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ヒット生む?LINEマンガ編集長が明かす“マンガアプリ”の現在地…「電車ひと駅分で興味呼ぶ」

 通勤タイムや寝る前など隙間時間にスマホで気軽にマンガを楽しむことができる“マンガアプリ”の利用者が近年増加している。そんなマンガアプリ掲載の作品から新たなヒットが生まれる事例も増えてきている。18年にはマンガアプリ発の作品『文学処女』がTBS連続ドラマになるなど、注目を集めるマンガ。ドラマやアニメのコミカライズなどでも話題になっているその“今”について、電子コミックサービスを提供する「LINEマンガ」編集部の編集長・中野崇氏に話を聞いた。

“電車ひと駅分”隙間時間での利用を意識、人気は“刺激多め”の作品

 「現在、LINEマンガ編集部が手がけるスマホマンガは基本、横スクロール。ページでコマを割ってという作り方の部分に関しては紙媒体のマンガと大きな違いはないのですが、通勤や通学の時間など、隙間時間に読んでいただくことが多いので、例えば電車ひと駅分などの短い時間で読める数ページでどれだけ読者さんを引き込ませるかに気を遣って作ってますね」(中野崇氏/以下同)

 中野崇氏は株式会社スクウェア・エニックスの青年漫画誌『ヤングガンガン』『ビッグガンガン』の元創刊編集長。幼少期からマンガが大好きで17年にLINE株式会社に入社。現在はLINEマンガ編集部の編集長だ。マンガ雑誌編集長の経験から感じるLINEマンガと紙媒体マンガの違いは「例えば雑誌には各誌それぞれターゲット読者に基づいたカラーやジャンルの方針があり、どんなにいい作家さんがいても雑誌の戦略や枠とマッチしないとボツになってしまう。ですが性別年令問わず利用されるLINEマンガで掲載するオリジナル作品は、いい作家さん、いい作品であればあらゆるジャンルを配信できます。そしてそれは、こちらとしても挑戦のしがいがある」という。

 そんな自由なLINEマンガでもやはりヒットの法則はある。「アプリやウェブ媒体で人気のあるのはデスゲーム系やサスペンスなど刺激が強い作品が多い。また隙間時間に読むので1話は20ページ以下。刺激の強さでいうと、LINEマンガには老若男女様々な読者さんがいるのでR指定となるような描写は描ききれない弱みはありますが、より過激な描写が必要な場合は、コミックスにしたときに規制をゆるくした描写で加筆することも。『地上100階 〜脱出確立0.0001%〜』はその筆頭格で、更新日は無料連載ランキングで1位になるほどの人気です。またLINEマンガは読者の6割が女性ですので恋愛モノや少女マンガも人気があります」

持ち込みも有効…金の卵発掘はアナログ手法も活用

 ほか更新は週刊、隔週だったり、コミックスにする際にファン向けに描き下ろしマンガを制作するなど、読者を喜ばせる要素を入れるなど、紙媒体で培われた手法はマンガアプリでも健在だそうだ。「より読まれることを意識してきた結果、去年からはドラマやアニメ、ゲームのコミカライズのオファーも増えてきました」

 『文学処女』のテレビドラマ化などで、「マンガアプリにもこんないい作家がいるんだ!」と注目を集めたLINEマンガのオリジナル作品。その作家のスカウト法は実はアナログだ。

 「持ち込みはもちろん、同人イベントやマンガ専門学校で出張編集部を設立し、講評会を行っています。あと昨今はSNSや投稿サイトで自作を自身で公開される方も増えてきました。そんなところに埋もれている新たな才能を発掘するためのパトロールも行っています。」

 基本、作家とのやり取りは編集者とのマンツーマン。よい原作があった場合は、作風の合う漫画家とのマッチングも行っており、制作の際にはタッグを組んで担当編集者を中心に作家を手厚くフォロー。元雑誌編集長である中野氏の得意分野でもあり、在籍する編集者もマンガに関わっていたプロフェッショナルを揃えている。その結果、キャッチーな作品だけでなく、マンガ賞で受賞やノミネートされるようなマンガ通にウケる作家も発掘されている。

 「コンテンポラリーダンスをテーマにした『ムラサキ』や、ゾンビをラッパーに置き換えた『ラッパーに噛まれたらラッパーになる漫画』などはまさに通好みの作品です。漫画雑誌だったら手がけるのが難しいようなテーマや題材でも取り組めるので編集部員もやりがいを感じているようです」
 プロセスや手法はアナログだが、発信される場はあくまでもデジタルの世界。またインターネットの普及が、マンガ業界全体にも大きな影響を及ぼしている。

 「かつてファンは作品の感想を伝えたり、作家さんの応援をするにはハガキをマンガ雑誌の編集部に送るしかありませんでしたが、今はSNSなどネット上で気軽に感想が述べられる時代になってきましたLINEマンガでも直接作品にコメントができる上、“いいね”ボタンもあります。同時にそれは、好意的な意見だけでなく、辛らつな意見も作家さんの目に触れることとなり諸刃ではありますが、デジタル化により“読者も含めて作品作りをしていく世の中”になったのかなと感じています」

 さらにLINEマンガでは、LINEならではの強みがある。

 「例えば2018年にドラマ化された『文学処女』では、さまざまなプロモーションをLINEの関連サービスで実施しました。例えば制作発表会の様子をライブ配信サービス「LINE LIVE」で生配信したり、ドラマの主題歌を音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」で独占先行配信を行いました。ほか、キャストの森川葵さんらにLINE LIVEの番組に出演していただくなどドラマの宣伝を兼ねた多角的なプロモーションで、メディアミックスに関しての試金石となりました」

 LINEマンガには「LINEマンガ インディーズ」というプラットフォームがあり、自由に自作マンガが投稿可能。そこも編集部が定期的に良い作品や作家を求めてパトロールしているほか、今後は「インディーズ作品にも広告サービスを導入し、分配金が投稿者に入るようにするなど、投稿のモチベーションを高める仕組みづくりを模索中」だそうだ。

 さらに昨今は韓国発の手法であるフルカラーの縦読みマンガ(WEBTOON)が世界の主流になりつつある。LINEマンガでも同スタイルでは『女神降臨』や『外見至上主義』などがあり、多くの読者に読まれている。

紙媒体の敵ではなく、単なる多様化

 「マンガアプリは決して紙媒体の敵ではありません。マンガアプリで掲載された作品を紙のコミックスとして書店で展開するなど、マンガを楽しむ形の多様化が行われているだけで、マンガ文化は衰退していないというのが私の考えです。現在はまだ“紙のマンガの方が本格的で面白い”と考えている読者さんは多く、業界にもそうした考えは根強いでしょう。ですが、ジャンルや形式に捉われないマンガアプリだからこそ、ヒット作を創出するポテンシャルを秘めています。おそらく3年以内に、ミリオンセラーのヒット作品がマンガアプリから登場するのではないでしょうか」

 ますます発展を遂げるマンガアプリ。「マンガ家を目指す方や連載先を探している方は、LINEマンガ編集部への持ち込みやLINEマンガ インディーズ」に投稿していただけると嬉しいです。私たちが全力でサポートさせていただきます!」

(文/衣輪晋一)

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