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【プラモデル】戦艦、航空機、戦車など“神作”まとめ

“最強”か“鉄の棺桶”か?ドイツ軍撃破に貢献「ソ連軍戦車」の魅力

(上)ソ連の自走砲JSU-152(下)ソ連の中戦車T-34/85/制作:佐藤児輝氏(luu03 @Luu03_models)

(上)ソ連の自走砲JSU-152(下)ソ連の中戦車T-34/85/制作:佐藤児輝氏(luu03 @Luu03_models)

 1958年に国産プラモデルが産声をあげてから60余年、黎明期から現在に至るまで、その歴史を支えてきたのは戦車・艦船・航空機といったスケールモデル(※縮尺に基づいて忠実に再現した模型)だ。今回、ソ連軍戦車に魅せられた佐藤児輝氏(luu03 @Luu03_models)に、留守番のご褒美だったプラモデルの原体験や、新しい技法に挑戦続ける理由について聞いた。

“ソ連軍最強戦車”T-34は頭を使う場所や技術の見せ場が沢山ある

  • ソ連の中戦車T-34/85

    ソ連の中戦車T-34/85

――プラモデルの魅力に目覚めた原体験を教えてください。

【佐藤児輝】小学5〜6年生の頃に艦船に興味を持ち、特に気に入っていたのが旧日本海軍の航空母艦「大鳳」と戦艦「扶桑」でした。当時、僕は家で留守番をすることが多かったので、親がお詫びとして「大鳳」と「扶桑」のキットを買ってきてくれて、それを一人で作り上げた事が原体験です。

――その後、影響を受けたモデラーの方はいますか?

【佐藤児輝】僕が影響を受けたのは、日本の方では石油王さんと土居雅博さん。海外の方ですとAdam WilderさんとMartin Kovacさんです。技術面はこの方々の手法が基となっていて、それを自分が扱いやすい様にアレンジして活用しています。

――航空機、戦車、艦船の中で好きなジャンルは?

【佐藤児輝】戦車です。技法の種類がとても多いのと、塗装技術の発展がとても速いので、常に新しい方法を学ぶ事が出来て面白いからです。あと、裏面を塗らなくても良いという点でしょうか(笑)。

――では、一番好きな戦車を教えてください。

【佐藤児輝】ソ連の車両は大体好きなのですが、その中でも一番好きなのはソ連の中戦車T-34/85ですね。理由はT-34/85の塗装をする際、曲面と平面があるのでどういう風に塗るのか、車体後部をどのように汚して格好良くするかなど、頭を使う場所や技術の見せ場が沢山あって面白いからです。

――T-34/85の制作で苦労した点は?

【佐藤児輝】本作は特定の車両の再現をするというテーマがありました。また、この仕様のT-34/85の写真は3〜4枚しか残っておらず、困っていた所、T-34にとても詳しい方に協力していただいて完成させることが出来ました。それと、実験として砲塔上の汚れに透明な光沢を入れたり、汚れをグラデーションとして利用したり手間がかかっています。今考えるとコンテスト用にしても相当攻めたやり方かもしれません。

戦車を制作する際は常に“新しい表現方法を模索する”

  • ソ連の自走砲JSU-152

    ソ連の自走砲JSU-152

――もうひとつの代表作、ソ連の自走砲JSU-152についてテーマを教えてください。

【佐藤児輝】テーマとしては「鮮やかさと汚れの両立」です。鮮やかさの要素として、緑の車体に対してソビエト国旗の赤と黄を差し色として入れることで地味な印象にならないようにしています。また、鮮やかさと汚れを両立するためにグラデーションを強めに掛けています。

――両作品で共通する制作課題は?

【佐藤児輝】共通点は常に“新しい表現方法を模索する”という点でしょうか。同じ方法で違う結果を得る事は出来ないので、常に変えていく事が重要だと僕は考えます。ですが、方法を全て変えてしまうと今までの経験が役に立たない場面が発生したりするので、少しずつ変えていくようにしています。他には、履帯や転輪など足回りのウェザリングに拘るという点ですね。それだけでも作品の印象がガラリと変わるので限界まで拘っています。

――両作品で力を入れた部分は?

【佐藤児輝】塗装の明度と彩度の調整に最も力を入れています。どれだけウェザリングやフィルタリングを丁寧にしたとしても、車体がそのせいで暗い見た目になってしまったら意味がありません。そういった事を回避するために、展示会の照明に近い暗さの環境で制作するようにしています。

――いま、スケールモデルで力を入れている表現方法は何でしょうか?

【佐藤児輝】間違いなくチッピング(塗料の欠けを塗装で再現する技法)です。チッピングで車両の外見の印象を変える事が出来るからで、他の工程より時間的にも作業内容的にも手間を掛けています。

――プラモ制作を通じて戦車などの歴史について学ばれましたか?

【佐藤児輝】専門家の方ほど深くはありませんが、学んでいます。僕は歴史上のワンシーンを切り取ったジオラマ作品を作らないので、戦いよりも車両や塗装の変遷について調べて学ぶ事が多いですね。学んでおけば防げる作業ミスは沢山あるので、しっかり調べるようにしています。

――第二次世界大戦下で活躍した戦車ですが、歴史の学びを通じて、プラモ制作に活きていることはありますか?

【佐藤児輝】資料が少ない車両を作る際や、特定の車両を再現する訳ではない場合に活用できます。「この時期は○○だからこうなるはず!」という確証が得られる事によって、思い切って作業できるので安心です。

――佐藤さんにとってプラモデルとは?

【佐藤児輝】僕はプラモデルを通して、様々な人と繋がる事や自分から動いてチャンスを掴む事の重要性を学びました。なので、僕にとってのプラモデルとは「色々な事を教えてくれるもの」です。

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