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現代人の必需品?約1万円の高額“禁欲ボックス”が人気の理由

 “ナゾトレ”で人気の東大生・松丸亮吾が、先月「設定した時間の間は絶対にあけられない箱を買った」とツイートすると、18万超えのいいねがついた。約1万円するにもかかわらず、Amazonなどで品切れ続出の通称“禁欲ボックス”こと「タイムロッキングコンテナ」(通常サイズ9,800円(※5/29現在))が話題となった。松丸はスマホの触りすぎで時間を浪費していると感じ、これにスマホを入れたところ仕事がはかどったと報告すると、ツイートには「資格取得のために、禁欲ボックスをポチりしました!」、「受験勉強のために買ってきます!」などのコメントが殺到。社会学者の古市憲寿も同商品を2つ購入し、大好きなチョコレートを封印しているという。デジタル技術が日々進化する中、アナログな愛嬌も感じるこの“禁欲ボックス”が、合理的思考を持つ松丸や古市にも愛用され、反響を呼んでいるのはなぜなのか?販売元に聞いた。

禁欲ボックス『タイムロッキングコンテナ』

 この「タイムロッキングコンテナ」の“スペック”だが、最短1分〜約10日間までのタイマーを設定すると、自分が指定した時間まではロックがかかり、開けることができなくなるというもの。用途も、「ゲーム禁止にコントローラー封印」から「節約のためクレジットカードや現金を封印」、「中が見えないタイプの商品にプレゼントを入れて、記念日にタイムロックを合わせてサプライズ」、「横向きに置いて時間になったらフタが開くようにしてペットの餌の時間をコントロール」等々、いわゆる“おもしろグッズ”とは一線を画した現代人の多種多様な要望に応える商品となっている。
 アメリカで2013年頃から販売されていた同商品は、日本では2014年から静岡県の「株式会社うるおいをプラス」が正規輸入販売店としてAmazonなどで販売。以前からテレビやラジオで何度か取り上げられていたが、「松丸さんのツイート後、通常1〜2カ月程度で販売していた在庫が2、3日でほぼ売り切れてしまい、現在も品薄状態が続いて驚いています」(株式会社うるおいをプラス・岡本さん)という。

「壊しにくい価格設定」と「明確なゴールを自己決定する」ことによる欲望コントロール

 これまでも「豚の貯金箱」や「10万円貯まる貯金箱」といった禁欲グッズ系のおもしろ商品があった。しかし、タイムロッキングコンテナは価格が1万円前後なので、欲望(や事情)に負けて壊すことに心理的抵抗がある。前出の岡本さんも、「壊すことはできますが、コンテナ部分は厚く比較的丈夫ですので、壊すのは容易ではありません。破壊時にケガをする恐れもあり、大変危険なのでおすすめ致しません」という。
 また、“時間切れ”という明確なゴールがあり、それまでは電池を抜いても開かないことから、その時間がくるまではどうしても何かを我慢しなければならない。さらに、その時間も自分で設定するため、人に決められたり押しつけられたりするわけではなく、“自己選択の自由”を担保しつつ自分の欲望をコントロールするところが新しいと言えそうだ。
禁欲や欲望コントロールを謳ってはいるが、本来、何かを禁欲することによって目標や習慣、健康、モノなど、理想的なライフスタイルを獲得するための商品であり、愛用者に合理的な考えを持つ方が多いのも、「そういった本質的な価値に気づいておられるのではないかと感じております」(岡本さん)とのことだ。

スマホ封印による“デジタルデトックス”で学力向上、生活向上も?

 となると、現代人にとって真っ先に“封印”すべきモノとは、スマホが筆頭にあげられそうである。最近ではミュージシャンのGACKTもスマホのいじりすぎに危機感を覚え、一定時間スマホを隔離して読書に励む努力をしていると明かしているが、最初のうちは気づけばスマホを触っていて、隔離に慣れるまで苦労したそうだ。GACKTのように“デジタルデトックス”を望む人に、タイムロッキングコンテナは効果的かもしれず、ワイヤレスイヤホンを接続していれば封印中でも緊急の電話には出られる。
また、スマホの使用時間と平均点を照らし合わせた仙台市の学力調査では、使用時間が長いほど点数が低いというデータ(東北大学加齢医学研究所・仙台市教育委員会)もある。実際、明確な目的もなくスマホを触っている時間を学習や睡眠、運動などに費やしたほうが有意義な時間を過ごせるという、いわゆる「デジタルデトックス」の効果もあるように思われる。
 人類の歴史はあらゆる欲望との戦いの歴史とも言えるが、その歴史が科学を発展させ、キャッシュレス社会やスマホ社会など、より人類の生活の利便性を高めてきたことも事実だ。しかし一方では、そうした便利さ=欲求との戦いに疲弊している人も少なくないようであり、スマホなどはその代表例なのかもしれない。

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