今年の第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた映画『裸足の季節』が、今月11日より東京・シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほかで上映中だ。公開に合わせて初来日したデニズ・ガムゼ・エルギュヴェン監督に作品に込めた思いなどを聞いた。
同映画は、トルコの小さな村を舞台に自由を奪われた美しい5人姉妹の末っ子ラーレが、運命をつかみ取るため奮闘する姿を描いた物語。2015年のカンヌ国際映画祭監督週間で上映されるや、長編デビュー作とは思えないほど卓越した構成力と美しい映像、5人の少女たちのあふれんばかりの存在感を各国マスコミが大絶賛。フランスではロングランヒットとなり、全編トルコ語の映画にも関わらず、フランス代表としてアカデミー賞外国語映画賞にエントリーされ、ノミネートに至ったのだった。
日本でも公開後、SNS上では「5人姉妹の力強さと行動力に勇気をもらった!」「気付けば自由を求めて疾走する姉妹たちを応援していた」「映像美に思わず息を飲んでしまった!」などと高い評価が続出している。
――本当に現代のトルコの話?という驚き。トルコといっても、イスタンブールから1000キロも離れた小さな村が舞台ですが…
私はトルコのアンカラ出身です。現在はフランスを拠点にしていますが、家族のほとんどはトルコ在住なので、よく行き来しているのですが、毎回帰国するたびに、驚くほどの閉塞感を感じます。トルコではこれまでになく、女性の地位が社会的な問題となっているんです。女性を家事だけに従事させて子どもを生産する機械におとしめるという社会的思考も現れています。映画を通して、女性であるとはどういうことなのかを考えたいと思っていました。
――学校帰りに男子生徒と海水浴場で遊んでいただけで、処女を疑われたり、一切の外出を禁じられた上、祖母たちが決めた相手と結婚させられていくなんて…。
実は、この海水浴場シーンはティーンだった頃の私に実際に起きたことです。当時の私は何も反抗できませんでした。抗議できるようになるまで、何年もかかりました。トルコにおいては多くの人が、女性に対して何をするにも「性」と結びつけて考えるんです。トルコの女性が肌を露出させないようにヴェールで覆い隠すのはそうした理由からです。若者たちのピュアな精神は否定され、やがて若者を否定する大人になっていく。その繰り返しなんです。だからこそ、この映画では姉妹たちの抵抗と反逆の様子を描きたかったし、彼女たちの勇気が報われるものにしたいと思いました。
――日本には毎朝15分ずつ放送される連続ドラマがあって、そのドラマは半世紀以上にわたって、さまざまな時代や境遇に置かれた女性の生き方を描いてきました。現在は、実在の人物をモデルにした3姉妹が登場する物語が放送されています。“女性としてどう生きるか”は、古今東西、永遠のテーマですね。
日本にそういうドラマがあるとは知りませんでしたが、それはとても興味深いですね。私はフランス・パリで映画を学びましたが、女性監督を目指す学生は少なく、そういう意味でマイノリティーでした。しかし、映画を作り上げることによって、そうした問題を、生涯をかけて乗り越えることができると思いました。なぜなら普段の生活では保守的な人々も、映画の現場においては私に対しても、女優たちにも敬意を持って接してくれました。さらに『裸足の季節』がアカデミー賞にノミネートされ、数々の映画祭で評価をいただいたことは、非常にすばらしいチャンスとなりました。おかげで2作目の権利を獲得することにもつながったんです。
同映画は、トルコの小さな村を舞台に自由を奪われた美しい5人姉妹の末っ子ラーレが、運命をつかみ取るため奮闘する姿を描いた物語。2015年のカンヌ国際映画祭監督週間で上映されるや、長編デビュー作とは思えないほど卓越した構成力と美しい映像、5人の少女たちのあふれんばかりの存在感を各国マスコミが大絶賛。フランスではロングランヒットとなり、全編トルコ語の映画にも関わらず、フランス代表としてアカデミー賞外国語映画賞にエントリーされ、ノミネートに至ったのだった。
日本でも公開後、SNS上では「5人姉妹の力強さと行動力に勇気をもらった!」「気付けば自由を求めて疾走する姉妹たちを応援していた」「映像美に思わず息を飲んでしまった!」などと高い評価が続出している。
――本当に現代のトルコの話?という驚き。トルコといっても、イスタンブールから1000キロも離れた小さな村が舞台ですが…
私はトルコのアンカラ出身です。現在はフランスを拠点にしていますが、家族のほとんどはトルコ在住なので、よく行き来しているのですが、毎回帰国するたびに、驚くほどの閉塞感を感じます。トルコではこれまでになく、女性の地位が社会的な問題となっているんです。女性を家事だけに従事させて子どもを生産する機械におとしめるという社会的思考も現れています。映画を通して、女性であるとはどういうことなのかを考えたいと思っていました。
――学校帰りに男子生徒と海水浴場で遊んでいただけで、処女を疑われたり、一切の外出を禁じられた上、祖母たちが決めた相手と結婚させられていくなんて…。
実は、この海水浴場シーンはティーンだった頃の私に実際に起きたことです。当時の私は何も反抗できませんでした。抗議できるようになるまで、何年もかかりました。トルコにおいては多くの人が、女性に対して何をするにも「性」と結びつけて考えるんです。トルコの女性が肌を露出させないようにヴェールで覆い隠すのはそうした理由からです。若者たちのピュアな精神は否定され、やがて若者を否定する大人になっていく。その繰り返しなんです。だからこそ、この映画では姉妹たちの抵抗と反逆の様子を描きたかったし、彼女たちの勇気が報われるものにしたいと思いました。
――日本には毎朝15分ずつ放送される連続ドラマがあって、そのドラマは半世紀以上にわたって、さまざまな時代や境遇に置かれた女性の生き方を描いてきました。現在は、実在の人物をモデルにした3姉妹が登場する物語が放送されています。“女性としてどう生きるか”は、古今東西、永遠のテーマですね。
日本にそういうドラマがあるとは知りませんでしたが、それはとても興味深いですね。私はフランス・パリで映画を学びましたが、女性監督を目指す学生は少なく、そういう意味でマイノリティーでした。しかし、映画を作り上げることによって、そうした問題を、生涯をかけて乗り越えることができると思いました。なぜなら普段の生活では保守的な人々も、映画の現場においては私に対しても、女優たちにも敬意を持って接してくれました。さらに『裸足の季節』がアカデミー賞にノミネートされ、数々の映画祭で評価をいただいたことは、非常にすばらしいチャンスとなりました。おかげで2作目の権利を獲得することにもつながったんです。
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2016/06/26