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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

死神(赤い彗星)と遭遇した連邦兵士の“絶望感”「一枚絵のジオラマでストーリーを感じさせたい」

作品:「韜晦する青い瞳(ガルマ謀殺)」/制作:爆氏(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

作品:「韜晦する青い瞳(ガルマ謀殺)」/制作:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

 トップモデラーが組み上げるガンプラジオラマには、その一枚絵の中に思わぬストーリーが隠れている。今回紹介するモデラー・爆氏(@KNtDsyJXFiTb0EJ)は、予期せぬMSの出現に狼狽する連邦軍兵士を緻密に再現。本作を制作するに至った経緯や、ガンダムファンが“ジオン軍”に肩入れしてしまう理由を聞いた。

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ガンプラを作らない女性やおじさん達にもストーリーを伝えたい

  • 画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

    画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

  • 画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

    画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

――このジオラマを制作された理由は?

【爆】まず、ジオラマ制作の構想を練っていた際に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第1話「青い瞳のキャスバル」を見て、シャア・アズナブルに対して興味を持ちました。それと、ファーストガンダムの第10話「ガルマ散る」に関して、ジオン軍視点のジオラマを作ってみたいという思いもあって制作に至りました。

――本ジオラマのストーリーを教えてください。

【爆】ジオラマの題名は「韜晦する青い瞳(ガルマ謀殺)」。韜晦(とうかい)とは身分や本心を包み隠すことです。青い瞳はシャアの本名であるキャスバル・レム・ダイクンを表しています。ストーリーはこうです、“ニューヤークシティ”では、絨毯爆撃から逃れた連邦軍の部隊が、出会うはずはないと思っていた死神に遭遇した。それは、宇宙(そら)にいたはずの赤い彗星…。ある者は戦意なく逃げ惑い、ある者はただ見上げるばかりであった。そんな、戦場の一場面をイメ―ジしました。

――足元で逃げ惑う連邦軍兵士が真に迫っていますね。このジオラマに使用したキットを教えてください。

【爆】MS-06S シャア専用ザク Ver.2.0と、MS-06J 量産型ザク Ver.2.0です。制作でこだわったポイントは、とにかくインパクト重視!見た人が連邦軍兵士の行く末を案じて感情移入できる構図にしました。

――連邦軍兵士だけではなく、MSのザクが指差してヒソヒソ相談する様子も印象的です。兵士から見れば、まるで“死神”に見えるでしょうね。

【爆】連邦軍には運用するMSが無かった時代です。圧倒的なジオン軍の兵器を前に這い回って逃げるか、立ち尽くして死を待つか…もう後がない状況を分かり易くレイアウトしました。

――この作品で気に入っている部分は?

【爆】廃ビル越しのシャア専用ザク、といったあまり見たことのない構成に出来たこと。あと、絵画の様な佇まいと言いますか、これ一枚でストーリーを表現できたことです。

――本作の反響はいかがでしたか?

【爆】ザク2機と連邦軍兵士を組み合わせた作品は稀でしたので、コアなモデラーさんに評価して頂きました。あと、ガンプラを作らない女性やおじさん達にもストーリーがシンプルに伝わったみたいで、ジオラマを見て驚いてくれました。

ザクと重なるのは旧日本軍のゼロ戦、「連邦との戦力差や悲劇的な結末からジオン贔屓になる」

  • 画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

    画像提供:爆(@KNtDsyJXFiTb0EJ)

――ファーストガンダムは爆さんにとってどんな作品ですか?

【爆】私は大人になってからガンダムを見たため、MSのカッコ良さなどより、ガンダムワールドのバックボーンに興味を持ちました。ガンダムの世界では、連邦とジオンによる1ヵ月あまりの戦いで総人口の半分が死に至りました。私たちが考える以上に“死”というものが身近だったはずです。なので、連邦軍兵士がMSと対峙した際の悲壮感も大きかったと思います。あと、子ども向けアニメなのに、“互いに正義を掲げて戦う”というストーリーも斬新です。だから一兵士の実感がこもった、スレッガー・ロウの「悲しいけど、これ戦争なのよね」というセリフが大好きです。

――今回は“恐怖の対象”としてザクを演出していますが、ガンダムワールドでザクがこれだけ長く愛される理由は何だと思いますか?

【爆】私にとってザクは、旧日本軍のゼロ戦の姿が重なります。連邦とジオンにおける圧倒的な物量差・戦力差という側面、結末が悲劇である点も、判官贔屓なのかジオン軍を応援したくなる要因です。

――本作品には“悲壮感”や“恐怖”といった感情に訴えかけるものがありますね。

【爆】その点は私も意識している部分です。というのも、私のモデラーとしての技術や精度は人並み以下だと自覚しています。ただ、ガンダムやガンプラを愛している皆さんの「こんなジオラマを見たいだろうな」という思いを形にして出せるのが、私の“強み”といえます。

――では、プラモを制作していてカタルシスを感じる瞬間は?

【爆】自分にとっての「カッコいい」を積み重ねていき、「カッコ悪い」と感じる要素がどこにも無くなり、やがて手が止まる瞬間でしょうか。

――逆に、プラモ制作において「壁」を感じる場面を教えてください。

【爆】筋彫りができません。キレイなガンプラを作れません。本当に無理です(苦笑)。

――今作っているガンプラや、構想中のジオラマはありますか?

【爆】常時3つほど、ジオラマを並行して制作しています。作りたい時に作りたいジオラマを進めるスタイルです。現在は、「城壁」「捕虜」「メガサイズザク」をテーマにした3つを制作中です。

――平行して制作するのは、煮詰まった際の気分転換として最適ですね。最後に、爆さんにとってガンプラとは?

【爆】これまでは、単純に“ジオラマの題材”の1つとして捉えていました。しかし、これ程作り続けているということは、無意識下で「好き」が溢れているからだと思います(笑)。

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(C)創通・サンライズ

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