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『洋菓子店コアンドル』『白夜行』『神様のカルテ』深川栄洋監督、ブレークの理由

 ベルリン国際映画祭(現地時間10日開幕)に出品される『白夜行』(公開中)の深川栄洋監督(34)。続けざまにオリジナル脚本の新作『洋菓子店コアンドル』が11日(金・祝)より公開される。昨年はこのほかに『神様のカルテ』(8月27日公開)も撮った。「観客にどう響くか、今は通信簿を待つ気分。ブレーク(急に人気が出る意味)と言われるが、壊れないようにしたい」と微苦笑を浮かべた。

深川栄洋監督 (C)ORICON DD inc.  

深川栄洋監督 (C)ORICON DD inc.  

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 『洋菓子店コアンドル』は、ある理由でケーキ作りを辞めてしまった伝説のパティシエ・十村(江口洋介)や洋菓子店に集まる人々が、恋人を追って上京してきた女の子・なつめ(蒼井優)と出会うことで、みんな少しずつ変わっていく、というストーリー。

 深川監督は「女の子版“寅さん”のような映画にしたい」と取り組んだ。自分の身の回りでもありそうで、でも日常とはちょっと違うエピソードに驚いたり、感動したりできる映画・・・『男はつらいよ』シリーズや森繁久彌さんの『社長』シリーズを例に挙げ、「最近の日本映画であまり見かけなくなったと思って、挑戦してみたかった」と明かす。

 昔の日本映画にも造詣が深く、自主制作からそのキャリアをスタートさせた深川監督。『自転車とハイヒール』(2000年)でPFFアワードに入選し、オムニバス映画『自転少年』(2004年)で商業監督デビュー。初の劇場用長編映画『狼少女』(2005年)が第18回東京国際映画祭「ある視点部門」に選出され、注目を集めた。その後、一気呵成に『真木栗ノ穴』(2008年)、『同級生』(2008年)、『体育館ベイビー』(2008年)、『60歳のラブレター』(2009年)、『半分の月がのぼる空』(2010年)等を手がけていく。

 「どの作品にも“僕”が出ちゃってますね(笑)。僕と、僕に関わってくる女性。優柔不断な男の子と強い女の子が出てくるというか…」。『コアンドル』で言えば、なつめには映画制作を始めた20代の自分が、十村には自身の過去の経験が投影されているという。

 「劇中で、洋菓子店の主人(戸田恵子)がなつめに『男と仕事、どっち取るの』と聞く場面がある。僕は、何かの道を極めようとするなら、両立は難しいのではないかと思っています。僕自身がそうだったから。十村は結婚して、子どもが生まれて、家族のために一生懸命働いていたつもりが、大事にしていたものをおろそかにする結果になってしまう。僕も同じように、大事なものと両立はできなかったけれど、映画は作り続けている。今の僕を頑張らせている動機はそこにあるかもしれない」

 自分の実体験やアイデンティティが映し出されてしまう「映画作りは恥ずかしい」。一方で、「僕の恥ずかしい部分を映画という形でさらけ出して、鑑賞物として楽しんでもらえればそれでいい」とも思う。映画監督とはつくづく、不思議な職業だ。

 そして、臆面もなく「地球は女性で回っている」と口にする監督の女性賛美のまなざしが、深川作品に一貫する心地良さの要因の一つかもしれない。『コアンドル』のなつめも、独りよがりでヒステリックな短所も含めて愛すべき女性として心に残る。演じた蒼井の力もあるだろう。深川監督は「蒼井さんに影響を与えたいと思っていました。彼女からどんなものが出てくるのか、どんな表情をみせるのか、楽しみだったし、実際すごく楽しかったです」と撮影時を振り返り、目尻を下げた。

ヘアメイク:加藤恭子(アルール)

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  • 深川栄洋監督 (C)ORICON DD inc.  
  • 映画『洋菓子店コアンドル』は2月11日(金・祝)より全国公開 (C)2010『洋菓子店コアンドル』製作委員会 

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