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「あの若さで何者?」伊藤健太郎の朝ドラ演技に反響、”売れたい…”宿し続けた野心を役柄に昇華
圧倒的なヒロイン戸田恵梨香に呼応する“高い演技力”に反響
今週の放送を見ていても、病への不安や悲しみ、陶芸に対する情熱など、感情を抑えた演技で見事に表現。15歳から40代後半まで女性の生き様を演じ抜く母役の戸田に対しては、実年齢では母子の設定には無理があるが、それをいっさい感じさせずに食らいついていく伊藤の演技は、日本中の視聴者に認められたようだ。
そんな伊藤のもう一つの顔といえば、やはり2018年放送の代表作『今日から俺は』(日本テレビ系)のウニ頭の硬派ツッパリ・伊藤真司役だろう。正直、一般層からは(三橋役の賀来賢人はわかるが、伊藤役の伊藤健太郎って?)という印象もあったはず。そもそも原作自体、30年ほど前のコメディヤンキーマンガであり、そのままの時代設定でドラマ化するのはいかがなものか?と心配する声もあった。
ところが放送が始まると、ヤンキーを知らない現代の子どもたちにも受け入れられ、大ブレイク。伊藤も原作通りの熱い男を演じ、彼女役の橋本環奈との絡みでは“赤ちゃん言葉”を使って、デレデレなバカップルぶりを披露。その振り切った“ダダこね演技”に免疫がなかった視聴者層を圧倒したのである。
「売れてぇな……」俳優としての野心をのぞかせる一面も
バラエティや情報番組などに出演することも多くなった近年は、内に秘めた“野心”をちらつかせるエピソードが垣間見えるように。先月2月21日放送『あさイチ』(NHK総合)では、中学のころ周囲がピアスを開け始めて自分も開けたくなったが、姉から「将来朝ドラに出るとき、それが不利になるからやめとこう」といわれ、素直に諦めたという“プロ根性”あふれるエピソードを披露した。また、『伊藤健太郎のオールナイトニッポン0(ZERO)』に親友の北村匠海を招いた際は、2016年放送のドラマ『仰げば尊し』(TBS系)で共演したとき、帰りのバス内で「ふたりで売れてぇな……」と語り合ったことを告白。
「一発当てたい」「俺を見ろ!」と出演者たちからの圧がすごかったと監督が漏らしてしまうほどギラギラしていた『今日から俺は』の現場でやっていけたことも、思わず納得させられる“野心”が伊藤にはしっかりとある。前へ前へと行かない(行けない)タイプが多い現代の若者の中で、目標実現のための欲や執着心を隠さない、特異な存在と言えるのではないか。
眉目秀麗からヤンキーまで、ただの“イケメン”に留まらない振り幅
今年に入って朝ドラ以後は、4月クールのドラマ特区 『ピーナッツバターサンドウィッチ』(MBSほか)への出演、映画『とんかつDJアゲ太郎』、『弱虫ペダル』などの話題作が公開される予定であり、映像界はまさに伊藤健太郎を中心に回っているかのようなのだ。
きわめつけは、5月に岩手県で開催される奥州藤原氏の「藤原まつり」で、源義経公東下り行列の義経役に選ばれたことだ。この祭りは人気のイベントで、過去には滝沢秀明や吉沢亮など錚々たるメンツが務めてきた大役。SNSでは、「今年は伊藤健太郎なんだ!!!」、「麗しき義経公、想像しただけで尊い」などと話題になり、Twitterのトレンド1位にもなったほど。
日本男児らしい凛々しさもありながら、どこか朴訥な“青い”役もこなし、さらにコメディも得意となると、若手の中でも伊藤はただの“イケメン”に留まらない、抜きん出た幅の広さと懐の深さを持った役者といえるのではないか。
2年間のラジオ番組で支持拡大「ラジオの経験が役者の仕事に役立つ日が来る」
深夜3時という時間帯に、炊いた白米をいかにおいしくいただくことができるかを検証してみたり、「水着片乳論」「ブルマ全裸論」といった謎の下ネタを訥々と語ったり、22歳男子ならではの等身大トークで“アニキ”と親しまれリスナーの心をつかんできた。改編に伴い先日23日に最終回を迎えた同番組について、SNSでは「2年間ありがとう」「最近この方には泣かされっぱなし」「健太郎アニキの帰還をお待ちしてます」など終了を惜しむ声が多数あがっていた。
伊藤自身はラジオの仕事をどのようにとらえていたのか。オリコンのエンタテイメントビジネス誌『コンフィデンス』のインタビューでは、このようなコメントを残している。
「ラジオはなんとなく(伊藤が一番大切にしている)地元に似ている部分がある。リスナーの皆さんのお便りや、やり取りからもいろいろなことを感じさせてもらった。どんなところで作用をするのかわかりませんが、この経験が役者としても役に立つ日が来るんじゃないかな」
今やすっかり“国民的お茶の間の若者”となった伊藤健太郎。ラジオ番組で飾らない素の自分を解放し、自分の思いをストレートに言葉にする。その経験を今度は役者としての演技にも還元・昇華させていく。その流れを若手である今経験できたことは、役者として今後において大きな力になるのではないか。久しぶりに表れた、役どころに“感情移入”できる俳優・伊藤健太郎のさらなる“成長”に期待したい。