『告白』（2010年）、『悪人』（10年）、『おおかみこどもの雨と雪』（12年）、『君の名は。』（16年）、現在大ヒットを記録している『すずめの戸締まり』（22年）などの映画プロデューサーで、小説家としても数々の作品を発表。昨年、自身の小説『百花』の映画化で長編監督デビューを果たした川村元気の恋愛小説『四月になれば彼女は』（文春文庫）が映画化され、来年（24年）春に公開予定であることが明らかになった。

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　四月のある日、結婚を間近に控えた藤代俊（ふじしろ・しゅん）の元に、“とある人物”から手紙が届く。それは藤代が10年前に交際していた初恋の女性、伊予田春（いよだ・はる）からのものだった。時を同じくして、藤代の婚約者である坂本弥生（さかもと・やよい）が突然姿を消してしまう…。なぜ春は手紙を書いてきたのか？　なぜ弥生は姿を消したのか？　2つの謎はやがてつながっていく――、というストーリー。

　過去と現在、東京そしてボリビアのウユニ、チェコのプラハ、アイスランドなど世界各国を舞台に、愛する人の姿を探し求める切なくも壮大な愛の物語となっており、今年1月に海外ロケを実施し、すでにオールアップしている。

　スタッフも豪華で、監督は、米津玄師「Lemon」のミュージックビデオ（MV）を手がけた35歳の山田智和が長編映画初監督を務める。山田監督を支えたのは、映画『新聞記者』（19年）、『余命10年』（22年）などで藤井道人監督とタッグを組んできた若手屈指の実力を誇るカメラマン・今村圭佑。監督の山田とは同じ35歳で、米津玄師「カムパネルラ」やあいみょん「桜が降る夜は」のMVでもコンビを組んでいる。さらに音楽は、サザンオールスターズ、Mr.Childrenをはじめ数々のプロデュース・作詞・作曲で名曲を送り出してきた小林武史が担当する。

　「『四月になれば彼女は』は私にとって、とても大切な作品」という原作者の川村は「山田智和監督のミュージックビデオのファンで、いつか一緒に仕事をしたいと思っていました。音楽と共に、現代の都市と人間の姿をこれほどまでに感性豊かに描く映像作家は世界でも稀有（けう）だと思っています。35歳の若い感性で紡がれた、まるで美しい音楽のような映画になるでしょう。若手随一のカメラマンの今村圭佑さんと、天才的な音楽家の小林武史さんとの組み合わせで、いったいどういう映画ができるのか、今からの楽しみでなりません」と期待を寄せている。

　あわせて、美しい情景を求め、地球1周分を越える4万5千キロの総移動距離を経て撮影を敢行し、壮観な映像美にこだわり抜いた本作の象徴的な2シーンのビジュアル（ウユニ・東京）と特別映像が公開された。

　「天空の鏡」と呼ばれるボリビア・ウユニ塩湖の澄み切った景色が印象的な“ウユニビジュアル”、東京の街中に咲き誇る美しい夜桜の“東京ビジュアル”。そして、山田監督自らがディレクションをおこない、原作のせりふを散りばめたマンスリートレーラーの第1弾《April》も解禁。ウユニ塩湖でカメラを構えながら歩く女性の姿が映っている。この縦型の特別映像は原作小説が四月から始まり、各月を追う形で描かれることになぞらえて、公開まで毎月公式SNSにて配信予定。映画と原作の世界を追体験できるスペシャルな動画となっている。

■監督：山田智和のコメント

　初めて『四月になれば彼女は』を読んだとき、愛を探すこと、そして生きることに溢れた素晴らしい小説であると思いました。この原作を映画化することによって、現代で私たちが抱えている痛みのようなものに寄り添うことができると確信を持ったのです。同時に、恐ろしいほどリアルで、目を背けたくなるような現実ともこの映画はしっかりと向き合わなければならないと覚悟しました。

　素晴らしいキャスト・スタッフに支えられて、一つ一つの光と向き合った撮影はとても刺激的な時間で、今も頭から離れない景色たちばかりです。来年の公開を楽しみに待っていていただけると幸いです。

■撮影監督：今村圭佑

　大学時代からの仲間である山田智和の初長編監督作ということで参加させてもらいました。素晴らしいキャストスタッフのみなさんに助けてもらいながら、作品の小さな機微も逃さないように映像に映し出せていることを願っています。徐ろで美しい物語をどうかお楽しみください。

■音楽：小林武史

　最初に監督から、海外撮影のために台本を読んだ段階で何曲か作曲してほしいというお題があり、僕の感覚で投げた複数曲から、数回のキャッチボールを経て、お互いに全容が把握できたように感じています。最後は、重なり合った気持ちの方向を音楽で描いていくというような作業でしたが、今までにないビビッドな感覚の映画音楽になったような気がしています。