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顧客満足度につながる新たな試み 「録音・撮影OKライブ」の是非

 海外にならい、実験的にではあるものの日本でもライブでの画像・映像撮影OKの動きが広がりつつある。海外の事例を見ても明らかなように、ファンによる投稿素材の拡散性、ニュース性といったメリットが、デメリットを凌駕する実態があるようだ。撮影可に踏み切った2組に、メリットの中身、そして効果の大きさを聞いた。

1 月5 日に福岡市民会館で全曲録音・撮影OK ライブを実施したLinQ

1 月5 日に福岡市民会館で全曲録音・撮影OK ライブを実施したLinQ

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 携帯やスマートフォンのカメラが高機能になるにつれ、問題視されてきたライブの隠し撮り。だが、海外アーティストの大半がプロ機材でなければ撮影を解禁している流れに伴って、日本でも実験的に撮影可とする動きが加速しつつある。

 年初に行われた初のホールコンサートで堂々撮影OKを謳って話題になった九州発のアイドルグループ、LinQもそのひとつ。話題づくりという側面もあるにはあったが、撮影可に伴う是非を一度きちんとあぶり出したかったこと、またファンの需要に応えるための施策でもあったと、ジョブ・ネットのJJ 小野プロデューサーは語る。

 「エンタメ市場におけるアイドルのコンサートはある種“サービス業”の要素が大。だからこそ顧客満足度を上げたいと考えて撮影解禁を打ち出しました」

 当該のコンサートでは“全席一律○○円”をやめ、小野氏が言う「資本主義を導入した価格設定」も取り入れた。最前列中央の最も高額なかぶりつき席や、ホール1階及び2階最前列に望遠や三脚なども持ち込める“撮影に特化した席”を設ける試みだ。ファンからは「神がかった企画」と絶賛された模様だが、さて、実際に露呈したメリット・デメリットとは?

 「まずメリットは動員が増え、しかも高額な席から売れていったこと。ライブにおける付加価値がうまく作用した結果だと思います」と小野氏。

 なんでも、件の撮影特化席のほとんどは熱心なファンに“雇われた”プロ級のカメラマンが占める結果になったという。

 「自分はライブに集中して楽しみ、写真をプロに任せた分業体制。お金を費やしてでも自分だけの写真を手に入れたいというその熱意には、本当に頭が下がる思いです」と小野氏は感慨深げに語る。

 撮影OKが常態化すれば状況は変わるかもしれないが、少なくとも現状では確かに、解禁に伴いライブ動員は増える傾向にあるようだ。昨年暮れに行ったミニツアーで全曲撮影OKを打ち出したBOOM BOOM SATELLITESも、これまでにない口コミ作用でチケットの売上ペースは格段に上がったという。FOGHORN制作部部長 原田淳氏によれば「撮影OKの評判は上々。ファンが撮影した写真をアップしてもらい、それらを交えた新曲のMVをメンバー自らが制作したことも相乗効果になったと思います」

■顧客満足度、未来への投資など“意味付け”がポイント

 一方でデメリットはといえば、率直なところ「現状ではさして見当たらない」と小野氏。

 「肖像権のムダ遣いによる失敗が出てくるとすれば今後でしょう。今はそれよりも、これから先の活動を考えたときに、撮影OK→ファンによる投稿という図式によってウェブコンテンツの増強と、知名度アップが果たせたという“未来への投資”の意味合いが大きい。撮影マニアという、LinQファンと属性を同じくする新規のファンを今回取り込めたことも大きな糧となりました」

 撮影をしてネットにアップするのはむしろ熱心なファン。いいものを撮ろうと頑張るし、マイナス心証となるような写真がウェブに上がることはまずないという。「最高の1 枚が撮れ、何にも勝る思い出になった」「厳選した最良のカットをアップするとき、自分がオフィシャルカメラマンになった気がして嬉しかった」そうした声を聞くに、撮影OK はファンの心を捉え、満足度を上げる施策であるのは確かなようだ。(オリジナル コンフィデンスより)

関連写真

  • 1 月5 日に福岡市民会館で全曲録音・撮影OK ライブを実施したLinQ
  • BOOM BOOM SATELLITESは、1月22日から実施したツアーで、26公演すべてで写真撮影OKのライブを開催した
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