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葉山奨之インタビュー『新しい楽しさを見つけて自分の感覚も変わった』
自然な感じでできたのがよかった
葉山芝居はしっかりやったと思うんですけど、僕のなかでは伝わっていないというか、あまりグッとくるものもなくて(苦笑)。ただ、オーディションのときって、普段はすごく緊張して固くなってしまったりするんですけど、この作品に関してはそういうのがなかったんです。自然というか、そのままの感じでできたので、逆にそれがよかったのかなと思います。
――葉山さんにとっては、初主演映画になりますが、プレッシャーは?
葉山台本の1ページ目に自分の名前が書かれていて、そこから伝わってくるものはすごくて!“うわーっ、俺の名前が書いてある! どうしよう!?”って思ったんですけど、このプレッシャーを全部、作品にぶつけてやろうと(笑)。
葉山哲夫として、3回くらい通しで台本を読んで、感じたことや思いついたことをメモをしました。そこから、哲夫はこうやって生活してきたんだろうか? とか、頭がパンクするくらいまで考えて、撮影現場に行ったら1回全部忘れて、芝居をする。どの作品もそういう感じなんですが、今回はとくに、哲夫の人物像に意識を集中するというより、現場で作り上げた感覚が大きかったです。
――哲夫が恋をする少女・舞子(荒川ちか)は、難病のために耳が聞こえず、声を出すこともできない設定でした。ふたりが心を通わせていく過程を、ひとりきりでイメージを作るには限界がありますよね。
葉山台本を読んでいても、相手にセリフがないことはすごく難しいと思ったのですが、やってみると本当に難しくて。普段、セリフがあって、僕たちはそれに反応して物語は進んでいくけど、表情だけで読み取っていかないといけないので。(ふたりのシーンでは)僕がストーリーを進めていかないといけないし、作品を観ている人も、たぶん僕のリアクションを観て、何かを感じるんだろうし。セリフがないって、こんなに難しいんだって思いました。監督に「セリフのタイミングがよくわからないです」と言っては「いまの感じで大丈夫だから」って励ましてもらったり。その繰り返しで、3人で作っていきました。
こんなにニヤニヤしながら観たのは初めて
葉山昨年の8月末です。ちょうど『まれ』の直前でしたね。
――印象に残っているシーンはありますか?
葉山(哲夫と舞子がデートする)海辺のシーンとかは、やっぱり印象深いですね。カメラが300メートルくらい先の、遠いところにいて。自分たちのペースで、カメラの方に近づいていくという自由な感じの撮影でした。監督にも「ふたりの世界観でいて。後は任せるから」と言われて。ちかちゃんとふたりで作り上げていく、おもしろい撮影の仕方だなと思いました。
――哲夫について、どんな男の子だと捉えましたか?
葉山少しやんちゃだけど、なんだか純粋。たぶん17歳の持っているパワーというか、無敵さがあって。10代の男の子って、無敵な感じがするんです。何でもできちゃう気がしてて。そういうわんぱくな男の子が恋をする。物語の途中に、(哲夫が気持ちを)すごい切り替える場面があって、そこをちゃんと見せられればいいなと思っていました。
葉山僕はぜんぜん無敵じゃないです! 最近はもう、無敵とはまったく異なる種類の人間だと思っています(笑)。いろいろ探っている段階なんです(苦笑)。
――20歳を目前に控えて、なにか変化を感じているのですね。完成作はどうご覧になりましたか?
葉山照れますよね。こんなにニヤニヤしながら、自分の作品を観たことはなかったです。やってるときは、恥ずかしいとは思っていなかったんですけど、試写で観て、ニヤけが止まらなかったです。ドキドキして、ちゃんと作品が観れませんでした。“あぁ、こんなことやってるよ!?”って。でも泣いている人たちもたくさんいて、それはすごくうれしいなって素直に思いました。