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【ガンプラ】トップモデラーインタビュー!

安彦絵のORIGIN版ガンダムを“筆塗り”で再現、「筆塗りが普及すれば“新表現”が生まれる」【連載第24回】

 今年40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』シリーズ。世界的にも人気な強力IPだが、その礎となったのは1980年代前半のガンダムプラモブームだ。そんな「ガンダムプラモ」進化の一翼を担ってきたモデラーの“匠の技術”について、“筆塗り”で有名なトップモデラー・@館長氏(@PPPppppppQQQ)にインタビュー。ORIGIN版ガンダムの筆塗りに挑戦した経緯や、“自己表現の場”となっているプラモ制作への想いを聞いた。
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MG ORIGIN版ガンダムへの批判に対し「これは塗装でバケるはず」という確信があった

――ガンプラの筆塗りに挑戦するようになった経緯を教えてください。

@館長純粋に「安彦良和先生のイラストそのままの立体がほしい」という思いがあって、『THE ORIGIN』版のガンプラが発売になったのを機に、まずはシャア専用ザクで筆塗りを試してみようと。アクリル絵の具をアクリル溶剤で溶くとプラモデルに使えるっていうことは、フィギュアの塗装で実践済みだったので「筆塗りでイメージ通りにやれるはず」という自信はありました。あと『THE ORIGIN』愛蔵版単行本のカラーページを資料に、安彦先生のタッチや色遣いを研究しました。

――ORIGIN版ガンダムの筆塗りについて、思い出に残っているエピソードを教えてください。

@館長このMG ORIGIN版ガンダムが発売になったころ、ネット界隈で「これは安彦版ガンダムではない」っていう否定的な声があったのですが、「いや、これは塗装でバケるはず」っていう確信がありました。「安彦塗りガンダム」と称してTwitterで塗装過程の画像を上げていたら、ものすごい反響がありました。「ほら、どこからどう見ても安彦ガンダムじゃん」って、してやったりっていう気分でした。

――ガンプラの筆塗りで苦労した点を教えてください。

@館長以前、ラッカー系塗料でエアブラシ塗装をしていたときのほうが苦痛でした。マスキングは面倒だし、シンナー臭も嫌で嫌で…(苦笑)。でも完成品を手にするためには我慢して作業しなきゃっていう。アクリル絵の具筆塗りに切り替えてからは、そういうストレスがなくなりました。絵画用の絵の具を使っているので混色や重色もイメージどおりにできて、塗るのが楽しくてしょうがないです。ただ写真では微妙なニュアンスがなかなか伝わりきらないっていう部分は悩みどころです。立体なのに絵画っぽい塗装が魅力なのに、写真に撮ったら結局平面に戻っちゃうので。

――ガンプラの筆塗りを成功させるコツを教えてください。

@館長プラモデルを塗るという感覚よりは、絵を描くことに近いと思います。普通なら固有色で均一に塗るところを、光によって変化する見た目の色を重視して塗っています。同じモビルスーツでも昼間見るのと夕暮れ時に見るのでは違って見えるはずです。宇宙空間で、砂漠で、海中で…同じ色に見えるはずはないですよね。場面を想定して色調を決め、明暗を強調したり彩度を調整したり、絵画ではごく当たり前の手法です。よく「電飾しているのかと思った」って言われるのですが、これも明度差を強調したり光の反射を描き込んだりすることで、実際に光っているように見せるっていう絵画的な手法です。絵を描く人が、絵を描くイメージで絵を描くのと同じ道具を使ってガンプラを塗るっていうことがもっと普及すれば、今まで見たこともない新しい表現の作品がまだまだ出てきそうな気がします。

ガンプラ制作が作業ではなく自己表現活動になっている

――安彦絵の絵やカラーを再現する際の苦労を教えてください。

@館長安彦先生の絵の再現は、ガンプラっていう立体的な画用紙に模写をしていくようなもので、それほど難しくはないと思っています。お手本どおりに塗ればいいんですから。安彦先生の絵をまねて塗っていると、たとえば赤い部分でも実に多様な色が使われていることに気づきます。段階的な光と陰、周囲からの色光の写り込みや照り返し、実際に塗ってみると一つひとつの色に意味があることがわかってきます。むしろそこからの学びを生かし、単なる模写ではない自分流に構築し直していくということが大事かなと今は思っています。

――@館長さんは、安彦絵以外の作風にもチャレンジしていますね。

@館長このORIGIN版ガンダムも安彦先生のこの絵っていう物はないです。たくさんのイラストを見て、安彦先生ならこう塗るんじゃないかなぁと想像しながら塗りました。その後は、大河原邦男風、横山光輝風、永井豪風、シド・ミード風と色々な塗り方を試すうちに、なんとなくモチーフに応じた自分なりの塗り方ができるようになってきました。たとえばガンダムバルバトスルプスなんかは永井豪風のダメージ表現が似合うんじゃないかと、そんな絵はどこにもないんですけど。最近は「写真見たらすぐ@館長さんの作品だってわかる」って言われるようになってきたので、それが作風っていうことなんだと思います。

――筆塗りガンプラは、どんな時にカタルシスを感じますか?

@館長やはり絵を描くのと似ています。全体から細部へと一筆一筆色を重ねていくことで徐々にイメージに近づいていく、ガンプラ制作が作業ではなく自己表現活動になっている実感があります。うちのカミさんが「仕事で疲れて帰ってきて、よくそんなに細かい作業するねー」って呆れるんですけど、これがあるから仕事も頑張れるっていうところがあります。趣味っていうのはどんな趣味でもその人にとっての「癒し」です。最近ではプラモデルが“ボケ防止”に効果的だっていう説もあるし、大げさなようですが私にとってはガンプラが生き甲斐の1つになっています。

――ガンプラが@館長さんの人生にどんな刺激を与えてくれましたか?

@館長SNSを通じて自分の作品を沢山の方々に見ていただいて、評価していただけるっていうことがモチベーションアップにつながります。他のモデラーさんの作品から刺激を受けることもたくさんあります。SNSとガンプラがなかったら、私の人生はもっと味気ない物になっていたかもしれません。

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(C)創通・サンライズ

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