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ヤンキーキャラが愛されキャラに。今やもっとも“KAT-TUN”を体現する上田竜也
“ラップバトル”でトレンド入り、ファンにバトルを吹っ掛けSNSにぎわす
そして先日、上田は「今回が自分で挑戦する最後の機会」としてヒルクライムの全国大会に出場。上田は「やると決めた以上は、もっと練習しておけばよかったと思いたくない。とにかく後悔したくないっていう気持ちで2ヶ月間本気でトレーニングをやってきた」と明かしており、実際に大会出場2カ月前から本格的なトレーニングを積んだ。山登り専門のトレイルランナーや自衛隊員、救命隊員をはじめ、様々な陸上競技大会の上位入賞者も多数出場している過酷なレースを懸命に駆け抜け、35歳でありながらかわらず“肉体派”であることを証明。そんなワイルドで、肉体派のキャラが現在の彼のイメージだ。
また肉体を使うバラエティ番組だけではなく、アイドルとしてのパフォーマンスでも注目を。現在開催中のKAT-TUNツアー「IGNITE」では、ソロパフォーマンスで観客とのラップバトルを繰り広げ話題に。SNSには「上田くんがラップバトルのときに、「マジで今からは、ヤジも、罵声も、怒号も、なんでも叫べ」って言ってたけど、なんでもありだし、ガチのバトルって感じだった」「今まで何回か会場の中から1人のファンと絡む演出は見たことあるけど、『俺と(歌で)タイマンしろ』と言い始めるのは、後にも先にも上田竜也だけだと思う」などの反響が寄せられた。
この結果、ライブ後のTwitterでは“ラップバトル”がトレンド1位に。「ヒプノシスマイク」など“ラップバトル”のコンテンツの流行りからか、ライブの口コミは固定ファンだけにとどまらず、声優・アニメ・二次元などのファン層からも注目を集めた。
「個性を探すのに必死だった」グループのなかで自分を模索し続けた過去
「それ以前の上田さんは、『妖精を庭で飼っているんです』などの不思議ちゃん発言をしていて、亀梨和也さんから『お前、本当に見えるの!?』などと驚かれていた時期も。Gacktさんやhydeさんに憧れてファッションを真似してスタイルやイメージを次々と変えていっており、2011年TBS系ドラマ『ランナウェイ〜愛する君のために』の出演に際しては、役づくりのため髪を丸刈りに。肉体派のイメージが付き始めたのはボクシングを始めてからで、2012年のドラマ『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(テレビ朝日系)ではその特技を生かして天才ボクサー役を好演。一般層からも『上田竜也のイメージが変わった』『役者としてもいいじゃん』という声が挙がり始めました」(衣輪氏)
こうしたキャラクターイメージの変遷について、2013年放送の『少年倶楽部プレミアム』(NHK-BS)で、上田自身が「自分のキャラクター作りで迷走していた」「自分の個性を探すのに必死だった」と告白。ロック系のイメージだった頃は、赤西仁から「よくないと思う。やめろ」と釘を差されていたにも関わらず自分の意志を通し、ところがファンの反応は良くなく、「結果、僕が間違っていました」と素直に認めたり、「笑わないキャラクターで、笑う時は後ろ向いて笑うというマイルールを作っていたこともあり、それはそれで自分では好きだったが、自由に笑えなくなるのでやりづらくなったのでやめました」などと話しており、その“迷走”ぶりを強調。
「今の“肉体派ヤンキー”のイメージについても、グループメンバーの中丸雄一さんに直接お話を伺ったところ『彼はビジネスヤンキーだから(笑)』との答えが(『月刊TVガイド』お正月号2018年掲載)。彼のクールさは一種の自己プロデュースで、彼を褒めたときについ浮かぶ笑みを隠せない可愛さがあることなどを明かしてくれています」(衣輪氏)
年を重ねても丸みを帯びない、“ワイルドさ”保つワケ
「それは上田さんの並々ならぬグループ愛から来ている。同時に彼の自己プロデュース力の賜物でもある」と衣輪氏。愛については、KAT-TUNが充電期間中だったころ放送された『炎の体育会TV』では、“チームプレー”を学ぶ後輩のジャニーズJr.に向けて、上田が実体験を含めた言葉を残している。
「最初は『俺が強くて、相手を倒せばいいや』という考えで、KAT-TUNのメンバーともめちゃくちゃケンカしていた。でも10年以上メンバーと一緒に仕事をしていると、それがだんだんと戦友みたいになってくる」「メンバーが次々と抜けて、もうダメかなと正直思った。でも応援してくれるファンの方がいたから俺らがいた。そこを裏切れない。その後に再結成してメンバーのありがたみも分かった。充電期間にもそれぞれがソロで頑張った。(自分がソロで頑張っていることも)全部、KAT-TUNのことしか考えてない。グループとはそういうもので一心同体。今だからこそ言えること」(上田竜也)
デビュー当時のKAT-TUNはメンバーそれぞれの役割や個性がハッキリとしており、“不良”や“ワイルドさ”がテーマになっていた。当時のアイドルのイメージからはかけ離れていて、個性が強すぎるがゆえに、ダンスもピッタリと合わさることがなく、逆にそのバラバラぶりが売りになるグループだった。だがメンバーが次々と抜けて現在は3人に。そのなかで人一倍“努力”し、自分の役割を模索してきたのが上田だったのではないだろうか。
「今もブレずに“ワイルドさ”を貫いているのは、彼が自分がどうあるべきか考え抜いた結果のセルフプロデュース。メンバー間の立ち位置でバランスを取り続け、臨機応変に立ち回るなかで、自分の役割に必要だった“ワイルドさ”が残った」と衣輪氏。鋭い眼光でオラつきながらの行動やエピソードで楽しませてくれているが、一方ではグループのためならマイナーチェンジもいとわない。中丸が言うように例え“ワイルドさ”が“ビジネス”だとしても、KAT-TUNを人一倍愛しているという証。だからこそ上田竜也は愛すべきキャラクターなのだ。
(文/中野ナガ)