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『ジョジョ』主役・小野賢章が語る、ボーダレス化進む声優業界の“今”

 役者・声優・ミュージシャンとして活動する小野賢章が、10月から放送を開始した『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』で主人公ジョルノ・ジョバーナを演じている。今回のTVジョジョシリーズは4期目となり、熱烈な原作ファンからも“完全再現”とそのクオリティーの高さが評価されている。声優だけでなく多彩な一面を持つ小野に、そんな“ジョジョ”への作品愛をはじめ、制作秘話や大作に抜てきされるプレッシャー、「時代の流れに柔軟に対応できる人が生き残っていく」と語るボーダレス化が進む今の声優業界について話を聞いた。

“ジョジョ”主人公抜てきの裏側は…「今年を代表する、嬉しい出来事」

――「ジョジョ」の主役を演じることが決まったときはどんな想いでしたか?
小野賢章5部(黄金の風)の役が決まったのが、去年の話だったんですよ。で、情報解禁が7月でした。そこまで誰にも喋れないのが本当につらくて…。キャスト発表の瞬間では、間違いなく今年トップ5に入る嬉しい出来事でしたね。今回は、オーディションで選んでいただきました。“ジョジョ”は僕が生れていないときから連載がはじまっている作品で、本当、冗談かと思いました。三部の承太郎は小野大輔さん、四部の仗助は小野友樹さんが演じられて小野が続きまして、「じゃあ5部は小野賢章じゃね?」みたいなことをネットでも言われていて。じゃあ5部やれたらいいなぁって(笑)。実はジョジョは普段から読んでいて、自分が演じられるとしたら5部のジョルノに可能性があるかな、って勝手に思い描いていたことが現実になったんです。“小野”が続いたのは本当にただの偶然ですね(笑)。

――普段から読んでいたイメージは、今回演じて変わりましたか?
小野賢章5部はジョジョシリーズの中でも独立しているものだと思います。舞台もイタリアで、ファッションも、芸術性もあって。物語がわからなくても絵がカッコいいという入り方もできると思いますし。今まで見たことない方でも楽しめる部になっていると思います。

――ジョジョ=3部というイメージを持つ方も多いですよね。
小野賢章でも、僕は5部が一番印象に残っています。小説版の『恥知らずのパープルヘイズ』も読んだのですが…。

――そこまで読む人は“ガチ”ですね!
小野賢章読んだら5部がもっと好きになりました。登場人物がどういう思いで動いていたのか、フーゴ(ギャングの仲間のメンバー)視点での推察やその時の心理が読み取れて。5部への理解がより深くなります。エピローグも素敵でしたし、本当に飽きさせない、いつまでも輝いている作品だと思います。

「理屈じゃなく、本能的に、自然と熱くなる姿を見てほしい」

――4部までの“個性的”な「動」の主人公に対して小野さんが今回演じるジョルノは想いを内に秘める「静」のタイプです。常に冷静な“超イケメン”主人公ですよね。演じるうえでの工夫などはいかがですか。
小野賢章5部でもブチャラティはじめギャングのメンバーは、みんなひとクセあってキャラが立っていますよね。そんな中でジョルノは熱くなっても芯は常に冷静で、器の大きさが際立つキャラクターですね。意思の強さ、目的に向かって道を切り開いていく力がすごく強くて、そこを引き立たせることを意識しています。クールだから大声を出さない、ということではない。例えば普段物静かなサッカー選手だとして、試合で味方にパスをもらうというときに静かなテンションで声をかけても通じないじゃないですか。それと一緒で、やる時はやる、自然と熱くなる、そういう部分を自然な流れでくみ取っていけたらと思っていますね。

――ということは…バトルシーンは見どころですね。
小野賢章仲間に危機が迫っていたり、クライマックスのバトルでも…ジョジョの世界は、現実世界の2.5倍くらいは叫ぶのが当たり前だと思っています。生死がかかった状況で、冷静ではありつつも“覚悟の強さ”や“大胆さ”を感じてほしいです。理屈じゃなくて、本能的に気持ちを声に乗せていきたいと思います。
――小野さんが思う、“5部ならでは”の見どころは?
小野賢章ファッション性、イタリアが舞台になっている街並み、そういうのは5部の魅力ですよね。もう一つ特殊なのは、ギャングのボスを目指すこと。それって“悪”じゃないですか。悪の中に主人公がいて、そこで巻き起こる出来事で。でも自分の正義があって、ぶつかり合って物語ができていく。そこに魅力があると思っています。ジョルノたちはチームとして明確に動いていますので、そこも5部ならではの要素ですよね。

――確かに! これまでには“チーム”はありませんでしたね。
小野賢章一緒に旅をする“仲間”ってイメージでしたよね。チームで動く、連携する。5部は、名セリフも多いので、楽しみにしていてください。

大作抜てきのプレッシャーとの向き合い方「ポジティブな方向に全エネルギーを注ぐ」

――ジョジョは“熱烈なファン”がたくさんいる日本を代表するコミックです。小野さんは過去、映画『ハリー・ポッター』シリーズのハリー役や、『黒子のバスケ』の黒子テツヤなど人気シリーズの主役を務めてきて、今回は『ジョジョ』です。大作に抜てきされるプレッシャーとどう向き合ってきましたか?
小野賢章プレッシャーはもちろんあります。ものすごくあります。難しいところですが、選んでいただいた監督さんスタッフさんを信じてやっています。見る人に喜んでもらうためにやっていますが、その…何をやっても批判はあるんですよ。ですが、“アンチ”の意見を聞き入れるためにやっているわけではないですよね。「これが僕たちの作る作品です」という想いで演じています。

――ジョジョシリーズはのアニメは原作を忠実に再現していて、批判があまりないのも素晴らしいですね。
小野賢章僕がこれまで演じてきたキャラクターは、敬語キャラやちょっと頼りない役も多かったので、みなさんの中にあるイメ―ジと違うのかもしれません。捉え方は十人十色ですから、見ていただかないことには始まらないなって。監督、スタッフさんを信じて、キャストと力を合わせていいものを作ることにエネルギーを向けています。

変化し続ける声優業界の“今”「実力主義の厳しい世界だからこそ魅力的」

――小野さんは“声優”ではなく、“役者”と名乗っていますね。歌手としても活動されて4年になります。声優のお仕事はアニメのほか、スマホゲーム、歌手、舞台、バラエティ…とボーダレス化しています。現代の声優に求められる要素はどんな点でしょうか?
小野賢章見た目も大事で、歌えないと、踊れないと…ということは実際ありますよね。声優に求められることが多い時代になってきています。僕は舞台もミュージカルも好きだし、求められるなら時間さえあればなんでもやりたいんです。小さい頃から子役でやっていて、大人になっても声の仕事をありがたいことにいただけている。養成所に通って、声優事務所に所属して…という“声優一本”でいくタイプではなかったので、僕は特殊だと思います。

 今、2.5次元が人気ですよね。元々アニメだったものを舞台役者さんが演じるという流れがあります。それが、逆に2.5次元俳優と言われるイケメン俳優の方たちが最初からアニメの声優をやって、舞台もやるという流れもできつつある。“声優一本”で活動する人の場が少なくなってきています。ボーダレス化が進んで、生き残るのは難しい世界だということはすごく感じています。

――それでも“声優の仕事”を続けている理由は? 視聴者のイメージですと、小野さんクラスはオファーで仕事が来るのかと思っていますが。
小野賢章いやいや!全然そんなことないんです。今回のジョジョもそうですが、お仕事はオーディションですし、常に危機感を持ってやっていますよ。声優のお仕事は僕はすごく“いいな”と思っています。それは、基本的にはオーディションで役を掴むものなんです。作品にマッチするかどうかが大切で、タレントの人気にひっぱられていない。大御所と言われるような方も、ベテランの先輩も、オーディションを受けていくものなんです。声優業界のそのひたむきさ、驕らない感じがすごく好きなんです。

――大作の主役に抜てきされるような人気声優はオーディションを受けないというのは誤解なんですね!
小野賢章そうです。さらに、「声優だから人前で歌って踊るのは違うだろう」、という時代ではなくなってきています。時代の流れを汲んで、柔軟に対応できる人が生き残っていくんだと思いますし、僕もそうありたいと思います。今の状況にあぐらをかかずにより多くの人に知ってもらえるように努力して、必要とされる自分でいたいです。

■TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』

【放送局】
TOKYO MX 毎週金曜 25:05 〜
毎日放送 毎週金曜 26:55 〜
BS11 毎週金曜 25:30 〜
AbemaTV 毎週日曜 24:00〜
アニマックス 11月4日(日)19:00〜

【見放題配信】
AbemaTV、dアニメストア、Hulu、U-NEXT、NETFLIX、アニメ放題、dTV、FOD他
※放送時間は変更になる場合あり

オフィシャルサイト:http://jojo-animation.com/
オフィシャルTwitter:https://twitter.com/anime_jojo 

提供元: コンフィデンス

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