THE ALFEEの高見沢俊彦が11日、東京・神田明神で自身が執筆した小説『特撮家族』（文藝春秋）のヒット祈願を行った。

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　高見沢は「高見澤俊彦」名義で小説を執筆。2018年発表の『音叉』、2020年発表の『秘める恋、守る愛』に続く第３弾となる『特撮家族』は、家族全員がオタクの「田川家」が舞台。父が急逝したことで残された大量の怪獣フィギュアをめぐるホームコメディーとなっている。

　ヒット祈願は、小説にも出てくるゆかりの地・神田明神で行われ、冒頭で「今日はTHE ALFEEの高見沢ではなく、作家の高見澤俊彦として『特撮家族』のヒット祈願をしてきました」とあいさつした。

　今作執筆のきっかけは、過去2作品とは「全く違うものにしようとした」といい、「曲と一緒ですよね。アップテンポな曲、バラード、ハードな曲…そういう意味合いを込めて、今回は違うテイストでやってみようと思いました」と説明。「まずは僕が子どもの頃から大好きだった特撮、怪獣映画、戦国もの・歴史もの、そういったものを詰め込んだ」と明かした。

　書斎は持たず「車の中であるとか、移動中の新幹線、楽屋とか、あらゆるところで」執筆。合間には楽曲も書いているといい、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手の名前をあげ「大谷さんじゃないですけど“二刀流”で、今頑張っております」と笑みを浮かべた。

　作詞と小説の執筆の違いについては「全然使う脳が違う気がする」と話し、「音楽は50年くらいやっていますから、ある意味身についていますけど、小説は還暦過ぎてから1冊目を書いたものですから、まだまだだなという気持ちのほうが強い」と自己評価。「曲のイメージと小説の物語のイメージとは全く感覚が違うんですよね。曲の場合は、桜井（賢）のイメージ、坂崎（幸之助）のイメージ、僕のイメージで書けるんですけど、小説は全く架空のものですから、そこから始めなきゃいけないので、かなり締め切りが怖いですね。曲の締め切りは全然怖くないんですけどね」と笑いを誘っていた。

　特撮との出会いは小学校1年のときに教育者の父親と観に行ったという映画『モスラ』だったという。「大きな蛾の怪獣が出てきてびっくり」しながらもハマり、小学2〜3年の頃に『キングコング対ゴジラ』を観て「衝撃的でしたね。背びれが光って、光線を吐くという、子ども時代にいちばん鮮明に残っている記憶の一つです」と振り返った。

　ゴジラのフィギュアも大人になってから集めているというが、「ギターは580くらいあるんですけど、そこまではないですね。大きいのから小さいのまで、200くらいはあるのかなぁ」と告白。「高見沢俊彦を形作っているのはゴジラ映画かもしれませんね。ウルトラマンも好きですけどね、もちろん」と特撮愛をアピールし、自身の小説の映画化について「そりゃできたら観てみたいですよね、映像で」とノリノリだった。

　小説家としての目標は「5作は書きたいなと。あと2作はなんとか書きたい」と意欲。『特撮家族』のスピンオフは既に執筆したといい、「自分の中にプロットはいくつもあるので、それを具体化していきたいなと思っています」と展望した。芥川賞などを狙うかについての質問には「いやいやいや…それはもう」と否定。「何か賞はほしいですけど、大きな望みは自分の作品を出すことがまず先決かなと思っていますので」と話していた。