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ドラマ主題歌の価値が低下? ヒット曲が生まれない要因とは
ドラマ主題歌の価値が低下? ヒット曲が生まれない要因とは
さらに、2000年以降もセールス規模こそ小さくなったものの、記憶に残るドラマ主題歌ヒットは生まれ続けた。200万枚を超えたSMAPの「世界に一つだけの花」を筆頭に、MISIAの「Everything」や修二と彰の「青春アミーゴ」なども100万枚を突破。コブクロの「蕾」はレコード大賞に輝き、嵐の「Love so sweet」は確実に彼らのステージを一段上に押し上げた。柴咲コウの「かたちあるもの」やレミオロメンの「粉雪」は聴く者の涙を絞り出し、GReeeeNの「キセキ」は彼らの代表作となった。
ところが2010年以降となると、そうした“ドラマからのヒット”は一気に影を潜める。いきものがかりの「ありがとう」や、薫と友樹、たまにムック。の「マル・マル・モリ・モリ!」といった例はあるものの、相対的に絶対数は少なく、ドラマからヒット曲が生まれなくなっているのは明らか。マーケット規模の縮小や視聴者のテレビ離れ、あるいは90年代のような“翌日に学校や職場で話題になる”ドラマが少ない(もしくは他のジャンルが盛り上がっている)といった状況もあるのかもしれない。
作品内容と楽曲がリンクしてこそ活きるドラマ主題歌
つまり、音楽がドラマの世界観に寄り添い、ドラマがストーリーの一要素として音楽を強く求める時、ドラマからのヒット曲(それがインストであれ)が生まれる土壌は残されている。Bank Bandをはじめ多くのアーティストにカバーされたことで再び注目され、今やカラオケでもロングヒットとなっている中島みゆきの「糸」は、98年のドラマ『聖者の行進』(TBS系)の主題歌でもあった。ドラマを通して音楽が人の心を震わせた結果、スタンダードナンバーが生まれた代表的な例と言っていいだろう。
(文:田井裕規)