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ラップ×声優プロジェクト『ヒプノシスマイク』Pに聞く、ラッパーとアニメ声優の邂逅が生んだ“新表現”

  • 『ヒプマイ』の1stフルアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』

    『ヒプマイ』の1stフルアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク(ヒプマイ)』。イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクからなる4つの地域を舞台にラップバトルを繰り広げるという内容で、CDが続々とリリースされ人気を博している。昨年11月17日にZepp DiverCityで行われたライブは、全国116館の映画館にてライブビューイングを実施。さらに、4月24日に満を持して発売された1stアルバムも大ヒット中だ。いま、声優界のみならずミュージックシーンでも注目を集める『ヒプマイ』について、プロデューサーの平野宗一郎氏にインタビューを実施。本プロジェクトがスタートした背景や、ラッパーと声優のフュージュンから生まれた“新表現”について聞いた。

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今まで混ざらなかった「アニメ」と「ラップ」をハイブリッドな形に昇華

――まず『ヒプノシスマイク』を企画した経緯を教えてください。

平野宗一郎僕らは、キングレコードの独立レーベルで、「EVIL LINE RECORDS」という部署になります。今年で5年目になったわけですが、常日頃から自由な発想で、ジャンルや方法にとらわれない企画会議を行っています。

――そうした自由な発想の場から生まれた企画なんですね。

平野宗一郎「自分たちがいいなって思うところを重要視する」というレーベルのポリシーがあります。そんな背景もある中でラップミュージックや、アニメ、声優さんのお仕事もやっているため「ラップミュージックと声優さんの言葉のスキルを“掛け算”したら面白いんじゃないか」といったアイデアが出て、「やってみよう」といった流れになりました。

――“掛け算”という部分を詳しく説明していただけますか。

平野宗一郎ラップミュージックは音楽的に、歌い手の自由度が高いものと思っています。つまり、メロ譜(メロディーライン)っていうものが存在しない部分が多々あるんですね。そこを声優さんがどうアプローチして感情表現を入れていくかっていうのが、「新しい発明」になったらいいなと考えました。

――自由度のあるラップミュージックの“懐の深さ”と、声優の皆さんの持つ“個性”が良い意味で掛け算されるということでしょうか。

平野宗一郎声優さんはアフレコの現場で、台本に書かれたキャラの感情を汲み取ったうえで、何パターンも変化をつけて表現するスキルを持っています。そうしたいくつもの演技の引き出しを持っていて、「これ、ちょっと合わないからこう修正する」みたいなことも息をするように常日頃やってる状態なんです。自由度の高いラップミュージックでは、その演技力や瞬発力といった声優さんのスキルが生かされますから、そういった点で掛け算になると思っています。

――僕は当初、「アニメ」と「ラップミュージック」というものはファン層的に相いれない部分が強いのではないかと思っていました。現場でそうした不安はありましたか?

平野宗一郎個人的に、「アニソン」って言われているジャンルは音楽的にはあってないようなものだと感じています。アニメで使われていることがアニソンの定義だとすると、音楽クリエイティブ部分の自由度は高い。そのアニメーションに合えばフォークソングでもポエトリーリーディングでもヘビーメタルでもよいわけです。音楽にボーダーはないと思うので、「いやいや、ここの人たちとここの人たちが混ざらないものだよね」っていう発想をまず無くしたい。むしろ、今まで混ざらなかったものをハイブリットな形に昇華できたらとても面白いですよね。

無意識の遠慮に反省、「ラッパーの皆さんの方がボーダーレスで考えてくれていた」

――『ヒプマイ』では、アニソンやラップというジャンルの枠を超えた盛り上がりを見せています。昨年春に開幕された4つのディビジョンによるトーナメント戦の結果、シンジュク・ディビジョンの麻天狼の楽曲をZeebraさんが担当するなど、本プロジェクトにはさまざまなラッパーやアーティストが関わっています。こうした流れは当初から想定していましたか?

平野宗一郎ラッパーの方々にも自分たちのブランディングがある中で、むしろ「飛び込んでいこうぜ」っていう感覚の人もいると思います。例えば、ラッパ我リヤさんの事務所に行って楽曲のお願をした際に、ライブはどこどこで披露します、みたいな話になったんです。すると、「いや、うちも出ましょうか?」と言ってもらって。その言葉にハッとさせられると同時に少し反省もしました。やっぱり、最初の頃は無意識に遠慮していた部分もあったんだなと。ラッパーのみなさんの方がジャンルの枠を超えてボーダーレスで考えてくれていましたから。

3rdライブに出演したラッパ我リヤ

3rdライブに出演したラッパ我リヤ

――そうしたラッパーの皆さんとの協力体制であったり、楽曲のヒットなどムーブメントとなっていますが、最初は数字面でも苦労されたとお聞きしました。

平野宗一郎はい。最初はお店に並ぶ数も少なかったです。ただ、長い目で育てていこうっていう気概では一応いたので。

――では、ターニングポイントとなったタイミングというのは?

平野宗一郎リリックビデオを出したときから皆さんが注目してくださって。やはり、本格的にラップミュージックに挑戦した声優のスキルの高さは話題になったと思います。それからほどなくして池袋サンシャインの噴水広場でフリーライブをやって、凄いたくさんの人が集まってくださって、その時にお客さんに受け入れられたという部分は感じました。

池袋サンシャインシティでのライブの様子

池袋サンシャインシティでのライブの様子

――新しい取り組みでファンを獲得していったわけですが、ノウハウというか何か参考にした手法などはありますか?

平野宗一郎何かの二番煎じ、三番煎じではなく自分達が面白いと思ったものをプレゼンして、スタッフを巻き込んで挑戦しようというレーベルの考え方が根底にあると思います。自分たちの新しい感性で挑戦をしていって、それを続けることに重きを置いています。

『ヒプマイ』が目指した、みんなに遊んでもらえる“遊び場作り”

――『ヒプマイ』の1stフルアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』が4月24日にリリースされ話題となっています。今後の目標としてはどうでしょうか?

平野宗一郎『ヒプマイ』は新人アーティストでもないので、「どこどこの土俵に立ちたい」みたいなものが最終目標ではありません。このプロジェクトの一番の根幹は「新しい音楽体験のきっかけづくり」とか、「みんなに遊んでもらえる遊び場作り」だと考えています。

――“遊び場”という考え方は魅力的ですね。これまでの音楽シーンになくて、今の『ヒプマイ』にあることは何でしょうか?

平野宗一郎ラッパーさんとも一緒にレコーディングする機会があって、その際に言われたのが、これはラッパーさんたちが常日頃やってる音楽表現とは全然違った「新しい表現」だと。

――音楽業界に新しいジャンルが生まれつつあるんですね。

平野宗一郎“自分のなかのリアル”を表現するラップとは異なり、声優さんが演じるキャラクターはぶっ飛んだキャラクターやぶっ飛んだ性格の持ち主なので、感情表現がゼロから100まですごく振り幅が広いんです。 まさにそこが強みでもあり、個性的な楽曲が生み出される要因なんだと思います。
【告知】9月7日(土)、8(日)大阪城ホールにて4th LIVE開催
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