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『匂わせSNS』はなぜ嫌われる? 芸能界も炎上のリスク不可避に
「幸せな自分」を“匂わせる”チープなSNS投稿に辟易
では、その『匂わせSNS』とは何か? それは、写真の隅っこに異性の手を写り込ませて「デートしている」ことを匂わせたり、テーブルに置いてある超高級ワインで「高級店でごはんを食べている」ことを匂わせたり、「プレゼントをもらった」ことを紹介して、彼氏(彼女)がいることを匂わせたり…と、コメントには詳細を書かず、写真の演出で「幸せな自分」をアピールするSNS投稿のことだ。
これまでも、SNS利用者は「いいね!疲れ」や「インスタ映え疲れ」に苛まされてきたが、最近はチープな演出でバレバレの『匂わせSNS』に辟易しているようだ。
「リア充偽装」サービスの需要は前年の1.5倍 ただし“匂わせない”演出がポイントに
他人に対してマウティングしたいがため、リア充生活を偽装するサービスは年々需要が拡大しており、当サービスの利用者は前年に比べて約1.5倍になっていると石井氏は語る。一方で、“匂わせSNS炎上問題”は同社でも認識されており、「リア充演出もバランスが大事になっています。というのも、『匂わせSNS』だと炎上してしまい、かえって逆効果になるからです」と、裏事情を明かしてくれた。
石井氏は、「接待されている様子を偽装する場合、これまでは高級そうな店や料理を用意し、金持ち感を“匂わせて”いました。しかし、最近は“匂わせ演出”は炎上の元。店をレストランから居酒屋にランクダウンさせたり、ストレートな演出方法にするなどし、“匂わせ”にならないよう工夫しています」と、実例を交えて話してくれた。
また、「今は投稿内容がキラキラし過ぎていると、逆に怪しまれたり、仕込みとバレてしまう」ようだ。そのため、「お客様にその演出だと『いいね!』がつかないですよ、とアドバイスすることも増えました」と石井氏。
タレントの何気ない『匂わせSNS』が大炎上に発展? 人気を左右する事態にも
昨年、タレントの益若つばさとロックバンド・SEKAI NO OWARI のボーカル・Fukaseが同じ手作り弁当の画像をインスタで公開し、一緒に動物園に行っていたことを匂わせ大炎上。ネットでは「これって匂わせだよね。ファンはどう思ってるんだろう」、「流行りの匂わせ投稿ウザイ」、「話題作りか」等々、“匂わせ”への批判コメントが殺到した。
また、昨年4月に結婚前の佐々木希が、ホッケが2皿写った手料理の写真をTVで公開した際、一部のネットユーザーはアンジャッシュ・渡部建との同棲を“匂わせた”写真だと勝手に解釈し、「プロなら(交際していることを)隠してほしい」「ホッケかなんかの魚料理2人分あっていじられてスルーしてたけど渡部と食べてたのか…?」などとネットで話題になった。
昨今は、むしろ堂々と結婚&交際宣言をした方が祝福される傾向があるように見える。芸能人同士の交際はどうしても大っぴらにできないこともあるだろうし、思わせぶりな投稿になるのも致し方ないのだが、“匂わせ”表現はかえってファンの怒りや妬みを買ってしまう現状が伺える。しかも、人気が急降下してしまうほど炎上するケースもあるのだ。
マウンティングへの反動? 自身の闇をさらけ出す“前を向く人”の支持が拡大
そうした内容にドン引きする視聴者もいるが、「守ってあげたい」、「自分を持って強く生きている点に憧れる」など、同性からの人気を獲得することに成功。素の自分をさらけ出すことによって、“嫌い派”の評価が一転したのだ。
また、“あざとい”と言われていたTBSの宇垣美里アナは、「社会の不条理を感じたときは、『私はマイメロだよ〜☆ 難しいことはよくわかんないしイチゴ食べたいでーす』って思えば、たいていのことはどうでもよくなる」として、独自のストレス回避術『マイメロ論』をコラムで紹介。すると、日々の生活に悩みや葛藤を抱える読者やネットユーザーからの“共感”を勝ち取り支持が拡大した。
こうしてみると、SNSでは(私はあなたより上位にいる)と“匂わせ”ながらマウントしてくる人が嫌われ、その反動なのか、自身の闇をさらけ出す人は共感されやすい傾向があるようだ。しかし、ただのネガティブ投稿や“かまってちゃん”アピールは拒絶される点を忘れてはいけない。自虐話になりつつも、どこか「前向きになろう」といった意志が感じられるコメントに支持が集まっている点が重要だ。
昨今のSNSユーザーは、環境の違いはありながらも似たような“試練”にぶつかり、何とか乗り切ろうとしている人に自分を重ねて、「いいね!」をしたいと思っているのだろう。だからこそ「他人より優位に立ちたい」とマウントする『匂わせSNS』に対して、過剰に反発してしまうのかもしれない。