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「萌え」の派生として話題の「バブみ」とは? “使用法”巡り男女間で激しい論争も

  • バーチャルYouTuber・キズナアイ に「バブみ」を感じるネットユーザーも(C)KizunaAI

    バーチャルYouTuber・キズナアイ に「バブみ」を感じるネットユーザーも(C)KizunaAI

 「神対応」「推しメン」「黒歴史」「中二病」…一部のネットユーザーに使われていたネットスラングがSNSで広がり一般化、やがては“現代用語”となることも増えた昨今。そんな中、アイドルファンやアニメ好きがよく使う「萌え」の派生として「バブみ」というネット用語が話題となっている。しかも、その“使用法”を巡ってはネットユーザーが男女に分かれて論争を繰り広げるまでに。そもそも『バブみ』の意味とは。そして、ネットスラングの意味が“変化”する理由とは?

あの“赤い彗星のシャア”も「バブみ」の虜に!?

 「バブみ」とは、今では一般にも認知されるようになった「萌え」の派生形とも言えるネット用語。世話焼きや、包容力やがあったり、“年下”の女性ながら母性を見出せるアニメやゲームの女性キャラに対して、「バブみがある」、またはそれを強く感じる場合には「バブみが高い」といった具合に使用するようだ。相手が年上の女性の場合は単なる「姉萌え」や「マザコン」であるため、「バブみ」とは違うようだ。

 アニメキャラで言うと、『ソードアート・オンライン』の結城明日奈、『機動戦士ガンダム』のララァ・スン、『風の谷のナウシカ』のナウシカなどの名前が上がる。また、『アイドルマスター シンデレラガールズ』に登場する小学生の赤城みりあは、あどけなさと母性が共存したキャラとして「バブみが高い」と人気。昨今注目のバーチャルYouTuber・キズナアイも、普段はアイドルっぽい立ち居振る舞いなのに、時折見せる姉御肌な部分に「バブみ」を感じるのだとか。

 さらに、アニメ内で「バブみ」の虜になってしまった男性キャラもいる。『機動戦士ガンダム』シリーズ屈指の人気キャラ、シャア・アズナブルだ。彼は映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)において、1stガンダムで自分をかばって死んだララァ・スンのことを「ララァ・スンは私の母になってくれたかもしれなかった女性だ!」と、年下のララァに母性を求めていたとまさかの告白。1stガンダム時、シャアは20歳でララァは17歳。当時感じた「バブみ」を13年後の33歳まで引きずっていたわけで、「バブみをこじらせて小惑星を地球に落とそうとする」など、ネットで揶揄されるほど。

 女性に「バブみ」を求めるのはアニメキャラだけに留まらない。女優の石原さとみ、有村架純はネットユーザーから“母性”を感じると支持され、「なんだろう、有村架純にバブみを感じる…ママ?」「石原さとみに聖母の格好してもらいたい」といった声も。また、卓球選手・福原愛が仲間を支える姿に「バブみ」を感じた人も多く、「伊藤ちゃんに声をかける福原愛さんに完全にバブみを感じてオギャりたくなってきた」「試合より福原愛さんから溢れ出るバブみにしか目がいかない」と、その“母性”がネットで注目されたことも。

 ちなみに「バブみ」の“バブ”は、『サザエさん』(フジテレビ系)のイクラちゃんが「バブ―」というように、赤ちゃん言葉からきている。さらに、より強く母性を感じたキャラに対しては、「オギャる」(自分が幼児化する・甘える)なんて言葉まであり、「バブみを感じてオギャる」というようにセットで使われるケースも。

「バブみ」の意味はどちらが正しい? 男女間で論争に発展

 一方で、女性ネットユーザーは、まったく違う意味で「バブみ」を使用しているのだという。女性は、幼くて可愛らしい男子に母性をくすぐられたり、好みの男性が子どもっぽさを見せた際に「バブみ」と使用している。例えば、平昌オリンピックで銀メダルを獲得したフィギュア男子・宇野昌磨選手は“お眠系男子”と呼ばれ、華麗な氷上の姿と普段の自然体な姿とのギャップが大ウケ。女性ネットユーザーからは「宇野くんほんとバブみ強すぎ」「宇野くんのバブみがえぐくてハマりそう」といった声が多く聞かれた。

 上記のように、男性と女性で全く異なる使われ方をしている「バブみ」だが、以前『マツコの知らない世界』(TBS系)で「バブみ」が紹介された際も、どちらかと言えば女性ネットユーザー視点の意味で説明されたことから、男性側からは「俺の知っているバブみと違う!」「違った意味で定着してしまう」とSNS上で論争に発展。それに対して、小学生キャラにまで“母性”を求める勝手な男たちに、女性たちは反発する声もあった。

 とは言え、ネットスラングが認知されていく過程で、当初の意味から変化するのはよくあること。今では一般化した「壁ドン」にしても、男子が女子を壁に追い詰めることではなく、当初は「隣室がうるさいから壁をドン!と叩いて注意すること」だった。また、「ツンデレ」も「ツンツンとデレデレのギャップ萌え」で定着したが、元々は「最初は陰険ムードでツンツンしていたが、徐々にデレデレしてくる」といった“時間経過萌え”のことだったのである。

ネットスラングの“一般化”は、女子中高生の間で流行るかどうかが鍵に!?

 昨今のネット用語の“変化”については、女子中高生の存在もポイントだ。最近は彼女らを媒介にネットスラングがSNSで広がる傾向にあり、『うP』『かまちょ』『〇〇なう』などは、10年以上前にネットで流行った言葉が一周まわって最近ブームになった。彼女らにとっては“元の意味”などは関係なく、単にカワイイ語感や、使いやすい言葉だからというシンプルな理由で用いているようだ。「バブみ」も同様で、今は女子中高生の間で“赤ちゃんみたい”という意味として、「バブい」に変化して使われている。

 “言葉は生き物”とよく言われるが、ネットスラングだけでなく、普通の日本語が本来の意味から変化して定着することは多い。数年前から使われている「爪痕を残す」も、「結果を残す」、「印象づける」といった意味で使われているが、以前は「災害や事件などで悪影響が残る」際に使われてきた言葉だった。

 しかし、単なる間違いとか勘違いという問題ではなく、先述のように言葉は時代とともに生きており、たとえ本来の意味から別の意味に変化したとしても、その時代に受けいれられれば、それもまた正解なのだろう。そういう意味では、この新たなネットスラング「バブみ」も“生き物”として成長している真っ最中と言える。最終的に「バブみ」がどんな意味の言葉として定着するのか、その着地点を見守りたい。

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