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役所広司、「下手でもいいから一生懸命に」 『最後の忠臣蔵』に主演

 映画『最後の忠臣蔵』(杉田成道監督、12月18日公開)に主演する俳優・役所広司。同作は、江戸時代から300年にわたって語り継がれてきた忠臣蔵の16年後の物語。1703年、赤穂浪士による討ち入り事件で、大石内蔵助の密命を受け、生き残った2人の男の過酷な半生を描く。

インタビューに応じた俳優・役所広司。その話し声は渋く、柔らかい印象で耳に残った Photo by Yoshiko Yoda 

インタビューに応じた俳優・役所広司。その話し声は渋く、柔らかい印象で耳に残った Photo by Yoshiko Yoda 

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 役所が演じる瀬尾孫左衛門は、討ち入りの前夜、内蔵助からまもなく生まれてくる隠し子を託される。「命惜しさに逃亡した」という汚名をあえて被り、素性を隠して可音と名付けた娘を育てあげる。

 男として、孫左衛門をどう見るか。役所は「すべてを捨てて、忠義を果たすためだけに生きる。なかなかできることではないと思う。それだけ大石内蔵助という人物が魅力的だったということでしょうか。孫左衛門の生き方を理解しようと思うよりも、憧れ。男らしさを感じました」と語る。

 日本人の多くが知っている“忠臣蔵”の物語を違った角度からとらえる同作は、生き残りの2人の男のドラマに加えて、孫左衛門と可音のドラマが折り重なる。可音を名家へ嫁がせることで孫左衛門の使命は果たされるのだが、胸に去来するのは喜びと安堵と哀しみが入り混じった複雑な思い…。「可音さまへの恋情に気づいた孫左衛門は、自分を押し殺し、苦しんだでしょう。僕だったら、おゆうさん(安田成美が演じる近隣に住む美しい女性)のところへ行って、幸せな余生を送る道を選ぶでしょうけど(笑)」と茶化したが、忠義の尽すことに是非を問わないのが日本人なのかもしれない。

 「この時代の人々の、貧しくとも地域社会で助け合っているところや、人情に厚いところ、侍なら侍なりの生き方といったものなど、魅力的なところがたくさんあるように思う。ぼくたち現代人も要所々々で昔の日本人の良さを知っておくというのもいい。そういう意味でも時代劇は面白い」。

 今年は『十三人の刺客』(三池崇史監督)にも主演し、時代劇が続いた。「時代劇は年数が経っても時代劇。現代劇はその時代を切り取り、映し出すところが面白いと思うけど、何年か経つと古い感じがしてしまうのは否めない。街並みにしろ、携帯電話にしろ、ね(笑)。いい時代劇というのは、いつ見ても新鮮で古びない気がしますね」

 1978年に仲代達矢が主宰する俳優養成所『無名塾』に入所してから、ひたすらに俳優の道を歩んできた。1983年のNHK大河ドラマ『徳川家康』の織田信長役など時代劇で注目を集め、舞台、テレビ、映画の第一線で活躍し続けている。大ヒットした『Shall we ダンス?』(1996年)、『失楽園』(1997年)、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した今村昌平監督の映画『うなぎ』(1997年)など、数々の作品に出演して経験を積んできた。それでも新たな台本を前にするたびに、高い壁を感じるという。「もう、必死ですよ。今回も孫左衛門をちゃんと演じられるだろうかと、そんなことばかり考えていました」。

 昨年は映画『ガマの油』で監督デビューも果たした。裏方を経験したことは、表に立つ俳優としても新境地に至った。「撮影現場にいるスタッフが、俳優たちがどんな芝居をするのか、どのように物語を語るのか、すごく期待しているってことがわかったから。期待もするけど、役者を救ってくれるのも彼ら。スタッフは役者にとって味方なんだと信頼するだけで、芝居は変わりますね」。スタッフの背後にいるのは、もちろん観客だ。「役者は下手でもいいから一生懸命芝居をすること。それが大事なんだと思いました」。

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  • インタビューに応じた俳優・役所広司。その話し声は渋く、柔らかい印象で耳に残った Photo by Yoshiko Yoda 
  • Photo by Yoshiko Yoda 
  • 映画『最後の忠臣蔵』は12月18日(土)より全国公開 (C)2010「最後の忠臣蔵」製作委員会 
  • 映画『最後の忠臣蔵』は12月18日(土)より全国公開 (C)2010「最後の忠臣蔵」製作委員会 

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