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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

ジオラマで表現するのは『機動戦士ガンダム第08MS小隊』の“泥臭さ”、「ザクが最も輝くのは裏方の役回り」

“泥臭いジオラマ”を制作する理由をEXAM氏(@Examsystem116)に聞いた。(C)創通・サンライズ

“泥臭いジオラマ”を制作する理由をEXAM氏(@Examsystem116)に聞いた。(C)創通・サンライズ

 今年40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』の魅力は、主人公が“絶対的正義”ではないという多面的な世界観やストーリー性だ。それゆえ、敵役であるジオン軍ファンを公言する人は多く、ガンプラでは多くの“オレのザク”や“オレのグフ”が制作されている。今回紹介するモデラーは、「裏方のザクが好き」と公言するEXAM氏(@Examsystem116)。“ジオラマの壁”を突破したキッカケや、“泥臭いジオラマ”を制作する理由を聞いた。

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ジオラマの配置検討で浮かぶ“アイデアの連鎖反応”が楽しい

――ガンプラにハマったきっかけを教えてください。

【EXAM】中学生の頃、ゲームセンターでプレイしたガンダムのアクションゲームに出てくる機体「ストライクノワール」(OVA『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場)がかっこよく、初めて買ったガンプラもこのモビルスーツでした。

――では、『機動戦士ガンダムSEED』が一番好きな作品ですか?

【EXAM】いえ、作品だと『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』が一番好きですね。人もモビルスーツも陸上を走り回る泥臭い戦いや、主人公がニュータイプではなく凡人なところが好きです。

――EXAMさんのジオラマ作品から“泥臭さ”を感じるのは、『08小隊』の影響からなんですね。では、ジオラマがガンプラ制作のメインになった理由は何ですか?

【EXAM】中学生の時、模型雑誌『HobbyJapan』を本屋で立ち読みしていて、その脇にあった雑誌『アーマーモデリング』をたまたま手に取りました。そこでは「キヤコン」と呼ばれる日本有数の厳しさを誇る戦車模型コンテストの結果発表がされていて。そこに載っていたジオラマの精巧さ、ダイナミックな表現に引き込まれ、ジオラマを制作するようになりました。

――ジオラマ制作の中でカタルシスを感じる瞬間は?

【EXAM】配置検討の時です。私は最初に箱やボトルといった代替品で配置を検討し、建物などの構造物を制作してある程度形になったらもう一度配置を検討します。この「作っては配置検討」のくだりを何度も繰り返すのですが、その度に今まで頭の中になかった色や構造物のアイデアが湧いてきます。それのプロトタイプを作って配置するとさらに新しい案が浮かぶという連鎖反応がとても楽しいです。

――ジオラマを制作する際のこだわりを教えてください。

【EXAM】対象のモビルスーツが一番かっこよくなる情景を目指しています。例えば、ザクならば一騎当千のような活躍よりも偵察や補給のような裏方の働きの方が似合います。一方、ダブルオーガンダムのような主人公機なら戦っている情景の方が似合います。このように、それぞれのモビルスーツに合った情景というものがあります。もっと牧歌的で日常的な情景もモビルスーツに合っていればとても魅力的なものになると思いますし、積極的に採用しています。

「ジオラマの作り方が分からない」という方の助けになりたい

――ジオラマ制作で、最初に技術的な「壁」を感じたのは?

【EXAM】壁は常に感じていますが、最初に感じたことと言えば自分が“無知”であることです。地面を作るにしても何を使えばいいのか分からない、どこに売っているのか分からない、どう使えばいいのか分からない。初めてジオラマに手を出したのが中学生の時だったのもあり、調べるにもどう調べて良いのか分かりませんでした(苦笑)。

――プラモ制作はどうやって学びましたか?

【EXAM】私が中学生の頃はスマホもSNS も普及していませんでした。なので個人のブログで紹介されている制作記事等を読み漁ったり、ジオラマ制作のキッカケとなった『アーマーモデリング』誌を熟読しました。プラモデルであればプラ板とパテである程度一貫して改造などができる一方、ジオラマに使用する地面も建物も木も、全て材料も作り方も異なります。地面が作れれば木が作れるわけではないのです。そのため、ひとつの課題をクリアしても、次から次へと分からないことが出てくる状態でした(苦笑)。

――それでは、その「壁」をどうやって突破したのでしょうか。

【EXAM】本屋で手に取った『ダイオラマ・パーフェクション』(著:吉岡和哉)と『G-world』(著:WildRiver荒川直人)には制作の1から10までが解説されており、大変助けられました。そして、展示会に参加するようになってからは素敵な作品を制作されている方々に直接話を伺い、それらを取り入れていきながら今があります。

――これまで制作してきた中で、一番のお気に入り作品を教えてください。

【EXAM】ガンダムバルバトスを主役にした「Devil 's Assault」です。これは『鉄血のオルフェンズ』の放送開始から3週間で制作し、大阪日本橋で行われていた「スケールモデルフロンティア」という模型コンテストに参加しました。その結果金賞を頂き、審査員であった上述の本の著者である吉岡さんから「金賞でなかったら吉岡和哉賞をあげていた」と言って頂けたのがとても嬉しかったです。

――それは凄い!本作の反響はいかがでしたか?

【EXAM】私は制作したジオラマの制作過程をニコニコ動画やYouTubeに投稿しているのですが、ありがたいことに多数のコメントや、実際にジオラマにチャレンジしてみたという方もいました。

――先輩モデラーの背中を見て育ったEXAMさんですが、今は“目標”とされる存在になったわけですね。

【EXAM】目標になれているか分かりませんが(苦笑)、私が動画を制作するのは、過去に私が感じていた「ジオラマを作ってみたいけど作り方が分からない」という方の助けになれればと考えたからです。なので、「実際に作った」という方の作品を生で見せていただいた時はとても嬉しかったです。

――今後作ってみたいジオラマを教えてください。

【EXAM】アメリカの都市・シカゴには「L」と呼ばれる高架鉄道がビルの隙間を縫うようにして張り巡らされています。これを舞台にしたジオラマを作ってみたいですね。ビルを作るのは手間がかかるのでそこがネックですが。

――ガンプラのアイデはありますか?

【EXAM】なんやかんやで主人公機を作ることが多かったので、今度は量産機を作ってみたいです。トリコロールの汚し塗装には少し飽きました(笑)。

――最後に、EXAMさんにとってガンプラとは?

【EXAM】ジオラマという舞台を輝かせてくれる“役者”です。

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(C)創通・サンライズ
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