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“月9ブランド”必要? 識者が忖度なしで語るフジテレビの今後

座談会に参加した(左から)聞き手のメディア研究家・衣輪晋一氏、ライター・吉田潮氏、ライター・田幸和歌子氏、コラムニスト・木村隆志氏

座談会に参加した(左から)聞き手のメディア研究家・衣輪晋一氏、ライター・吉田潮氏、ライター・田幸和歌子氏、コラムニスト・木村隆志氏

いっそのこと「月9、やめました」ぐらい思い切りの良いキャッチフレーズも必要(木村)

――とはいえ、ネット上では「月9だから見ない」「フジテレビだから見ない」という厳しい声がいまだ多数挙がっているという厳しい現状があります。これについてはどう思われますか?
田幸 本当にかわいそうですよね。
木村 とにかく叩かれまくってます。フジテレビさんは去年だけで何度、Yahoo!トップに上がったか(笑)。
田幸 フジテレビへの“敵視”も多く見られますよね。フジテレビ=月9のイメージもあるから、さらに月9も“敵視”。一時期黄金時代を築き、ブランドが強くなりすぎたことから“豊かな時代”の象徴があり、今は豊かさが実感出来ない時代からこそ、その“バブル感”が“敵視”されているのかもしれない。月9というブランドが明らかに足かせになっているのが感じらます。
木村 他局では「とりあえず第1話を見て判断しよう」という正しい流れになってきています。でも月9に関しては、まだ始まってもない、誰もまだ見てないのに、スタート前からやられたい放題…。月9はもはや防御率ゼロといっても過言じゃない(笑)。
田幸 フジテレビバッシングの記事は安易にPV(ページビュー)数が稼げることもあるでしょうね。
木村 ここ最近多くのフジテレビの長寿バラエティの終了が報道されましたが、看板番組がなくなることでさらに「月9=フジ」の式が顕著になったように感じるんです。フジのアンチにとって月9は叩き放題が出来る“敵”に。
吉田 ただ、まったく話題にならないよりはいいという見方も出来ます。他局はあまりYahoo!トップに上がらないのに、フジテレビは「またやらかした!」みたいな記事がいくつも上がってるでしょ? これはこれでスゴイですよ(笑)。
木村 いっそのこと「月9、やめました」ぐらい思い切りの良いキャッチフレーズはどうですかね(笑)。
吉田 アリですね。そもそも私は月9ブランドとかキラキラ感とかあまり興味がなくて、みんな月9の“幻想”に取り憑かれてるなって思ってたんですよ。視聴者もそうだし、フジテレビの中もそうだし、もちろんメディアも。例えば『家政婦のミタ』(日本テレビ系)にしても『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)にしても、放送枠の話は誰もしてなかったじゃないですか。だけど月9だけは、なぜか“月9”っていう…“呪い”ですね。まるで“呪い”をかけられているみたい。
木村 確かに。補足すると、月9って“恋愛”のイメージがあるんですけど、恋愛至上主義の作品は実は92年ぐらいまでで…。
田幸 そうだったかも!

『海月姫』前評判を払拭! まやや役での三国志オタク演技が話題になった内田理央 撮影:TAKU KATAYAMA

『海月姫』前評判を払拭! まやや役での三国志オタク演技が話題になった内田理央 撮影:TAKU KATAYAMA

――月9といえば“キラキラの恋愛”というイメージのある我々も、その“月9の呪い”にかかっている恐れがあります。
吉田 よし! 今日は皆でその“呪い”を解いてあげましょう(笑)!
木村 月9も最初は当時流行の“業界もの”でしたもんね。あと今の若い子たちを見ていると、彼らはトレンドより、レコメンドというか、コメントが付いたものを見て周回遅れで体験したがる部分も感じます。彼らは新しすぎると敬遠する向きもあるから、時代錯誤感があるぐらいの『海月姫』は入り口的にはちょうど良かったのかもしれません。

ドラマに一番アツい想いを持っているのはフジ、復権は今がチャンス(吉田)

  • 『海月姫』脇を固めるのはベテラン俳優・北大路欣也 (C)ORICON NewS inc.

    『海月姫』脇を固めるのはベテラン俳優・北大路欣也 (C)ORICON NewS inc.

  • 『海月姫』謎の運転手を演じる要潤 (C)ORICON NewS inc.

    『海月姫』謎の運転手を演じる要潤 (C)ORICON NewS inc.

――では、今後の月9作品、もしくはフジテレビのドラマはどうあるべきなのか? 各々の見識をお聞かせください。
木村 やはり「月9は変わった」を明確に打ち出すことでしょうね。
田幸 NHKの朝ドラは、あらゆるネタで出尽くし、ご当地も巡り尽くし、ネタ切れ状態で飽きられ、「もう朝ドラも終わりか?」と思われた後に初めて変わることが出来たんです。月9にも可能性はあるんじゃないでしょうか。
木村 そういった意味ではフジテレビは今がチャンスなのかもしれないですね。

――チャンスとは例えば?
木村 例えばTBSの『アンナチュラル』も『99.9』も、『相棒』などテレビ朝日の強みである“フォーマット化”の流れが見られます。日テレもドラマはモタモタしている印象がある。だから今のうちにフジテレビさんはフジテレビさんらしく、現状に負けず、『海月姫』のような、次が気なる“連ドラ”という形で打ち出していってドラマファンを捕まえてほしい。『家政婦のミタ』(日本テレビ系)でも『半沢直樹』(TBS系)でもそうですけど、連ドラじゃないと大ヒットは生まれていないんですよ。
田幸 もし全10話が難しければ、NHKでよくある、5、6話っていうサイズでもいいですね。
吉田 私、フジテレビの深夜枠やFOD(フジテレビオンデマンド)でやるドラマ結構好きなんです。そこではフジもくじけず、いいものを作ろうとしているんですよね。メジャーな事務所の俳優とか人気脚本家の作品、そういう次元ではない場で若手をしっかりと育てている。それを鑑みるとドラマに一番アツい想いを持っているのはフジな気がするし、それが月9に生かせていないだけのような気がするんです。
田幸 NHKも単発・深夜から朝ドラ・大河につなげています。
吉田 枠を超えたところで、例えば10分ぐらいのミニドラマを入れるなど、他の局がまだやってない、何らかしらの改革をする必要があるのではないでしょうか。そうすれば“ドラマのフジテレビ”はもっと印象付けられるし、今のような“悪口のフジテレビ”“どうせフジテレビ”“何をやってもフジテレビ”のイメージから脱却できるかも。
木村 今は何をやっても、どうせまずは叩かれますから(笑)。
吉田 すごく大きなメスになりますけど、小手先ではなく、構造的なところから変えてもらいたいし、ドラマ好きとしては、そこにドラマというコンテンツは必ず入れてほしいです。

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