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人気商品なのになぜ? 『オー・ザック』がCMをやめたワケ

 スナック菓子のテレビCMが、近年減少している。カルビー『ポテトチップス うすしお』味は、2014年以降CMは打たずに、売り場でのプロモーションに注力。湖池屋『ポテトチップス のり塩』も、09年から放送していないという。なかでもハウス食品の『オー・ザック』は、大手で最も早い08年を最後に、CMを展開していない。同社の看板商品の一つでもあるのに、なぜCMを打ち出すのをやめたのだろうか? 同社の食品事業二部の長瀬仁美さんに聞いた。

ボコボコとした形状にザクッとした食感…日本用にアレンジし大ヒット

 ハウス食品といえば、カレーやシチュー、ハヤシライスといったルー商品を連想しがちだが、スナック菓子も2種類販売している。一つは、1978年に発売された『とんがりコーン』だ。コーンをベースとし、カリッと軽い食感が人気を集め、スナック菓子のロングセラー商品として現在も高い人気を誇っている。

 もう一つが、90年に発売された『オー・ザック』だ。ボコボコとした形状にザクッとした食感が話題となり、長年親しまれてきた。開発した経緯について、長瀬氏はこう語る。

 「米国にある弊社の事業所から、あるスナック菓子が送られてきまして。当時、米国で販売されていた商品なのですが、ザクッとした食感が特徴で、他にはないタイプのスナック菓子だったため、日本の開発チームが気に入りまして。もともと、袋に入ったスナック菓子を販売したいと考えていたのもあり、日本用にアレンジをして開発したのが『オー・ザック』の始まりです」(長瀬氏)
 発売当初のCMには、当時人気絶頂だった音楽ユニット・TM NETWORKを起用。スナック菓子のCMにもかかわらず、食べる演出シーンがないという斬新なストーリーを展開。キャッチコピーの「今度のポテトは音が良い」に合わせ、TMNの“音”を絡めて宣伝するなど、若者を中心に人気を集めた。

 なかでも一番話題となったのが、人気デュオ・KinKi Kidsが出演した時代だ。当時、デビューして間もない頃でもあり、関西弁での2人のやり取りに加え、『オー・ザック』に変身した“コスプレ姿”も披露されるなど、ファンを中心に注目が集まり、大ヒットとなった。

テレビCMをやめた要因はスナック菓子の低価格化が影響、「新商品の開発に力を」

 しかし2008年以降、『オー・ザック』はCMを打ち出していない。背景には、スナック菓子の低価格化が影響していると、長瀬氏は振り返る。

 「08年頃から、スナック菓子の価格が業界全体で下がってしまったのです。低価格化が進み競争が激しくなる中、『オー・ザック』の売上高も伸び悩んでいました。スナック菓子売り場は改廃が激しいので、店頭露出につなげるためには、商品数を増やしたり、新商品の開発に力を入れる必要があると考え、CMをやめるという判断をしました。また発売以降、約20年間はCMを打ち出してきたので、ブランドとしての認知は広げられていると思い、決断しました」(長瀬氏)
  • リニューアルして発売されたカルビーの『ポテトチップス うすしお』味

    リニューアルして発売されたカルビーの『ポテトチップス うすしお』味

 実際、スナック菓子メーカー各社も、近年CMを打ち出すのをやめている。

 1975年に発売されたカルビーの『ポテトチップス うすしお』味は、2014年以降CMを展開していない。今年6月には、食塩使用量を削減した『うすしお』をリニューアルして発売したが、同社によるとCMによる宣伝は行わなかったという。

 「本年度のマーケティング戦略上、CMを投下し集中的にPRをする商品が他にあったため、『うすしお』ではCMを打ち出しませんでした。CMは、認知を獲得するのに優れていますが、『うすしお』のように認知率が既に高い商品にCMを打っても、効果は薄いと考えます。それよりも、お客様と一番近い接点である売り場づくりに注力したり、『友達に勧めたい』と思ってもらえるようなPRを展開していくことが大切だと考えています」(カルビー担当者)
  • 湖池屋の『ポテトチップス のり塩』

    湖池屋の『ポテトチップス のり塩』

 また湖池屋の『ポテトチップス のり塩』も、2009年3月の「コイケ先生」シリーズを最後に、CMを打ち出していない。『のり塩』は、発売から55年以上経つ同社を代表するロングセラー商品だが、CMの有無だけで売れるのか判断することはできないと、担当者は語る。

 「新商品については、認知度を高めることを目的にCMを実施する場合がありますが、あくまで、その新商品の目標と予算を踏まえて総合的に検討しています。そこでCMが必要となれば放送していますが、必ずしもCM展開ありきではありません。商品における認知度は販売に影響するとは思いますが、(認知度が)高ければ売れるというわけでもありません」(湖池屋担当者)
 ハウス食品の場合、2008年頃から『オー・ザック』のCM制作費や宣伝費を、新商品の開発費に充てた。それまで『オー・ザック』の新商品は、1年に2〜4アイテムのことが多かったが、現在では10アイテム発売するなど、1〜2カ月に1回のペースで開発にあたっているという。

 またターゲット層も“20〜30代の男性”と絞り、彼らに響くような商品の開発を進めた。「定番商品である『あっさり塩』と『磯のり塩』味に加え、変わり種として、スナック菓子では珍しい味わいのものを、新商品として打ち出しています。例えば『うに』や『松茸の香り』、『旨わさび醤油』、『辣油』味などは、変わり種の中でも好評でしたね」(長瀬氏)
  • 今夏発売された『オー・ザック』の「うなぎの蒲やき」味

    今夏発売された『オー・ザック』の「うなぎの蒲やき」味

 今夏には、「うなぎの蒲やき」味を発売。豊洲市場の老舗うなぎ屋『福せん』との初コラボが実現し、うなぎの香ばしさと秘伝のタレの甘辛さ、山椒の香りなどを表現したという。開発秘話について、長瀬氏はこう語る。

 「社内に『福せん』さんの知り合いがおり、今回コラボが実現しました。『福せん』さんのうなぎの特徴は、タレ。お店に何度も訪問しお話を伺うと、タレの中でもしょうゆが他のお店と異なっていることを教えてもらいました。そこで開発メンバーと協力し、しょうゆのおいしさが表現できるよう、努めました」(長瀬氏)

一方、露出が減り「終売した」と勘違いする人も増加

 一方、近年ではCMを打たなくなったことでマスメディアでの露出が減り、「『オー・ザック』は終売した」と勘違いする人が増加。SNS上では“オー・ザック難民”という言葉が生まれるほど、注目を集めた。その点について、長瀬氏は「確かに、CMはブランドの認知拡大には必要不可欠なのですが、戦場は売り場なんです。スーパーやコンビニなどの店頭で、いかに売り場を確保するかが重要。それには新商品を定期的に打ち出していかないと、確保できないのです」と苦悩を語る。

 だが新商品の開発に注力する戦略は、功を奏している。同社によると、2018年度の『オー・ザック』の売上高は前年比の1.7倍と好調で、ここ数年は連続で2桁成長を遂げているという。「とくにコンビニでの売り上げが伸びていますね。『オー・ザック』はダブルブランド商品(共同開発商品)でも展開しているため、新商品と2種置いていただけているのが大きいと思います」(長瀬氏)

 来年は、『オー・ザック』発売から30年という節目でもある。今後の展望について、長瀬氏はこう語る。

 「最近ではSNS上で『久しぶりにオー・ザックを見たから買おう』といったコメントが増えているんです。そういったある種の“貴重さ”が、逆に『オー・ザック』の良さでもあるのかなとも思うんですよね。『オー・ザック』は食べた瞬間の驚きの“オー”と、食感の“ザクッ”から命名した商品。これからもお客様に、特別なスナック菓子と思ってもらえる存在であり続けられるように、開発を進めていきたいです」(長瀬氏)
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