でもこの間、お弁当配達していた男性が、仕事中なのにバイクをわざわざ止めて「ファンです!握手してください」って来て。シソンヌのコアなファン層はお笑い熱量が高い男性なんですかね。

「ウケはいいけど票は入らない」というジレンマ

――その冷静なスタンスは、NSCの前に紆余曲折あったことが大きいのかなと思ったんです。長谷川さんであれば、一度吉本に所属していたけど、当時の相方が舞台の前に飛んじゃって、心機一転26歳でNSCを受け直して……あってますか?

【長谷川忍】あってます、まさにそうです(笑)。普通だったら諦めて田舎に帰る年齢なんですけど、「納得するところまでやってないな」と思ったんですよね。だから半ば覚悟を決めてNSCに入って。そこで、自分がツッコミしたいと思えるようなネタを考えられる人を見つけようと思って出会ったのが相方だったんですよね。

【じろう】 僕もNSCには26歳で入ったんですが、その前はコント劇団に4年くらいいて。今と違ってネタを書いていたってわけじゃなくて「演者側」でした。そこである程度限界みたいなものを感じて。それなら吉本に入って諦めつくまでやろうと。

――仕事が増えてきたタイミングはいつごろでしたか?

【長谷川忍】 やっぱりKOCで優勝してからですね。「そんなに売れることはない」とか言ってましたけど。あと大きいのはライブを続けてきたことですかね。単独ライブの規模が大きくなって、テレビ関係の人も見に来てくれて、それがきっかけでバラエティやドラマに呼んでくれたりとか。それこそ相方もドラマの脚本に呼ばれたりして。

――お二方が好きなおぎやはぎや東野幸治さんといった同業者はもちろん、黒木華さんとか大根仁監督など、評価する方は幅広いですね。

【長谷川忍】ありがたいですよね。以前、若手が集まったバトルロワイヤル式のライブに出ても、“ウケはいいけど票は入らない”みたいなことが多くて。「笑いの量は負けてないのになんでだろう」っていう、モヤモヤとした思いはあったんです。でもその時も楽屋で「面白かったぞ」って言ってくれる先輩が周りにいたので、僕らは救われていたというか。

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