ドラマ&映画 カテゴリ

7月期ドラマで爪あとを残す俳優たちの共通項 意欲作が続くNHKよるドラ枠

 近年、朝ドラ出演を機にブレイクし、民放ドラマで引っ張りだことなる役者は数多い。しかし、今クールのドラマで目立つのは、朝ドラ出身者ではなく、あるコアなファンを獲得した深夜ドラマなのだ。それは、今年1月によるドラ枠で放送されたNHKとゾンビの異色コラボ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK総合)だ。

【写真】その他の写真を見る


■覚悟の体当たり演技も。敵役の華として高評価の瀧内公美

 ドラマ好きの間で「傑作」と評する声が多かった『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(ゾンみつ)出身キャストの活躍が見られるのは、例えば『凪のお暇』(TBS系)に出演中の瀧内公美。

 黒木華演じる主人公・凪の元同僚で、やたらとマウンティングしてくるリーダー格・足立さんの表情が、イキイキと意地悪で、非常に良い。口では強気なことばかり言うクセに、こっそり婚活パーティーに行っていたり、陰では同性に嫌われていたりしそうなところも、なんだか生々しくて、このドラマにドロドロした華を添えている。

 そんな瀧内公美は、『ゾンみつ』では主人公・みずほの友人でありながら、みずほの夫と不倫していた美佐江を演じていた。世間体ばかり気にしている小心で抑圧的な性質に見えて、一度不倫がバレてからは、感情を剥き出しにして、不倫相手の妻である友人に「この人をくれ」と迫るほどの開き直りも見せていた。ちなみに、映画『火口のふたり』で見せている覚悟溢れる体当たりの演技が、とんでもなくエロい。今後の活躍が非常に楽しみな存在だ。

■可愛らしさ、愛嬌、切なさ…独特な存在感を放つ渡辺大知

 また、森田まさのり氏の人気漫画を劇団ひとりが初演出したドラマ『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)では、黒猫チェルシーのボーカルで俳優、映画監督の渡辺大知が光っている。

 主人公・上妻圭右の「才能」を見出し、芸人の道に引き込むきっかけを与える「元芸人」の相方・辻本を、渡辺大知は原作と瓜二つの再現度で演じているのだ。本来の造形は原作のキャラとは遠いのに、一つひとつの表情が緻密なまでに原作の辻本そっくりだ。一見落ち着いていて物静かだが、上妻との「べしゃり」にワクワクしたり、上妻の天然の傍若無人ぶりに呆れたり、慌てたり、その目の動きや口元の動きを観ていると、逆に映像から原作のコマを思い出せるほどである。

 渡辺は『ゾンみつ』では、早期にゾンビに噛まれたものの、完全には心を失わずにゾンビ化と抗い続ける、優しいコンビニ店員「神田くん」を可愛く愛嬌たっぷりかつ切なく演じていた。おそらくあんなにも魅力的なゾンビを演じた人は、これまでいないのではないか。

 徳永えり主演の『恋のツキ』(テレビ東京)では、同棲していたアラサーの恋人を高校生男子に奪われる役を演じたが、「自分勝手だが、ちゃんと愛情はある、でもトキメキを感じられなくなった彼氏」があまりにリアルで切なかった。

■意欲作が続くNHKよるドラ枠、高まる業界内注目度

 そして、唐沢寿明主演の『ボイス 110緊急指令室』(日本テレビ系)に出演しているのは、『ゾンみつ』の石橋奈津美だ。『ゾンみつ』では、中性的なショートヘアで、冷めた目をして曖昧な感情を抱えたヒロインが、少年漫画のクールでニヒルなライバルキャラのように見えた。

 客観的で理論派のキャラクターは、『ボイス』にも共通している。ただし、『ボイス』は唐沢と真木よう子だけが活躍する物語になっていて、石橋の「5ヶ国語を話せる」頭脳派である設定があまり生かされていないのは、ちょっと残念なところではある。

 さらに、『ゾンみつ』チームで忘れてはいけない存在が、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で、アムステルダムとロスオリンピックで2大会連続金メダルを獲得した水泳の鶴田義行選手を演じきった大東駿介だ。

 体重を10キロ増やし、完璧に仕上げてきた体も見事だが、カナヅチから猛特訓を経てなり切ったという根性も、チラリと映るだけで笑いをつかみ取るテクニックも、熱い闘志をみなぎらせる目ヂカラも、見事である。『ゾンみつ』ではヒロインの夫で、不倫がバレてうろたえ、取り繕い、開き直って逆ギレし、挙句、ゾンビになってからも鏡ばかり見ている、ナルシストで小物感溢れる哀愁をユーモラスに表現していたのがすばらしかった。同じNHKでは、彼の出世作ともいえる朝ドラ『ウェルかめ』でマイペースかつ「宇宙人」な変わり者・勝乃新を演じていたのが懐かしい。

 NHKのよるドラ枠は、今年に入ってから『ゾンみつ』をはじめ、4月期の『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』、7月期の『だから私は推しました』と意欲作が続いている。作り手など業界内での注目度も高いことから、今後もキャスト陣をはじめ、「よるドラ」からさまざまな民放ドラマへの抜擢が続きそうだ。
(文/田幸和歌子)

関連写真

  • 『凪のお暇』での好演が光る瀧内公美(C)TBS
  • 『凪のお暇』(C)TBS
  • 『べしゃり暮らし』で存在感を放つ渡辺大知(C)テレビ朝日
  • 『べしゃり暮らし』(C)テレビ朝日
  • 『べしゃり暮らし』(C)テレビ朝日
  • 『べしゃり暮らし』(C)テレビ朝日
  • 『べしゃり暮らし』(C)テレビ朝日
  • 『べしゃり暮らし』(C)テレビ朝日

提供元:CONFIDENCE

【最新号】コンフィデンス 2019年9月16日号 詳細はコチラ バックナンバー 一覧

最新号コンフィデンス2019年9月16日号

<COVER STORY>
橋本義賢氏(ブシロード代表取締役社長)
クイックジャッジと継続したIP運営が
IPディベロッパー体制の大きなメリットとなる

<SPECIAL ISSUE>
音楽・映像・書籍
月間マーケットレポート8月度
総売上195.2億円 3ヶ月ぶり前年比マイナス
アニメは前年同月比113.8%

お問い合わせ

オリコントピックス

メニューを閉じる

 を検索