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「働き方革命」 経営者と政治家、テクノロジーとルール、異色の経歴をもつ2人が目指す未来とは?
音喜多駿かなりのジョブホッパーですね!
佐々木大輔そうですね、かなりのジョブホッパーです(笑)。
音喜多駿次はいつホップするんですか?
佐々木大輔すでにfreeeをやっているっていう期間が、最長を更新しているので、ついにここまで来たかと思っています(笑)。Googleにはデータ・サイエンティストとして入ったのですが、「日本のマーケットでビジネスを生み出す」ようなことはできないかという話になり、「中小企業向けのマーケティング」にたどり着きました。
Googleや、その前のベンチャーでインターネット・ビジネスを学んだり、広告代理店やファンドにいた時にマーケティングとファイナンスをで学びました。若い頃何がやりたいとかなかったので、とりあえず興味持ったところから一生懸命やる、っていうただそれだけなんですよね。
佐々木大輔そこが起点だったんですね。
音喜多駿そうなんです。最初はLVMHっていうルイヴィトン・グループに行きました。「なんでヴィトンから政治家に?」って聞かれるんですが、実は「政治家になるという目標があった」から「ヴィトンにはいった」という流れなんです。女性が社長で、9割ぐらいが女性社員で、幹部の7割くらいも「女性の会社」に入ってみて、そこでどういう社会が生まれて、どのような意思決定が行われて、人間はどう行動をするのかっていうのをフィールドワークしたいと考えていました。
佐々木大輔それはすごいですね。
音喜多駿LVMHで7年間ビジネスをやっていました。三人仕えた社長も二人は女性だったし、周りのディレクターも女性ばかりでした。これは余談ですが、女性ばっかりでやはり良いこともあれば、当然悪いこともあって、一概にバラ色の社会が広がっているわけではないっていうのはよく学びました。(一同笑)
これは僕の主観ですが、男性より女性の方が、前例にとらわれない思考やクリエイティビティが優れているように思います。男性は理性的なので、数字に縛られがちです。「ほら、上手くいかないだろう」とか、「前に失敗しているからダメだ」って言うんです。けれども、女性は「いや、今回の商品とこれは全然違うんです、だからいける!」といって一歩を踏み出す力をもってる。今の日本って、前例と同じことをやっていたらシュリンクしていくだけなので、思い切って切り拓いていく女性の力が必要です。
佐々木大輔出馬において、「よし今だ!」っていうタイミングはあったんですか?
音喜多駿きっかけは、東日本大震災でした。毎週末ボランティアで東北に行っていたんですが、当時の日本の仕組みって結構ガタガタで、行政も全然機能しないし政治にリーダーシップもありませんでした。その状況を目の当たりにして、この国は20年後に本当に存在できるのかと危機意識を持ったのが理由の一つです。
もう一つは、被災地にいらっしゃったおじいさんやおばあさんと話していて、「あなた何やりたいの?」って話になり「政治家です」と言ったら「私の息子もあなたくらいの年でそういうことを言っていたのよ。でも死んでしまったの」と言われて、それが刺さったんです。「いつか」とか「将来お金ができたら」とか、「十分やってから」とかいうのは、もう全部言い訳だなと。それって亡くなった方に対してすごく失礼で、できる力というか、チャンスも丈夫な体も環境もあるのに挑戦しないのはおかしいんじゃないかと、これはもう最短距離で政治家を目指すしかないと2011年に思いました。そこから直近で2013年の都議会議員選挙があったんです。
将来は総理大臣になるつもりでやっているんですけど、国会議員にいきなり挑戦するのはちょっと望みが薄い、でも区議会議員からだと少し回り道すぎる。勝てる可能性があって、かつ、一番国会に近いのが、都議会議員だなと思って、そこに全部のリソースを投下していったんです。博打を打って、それがなんとなく成功した、という感じですね。ずっと博打打っているんですけどね(笑)
「副業」は世界を広げるチャンス、「いつ辞めても大丈夫」という環境をつくる
音喜多駿僕の周りも政治家志望っていっぱいいたんですよ。「いつかなってやるぜ」みたいな。でも大体30歳くらいになってお金もできて力もついて勝負できるタイミングになると、家族がいるとか、会社でポジション持っちゃったから部下を手放して自分だけ勝手にはできないとか、不自由になっちゃうんですよね。家族観とか会社観みたいな視野で生きちゃっていて、それは必ずしも否定されるものではありませんが、「あの時の輝いてた君はどこに行ったの」、みたいな気持ちになるし、日本の社会全体にとってもロスがすごく多いなと思います。
僕は外資系に入ったことと元々辞める予定だったことが重なって結構スムーズに辞めちゃったんですけど、意外と日本人ってそういう人がいないから、すごいイレギュラーじゃないですか。よく「大企業辞めるのって怖くなかった?」とか質問されるんですけど、「いや、辞めたいなら辞めるでしょ」って。
(一同笑)
佐々木大輔まさに仰る通りで、別に辞めるの怖かったかと聞かれても、「だって辞めたほうが楽しそうだったから」っていう。
(一同笑)
音喜多駿普通28歳で4社目ってなかなかいないですもんね。
佐々木大輔長い目で見ればリスクのない働き方なんじゃないかと思っています。それは例えば、ある意味「変化に強いですよ」というところを証明していますという風にも言えるかもしれない。この10年でスマートフォンが生まれ、生活のすべてが変わりました。これから10年で人工知能がなんだとかっていうのがあるんだけれど、具体的にこうなるんだってズバッと言える人って多分いないですよね。そんな世の中で、自身の命運を企業に任せるっていうのは、すごく怖い働き方なんじゃないかと思っています。「自分のキャリア」っていうものを作っていくことによって起業するっていう選択肢もとりやすくなるし、いざとなったら「自分自身の力で働ける」というようなことを思える状態でいるっていうのが重要だと思うんですよね。
ただ「いきなりそれはハードル高いよね」という中で、「副業解禁」の流れがある通り、副業で一度実現していくっていう事ができれば、もっともっとみんながリスクを取りやすい社会になるんじゃないかと思います。
「働き方改革」って非常に重要で、結局会社に出てこなくてもよければ、子供も抱えながらだって働けるかもしれないし、スキルがあれば転職が可能で、「妊娠しました、辞めます」「子供も大きくなったし、そろそろ復帰します」って言ったらすぐぱっと復帰できるような、社会の流動性みたいなものを高めていきたい。
そういう部分は政治から変えていかなければいけない。ただ、個人としての意識も変えていかなければいけなくて、会社に言われたことだけ粛々とやっていれば良いというのではなくて、「自分のスキル」だったり実力をつけていくことが大切なんです。明日会社がなくなるという状況に立たされても生きていけるというような自信は、自分の中で作っていかなければいけないですよね。
佐々木大輔個人が、いつ会社辞めても大丈夫だと思える状態に自分がいるっていう、そういう人が世の中にどれだけいるかっていうのが社会の強さみたいなものなんじゃないかなぁと。
音喜多駿いつクビになっても大丈夫という体制をとっておけば、体が悲鳴をあげるような状況になったら休むわけで。それを言えないから95パーセントの人は結局会社の兵隊になっちゃうんですよね。そこは社会としての問題だとか、厚労省がなんとかしろだとかいうのはもちろんそうなんですが、やっぱり個人個人も力を持って、そういう状況でノーと言えるようになる「自分づくり」をしていくっていう両面からのアプローチが大事になってくるんじゃないかと考えています。