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フジ・大多亮氏×脚本家・古沢良太氏、日本映像コンテンツの世界進出に向けてなにをすべきか

日本の「ショーランナー」体制作りに期待したい(長谷川朋子)

長谷川朋子テレビ局そのものも今、変化が求められている状況ですから、欧米では当たり前の「ショーランナー」を受け入れる体制を作っていくことを期待しています。フジテレビとドイツのZDFエンタープライズとの連続ドラマ『The Window』共同製作プロジェクトでは、イギリスのショーランナーが脚本を書かれていますから、新しい体制づくりに向けた準備段階に入っているとも言えます。
大多亮『The Window』は全10話の脚本がほぼ完成したところです。それまでの経緯を話すと、5話まではメインの方が書き、6話以降は当初、ライターズルームの別の方が書かれました。しかし、仕上がりをみると、どうも6話以降が弱く感じる。だから結局、メインの方に一部を書き直してもらうことになりました。こうした経験からライターズルームの限界も実感したところです。それでもライターズルームが成立しているのは、スケジュールの効率化があるのかと。そんな理由で分業制が導入されている部分も大きいと感じてしまいます。古沢さんは日本には今までなかった分業に不安を感じますか?
古沢良太これまで弟子を持ったこともなく、脚本家同士のネットワークも求められるものなので、現実を考えると今すぐとはいきません。でも、アイデアと構成だけはたくさん持っていると自負していますので、そういったチームでの脚本開発に踏み込んでみたいと思うところはあります。
大多亮僕は、ZDFの方に「オールドスタイル」だと言われました。欧米では、脚本家だけでなく、ゲームクリエイターなども最初からチームに加わることもあるようです。それを聞いて「混成チームの場合、意見がまとまらない危険性があるのでは?」と尋ねると、それが「オールドスタイル」の思考であり、「今は混成チームでも互いをリスペクトする土壌があり、世界を制するために新しいドラマ作りに挑戦することにこそ意味がある」と。つまり、クリエイティブの根幹から変え、おもしろい作品を生むためのシステムを作り出す必要があるということです。日本が挑むタイミングは今でしょう。かつて脚本家が強かった時代もありました。再びそういう時代に戻ってもいいでしょうし、新たにディレクターの時代になってもいい。システムが変わる節目は、これまでにも経験してきたことです。でもその過程に「ライターズルーム」にシフトすることはなかった。だから、古沢さんのような理解がある方こそ、今やるべきです。

脚本家のやれることが増えている時代に楽しさを感じる(古沢良太)

長谷川朋子今、世界ではアジアブームも起こっています。アジアだけのオールキャストでヒットする成功例も出ています。NetflixやAmazonがオリジナルドラマだけでなく、フィルムにも力を入れるようになり、2時間の映画でも連続ドラマでも、グローバルプラットフォームではじめから世界展開できる可能性が広がっています。
古沢良太やれることが増えている時代だと感じています。作品を喜んでもらえるパイも広がっていくわけですから、ニッチなものでも多くの方に観てもらえる。だから、アイデアも広がっていきます。日本で視聴率を取ることだけを考えるとできなかったアイデアも、どんどん活かせそうです。こういう時代に脚本を書けることに楽しさを感じます。
大多亮これまで日本のテレビはどうしても視聴率優先で作ってきましたが、今はクリエイティブを楽しむ時代になっているのでは。古沢さんは先頭に立って新しいことを実行できる方です。今、ハリウッドでドラマ『電車男』のリメイク化が進んでいるのですが、『グリー』を手がけたディレクターも参加し、ミュージカル仕立てのハリウッド版として企画が進んでいます。ブルックリン出身の電車男がマンハッタンで開催される『コミケ』に向かう途中の電車でエルメスと会い、歌って踊って愛を語る。なんだか夢があってワクワクします。古沢さんにも、日本のドラマのすごさを世界に知らしめていただきたい。
古沢良太がんばりたいです。世界を目指す場合にも、僕はやはりコメディにこだわって書きたい。世界配信向けなら、スマホ視聴を考えて、まずは15分のシチュエーションコメディはどうでしょうか。『デート』はそのバージョンでずっと続けられそう。実現できたらこれ以上おもしろいことはないです。
(文/長谷川朋子)
大多亮氏 フジテレビジョン 常務取締役
PROFILE/おおた とおる
1958年生まれ。1981年、フジテレビ入社。プロデューサーとして『君の瞳をタイホする!』『君が嘘をついた』『抱きしめたい!』『すてきな片想い』『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』など数々のヒット作を手がけ、フジテレビのドラマ黄金時代を築く。2007年、編成制作局ドラマ制作担当局長に就任。12年より常務取締役を務める。

古沢良太氏 脚本家
PROFILE/こさわ りょうた
1973年生まれ、神奈川県出身。2002年に『21世紀新人シナリオ大賞』でグランプリを獲得し、受賞作『アシ!』でデビュー。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で第29回日本アカデミー賞最優秀脚本賞、TVドラマ『デート〜恋とはどんなものかしら〜』で第24回橋田賞を受賞。『相棒』『リーガルハイ』シリーズなど人気作を数多く手がけるヒットメーカー。

長谷川朋子 テレビ業界ジャーナリスト、コラムニスト
PROFILE/はせがわ ともこ
国内外の番組制作事情をテーマに、独自の視点で解説した執筆記事多数。もっとも得意とする分野は海外流通ビジネス。仏カンヌの映像コンテンツ見本市『MIP』現地取材を約10年重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。番組審査員や業界セミナー講師、ファシリテーターなども務める。

『コンフィデンスマンJP』

舞台は香港。狙うは世界最高のダイヤ!
 華麗に大胆に人を騙し続ける百戦錬磨のコンフィデンスマン(=信用詐欺師)ダー子、ボクちゃん、リチャード。次なるオサカナ(=ターゲット)は、香港マフィアの女帝で、その冷酷さから<氷姫>という異名をもつラン・リウ。彼女が持つと言われている伝説のパープルダイヤを狙って、3人は香港へ。ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなかエサに食いつかず苦戦する。
 そんななか、天才詐欺師ジェシーが現れ、同じくランを狙っていることがわかる。そして以前ダー子達に騙され恨みを持つ日本のヤクザ・赤星の影もちらつき始め、事態は予測不可能な展開に。騙し騙されの三つ巴の戦いを制するのは誰なのか!?史上最大のコンゲームが始まる!

監督:田中亮
脚本:古沢良太
出演:長澤まさみ 東出昌大 小手伸也/小日向文世
   竹内結子 三浦春馬 江口洋介
5月17日(金)全国公開 【公式サイト】(外部サイト)
(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会
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提供元: コンフィデンス

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