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“セミの抜け殻アート”がSNSで10万いいね、作者に聞く“グロかっこよさ”の本質
ネットでは「気持ち悪いけど格好良い」、「怖いけど凄い」などの声
ちなみに、タニクラカイさんに一番の自信作を聞いてみると、「今のところはバルタン星人です。作るたびに発見があります」とのこと。実際、テレビの『ウルトラマン』(1966年)に初登場したバルタン星人の姿は、その前のウルトラシリーズ第1作『ウルトラQ』に登場した「セミ人間」を改造して、ザリガニのハサミを付けたもの。なるほど、バルタン星人をセミの抜け殻で作ることは理にかなっているのである。
ただ、セミの抜け殻は前述のように非常に軽くて脆い素材だし、“天然”だけに素材集めも大変だ。さぞかし制作には苦労したと思われるが、そのあたりを聞いてみると、「(制作期間は)短いもので1〜3日、一番かかったのは1ヶ月です。セミの抜け殻1個につき、ひとつしかないパーツ、たとえばお尻のパーツなどを使ったりするので、小さい作品でも3つ、大きいものだと50個ぐらい使います」とのこと。
素材の入手先は、「自宅の庭、自然公園、神社など」と、これはごく普通か。「大きいパーツをボンドではり合わせて、間を小さいパーツで埋めていくイメージ」で作っていくと言うが、やはり制作にあたって大変なことは「鼻息でパーツが飛んでしまうこと」であり、さらに「落としたパーツが足に刺さったりもするので、こまめに掃除すること」ということなので、いかに素材が特殊であるかがわかるだろう。
魅力は「抜け殻の生物的な美しさを造形に組みこめるところ」
今回、セミの抜け殻アートでバズったことにより、「フォロワーが700人ほど増えて戸惑っています」と語りながらも、「また、みなさんに見てもらえるような作品ができたらと思っています。今後は、円谷シリーズの怪獣ももっと作りたいですし、映画のキャラクターでも作りたいものがあります」と次回作に意欲を見せ、将来の夢についても「セミの抜け殻アートで個展を開くこと」と語るタニクラカイさん。
単なる怪獣・クリーチャー系のキャラクターを「リアルに再現」するだけではなく、何と言っても、素材が“本物”の質感をまとうセミの抜け殻だけに、今までにない生命感を与える“グロかっこいい”、“エグかっこいい”作品を生み出してくれるに違いない。今後の「セミの抜け殻アート」の新作に期待したいところだ。