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ORICON NEWS
上野よりすごい? 15頭の繁殖を成し遂げた飼育力、和歌山“イケメン”パンダの担当に聞く
ジェントルな対応はパンダ界随一、イケメン際立つモテパンダ”永明”
生まれは1992年の北京動物園、1994年に和歌山アドベンチャーワールドへ来日した永明。以来精力的に繁殖活動に励み、最初の奥さん「梅梅(メイメイ)」との間に自然交配で6頭、梅梅の姉「蜀蘭(シューラン)」との間に人工授精で1頭、さらに父親の異なる梅梅の娘「良浜(ラウヒン)」との間に8頭の子を設けている。
シャンシャンブームによって「日本全国にパンダブームが訪れ、ジャイアントパンダ全体に注目が集まったと感じている」と喜びを語るアドベンチャーワールドのスタッフ井上杏菜さんによると、永明の性格は「おっとりと穏やかな性格である一方、竹の味にはこだわりがある、アドベンチャーワールドのパンダで一番グルメなパンダです」とのこと。マイペースな性格が、モテパンダの秘訣なのだろうか。
永明のメスパンダへのアプローチは、パンダファンからは「イケメンパンダ」「パンダ界の光源氏」などの異名がつくほどとてもスマート。一般的にパンダはオスとメスの交尾にいたるまでの道のりが難しいと言われ、交尾になると攻撃的にメスに仕掛けてしまうオスもいるなかで、永明はとにかく優しいのだという。
そんな彼の活躍のもと、15頭ものパンダの繁殖を成功させたアドベンチャーワールドの実績が認められ、5月29日に行われた「平成30年和歌山県知事表彰式」ではアドベンチャーワールドのパンダ飼育チームが「地域おこし部門」にて表彰。井上さんは「ご来園者の方や公式SNSでのコメントにてお祝いのお言葉をたくさんいただきました。この場をお借りして改めてお礼申し上げます。今後も地域の発展のため、パンダをはじめとする希少動物の飼育繁殖に努めてまいります」とコメントした。
現在同園で飼育されているパンダは永明を含め5匹。丸顔に大きな耳が特徴の8頭のジャイアントパンダを育てたベテラン母パンダの「良浜」、のんびりした性格の「桜浜(オウヒン)」と活発な「桃浜(トウヒン)」の双子パンダ、2016年に生まれ最近ひとりだちした最年少パンダの「結浜(ユイヒン)」と賑やかな顔ぶれを見ることができる。
繁殖の要因となったのは”和歌山の自然環境”と”希少動物の飼育実績”
繁殖成功の要因のひとつに水や空気、気候といった和歌山県白浜町の優れた自然環境が挙げられる。パンダの発情期は1年に1回、3月から5月頃の約14日間といわれているが、ちょうどこの時期の和歌山県の気候が中国の気候と似ているのだという。また、パンダの主食である新鮮な笹を大阪府や京都府から安く豊富に確保できるというのもポイント。そして、過去にアドベンチャーワールドがチーターやシロオリックス、エンペラーペンギンなど動物園での繁殖が難しいとされる希少動物の繁殖に成功してきた技術力の高さが、パンダ繁殖にも大きく貢献している。
パンダ一強に頼らない環境づくり
「パーク内にはパンダを含め140種1400頭の動物たちが暮らしています。草食動物・肉食動物が広大な土地に暮らすサファリワールドをまわるさまざまなツアーや、イルカ・クジラとトレーナーの息のぴったり合ったパフォーマンスをお楽しみいただけるマリンライブ“Smiles”など、さまざまなアトラクションもございます」(井上)
公式Twitterでは「一日中見ても飽きない」コツメカワウソのキュートな寝姿や、「仲良しぶりが伝わってくる」「癒やされる」とのコメントが殺到したカピバラとケープペンギンの種族を越えた微笑ましいコミュニケーションの様子なども紹介。パンダだけでなく多くのアイドルたちがのびのびと生活している姿にも是非注目してほしい。
写真を見るだけでも可愛らしさが伝わってくるけれど、動物たちのふとした表情を観察したり、実際に触れ合って息遣いを間近に感じられたりするのが動物園の魅力。まだまだブーム継続中のパンダに会いにいくのはもちろん、新たな動物たちとの出会いを楽しみに動物園を訪れてみるのも良いかもしれない。
(文:齋藤倫子)