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【直虎】“大河俳優”真壁刀義が誕生するまで すべてはプロレスのために

 NHKで放送中の大河ドラマ『おんな城主 直虎』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)に柳楽優弥演じる龍雲丸率いる一党の一味、力也役で出演する新日本プロレス所属のプロレスラー、真壁刀義。IWGPヘビー級王座など数々のタイトル獲得歴を誇りながら、最近では「スイーツ真壁」としてバラエティー番組で全く違う顔も見せる。その多面性にピンときたプロデューサー陣が真壁を抜てき。大河ドラマは初出演となる。“大河俳優・真壁”はどのように誕生したのか。インタビューは約1時間、真壁がほぼしゃべりっぱなしだった。

大河ドラマ『おんな城主 直虎』龍雲丸(柳楽優弥)率いる盗賊団の一味、力也役で出演する真壁刀義(C)NHK

大河ドラマ『おんな城主 直虎』龍雲丸(柳楽優弥)率いる盗賊団の一味、力也役で出演する真壁刀義(C)NHK

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■大河ドラマのオファーに「ビビリました」

――出演オファーを受けた時のことを覚えていますか?

【真壁】マネージャーが「大河の撮影入りました」と言ってきたので、「え? 何言ってるの? そんなことあるわけないだろう?」と、2度聞き返しました。「本当です」「そうか本当か。で、なんでだ?」と思いましたね。びっくりしました。大河といえば、一流の俳優さんたちが集まっているものでしょう。俺、プロレスラーですよ。スイーツ真壁ですよ(笑)。とにかく、ビビリました。

――真壁さんが演じる力也は、龍雲党の中で最も屈強な男で、賭博場を開くなど、問題行動もあった(第22回)が、根は善良で仲間思いの熱血漢というキャラクター。

【真壁】役をいただけるなんて、最高の栄誉。喜んだ後にプレッシャーですよね。晴れ舞台を用意してくれた人に恥をかかせるわけにはいかない。でも、まともに演技なんてしたことがない。そんな自分が呼ばれた理由を考えましたね。プロレスラーですから体は鍛えている。力也は屈強で力持ち。そのまま俺じゃないか、って。俺らしく、真壁刀義で勝負するしかないと腹をくくりました。

 プロレスでは首に巻いたチェーンがトレードマークなんですが、力也は赤い組ひもを首にかけています。差し色になって、おしゃれでしょ(笑)。毛皮も羽織っているんだけど、衣装や小道具のおかげで、力也ならどういう身振り手振りをするか、動きがイメージしやすかったですね。

 ドラマや映画に出るのは初めてではないけれど、いままでは真壁刀義役というか、俺のままで成立したけれど、今回の力也は、自分と似ているところはあるけど真壁刀義ではないし、ましてやスイーツ真壁でもない。柳楽くんが演じる頭(かしら)のことを第一に考えていて、頭を盛り立てていこう、頭のために殿(直虎)のことも支えよう、という男なんですが、そういう忠義心が撮影をしながら自然と生まれてきて、そういう経験も初めて。このドラマに出演できてよかったと思いました。

■プロレス界ために、プロレス以外のことを

――本業のプロレスを休んで収録に参加したそうですが、そこまでする理由は?

【真壁】プロレス以外でメディアに出るようになったきっかけは、『スッキリ!!』(2012年、日本テレビ)のスイーツコーナーでした。好きで始めたスイーツのブログを番組スタッフが見つけて、声をかけてくれたんです。俺の子ども時代は、誕生日やクリスマスなどの特別なときしかスイーツは食べられなかったし、食べたとしてもショートケーキ1個とかね。将来、働くようになったら、自分の稼いだ金で好きなだけスイーツを食べてやるって、子ども心に思っていたのが、いまにつながっているんでしょうね。

 『スッキリ!!』からスイーツの食レポをやってほしいと依頼を受けて、最初は断ったんです。そういうのは俺の仕事じゃないんじゃないか、って。「真壁さんが出ることで何が生まれると思いますか?」と説得されたんだけど、当初はわからないまま始めた。やっていくうちに、スイーツ真壁をきっかけに「この人プロレスラーなんだ」と興味を持ってもらえれば、プロレス界に還元できると気づいて、それは俺がやるべき仕事だと思うようになったんです。

 俺、こうみえて、新日本プロレスのタイトル全部獲っているんですよ。もう一回いいましょうか?(笑) プロレス界で目指せるものもまだあるけれど、それ以上にプロレス界全体を盛り上げるためにできることをしていこう。そのために芸能の仕事も頑張ってみようと思うようになったんです。

 子どもの頃は、金曜よる8時のゴールデンタイムに、アントニオ猪木さんが試合をやっていた時代。初代タイガーマスクや師匠の長州力さんが活躍していて、人気があった。その頃に比べるとプロレス界は縮小してしまって、いま少し盛り返してきてはいるけど、最盛時には及ばない。「プロレス知ってますか?」と10人に聞いて、何人が「見てます」と答えるか。「昔は見てたけど…」というか、「見たことない」という人が多い。「見てます」を広げるのが俺の使命、俺の力だと思っている。だから大河ドラマも一生懸命、頑張りたいと思っています。子どもの頃、プロレスを観て、自分が熱狂したように、いまの大人にも子どもにもプロレスを観てもらいたいし、何かを感じてもらいたいから。

 「スイーツ真壁、面白いね、今度、プロレスも観に行ってみようか」となってくれたら。試合を観たら、オカダ・カズチカかっこいいね、柴田勝頼かっこいいね、えっ? 俺じゃないの?(笑)。それでいい。

 もう一つは自分自身の可能性ですよね。真壁刀義はプロレスだけなのか。バラエティーでどれだけ笑いをとれるのか。ドラマでどれだけ喜怒哀楽を表現して、観ている人の感情を揺さぶることができるのか。自分自身の挑戦でもある。

■スイーツだけじゃない、おしゃべりも映画もドラマも大好き

――ブログの文章も面白いし、しゃべりも上手い。何か秘けつはあるのですか?

【真壁】昔は全然しゃべれなくて、人見知りで…、ってそんなことないか(笑)。実は、デビュー戦はわずか6分くらいで負けているんですよ。その後、次の試合が始まるまで、ずっとコメントしていて、長州力さんに「いつまでしゃべっているんだコノヤロー」って怒られたことがあるんです。それくらいおしゃべりが好きで、沈黙が嫌い。

 そもそも俺ね、映画やドラマが大好きなんですよ。いまから十数年前は、自分自身のプロレスラーとしての価値もなくて、全然忙しくなかった。自分の仕事といえば、プロレスラーとしてリングの上で闘うことと練習すること。ほかにやることがなくて、空いた時間に観ていたのが映画。その頃はまさか、自分が映画やドラマに出るなんて思いもしなかったけれど。たくさんの映画やドラマを観ていたから、演じる挑戦もできたのかなって。

 プロレスって、試合をどう面白く見せるか、ってことが大事で、ただ相手を倒せばいいってもんじゃない。あえて相手の技を受け合うのが、プロレスなんですよ。「避ければいいじゃないか」って思うでしょう、それ正解(笑)。「技をかけられて痛くないんですか?」って、痛いに決まっている。いつも思う、こんなに痛いんだったら避ければよかったって。でも、そこにプロレスの面白いところがある。

 今回、大河で柳楽くんをはじめいろんな役者さんの芝居を生で見て、勉強させてもらっているので、これもまたいつかプロレスに生かされると思う。

――プロレスファンにも、真壁さんきっかけで大河ドラマを観てもらうという狙いもあるかと思います。

【真壁】いま日本にどのくらいプロレスファンがいるかわからないけど、出演が発表されてから、「今週も『直虎』見ます」っていう書き込みが増えて、「まだ出てないけど(笑)」って思っていた(5月28日放送、第21回から登場)。俺のことも観てほしいけど、龍雲党の仲間みんながいい味出していて、物語をより面白くするスパイスになっていると思うんですよね。だから最終回まで観てもらった時に、龍雲党の人たち面白かったね、って思い出してもらえるといいな、と思っています。

――そろそろ時間ですが。

【真壁】これで終了かよ! もっと質問ないの?(笑)

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