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キャリア21年の山口紗弥加、“アネゴ肌女優”の第一人者
印象に残る存在ではないが安定感に高評価
23歳の頃には方向性に悩み、体調も崩して芸能界を「辞めようと思った」と、今年8月にトーク番組『ボクらの時代』(フジテレビ系)で語っていた。だが、最後の仕事のつもりで臨んだ野田秀樹氏の舞台『オイル』で、演技の楽しさを実感して踏み止まったという。その後、蜷川幸雄氏の舞台『エレクトラ』にも出演し、「鼻くそ」などとののしられる厳しい稽古のなかで女優としての地力を鍛えられた。
連ドラにも毎年数本ペースで出演。『僕と彼女と彼女の生きる道』(フジテレビ系)、連続テレビ小説『わかば』(NHK)、『14歳の母』(日本テレビ系)などの話題作にも名を連ね、主人公の昔の不倫相手、親友のOL、学校の先生といった幅広い役柄を演じてきた。主役ラインからは外れていて、一般視聴者に強く印象が残る存在ではなかったが、どんな役でも自然になじむ安定感は制作サイドの信頼を高めていった。目立たぬところで作品の質を支えている。
認知され始めた“カッコいい色気”女優
様々なタイプの脇役を演じたキャリアを経て、ここに来て“アネゴ枠”とでもいうような、芯が強くヒロインを支えたりする女性役がオハコに見えてきた。ただ彼女の強みは、大枠はアネゴでも、『コウノドリ』では責任感の強い“鉄の女”、『サイレーン』では“オジサン”のような先輩と、決して似た人物像にならないこと。だからこそ同期での掛け持ち出演もこなせるのだろう。
山口は若手の頃から、出演前に自分でドラマの人物相関図を作り、スタッフ相手に何度も台詞の読み合わせをしていたという。出番は多くない脇役でも、他の誰でもないひとりの人間としてキッチリ演じ切る。その努力を20年以上続けてきたのが実を結んでいる。ドラマに欠かせない名バイプレーヤーとして、いっそうの活躍が見られそうだ。
(文:斉藤貴志)